賃貸アパートを建てて不動産投資をするとき、気になるのが建物の寿命です。なるべく長い年数、賃貸収入を得たいものですが、寿命が来たなら建て替えたり、リフォームをして寿命を伸ばしたり、検討しなければなりません。
では、賃貸アパートの寿命とは何年くらいなのでしょうか?
賃貸アパートの寿命は何年?法定耐用年数=寿命ではない!
賃貸アパートの寿命について不動産会社会社などに尋ねてみると、「木造アパートなら法定耐用年数は22年で・・・」などと返されるかもしれません。
あなたのアパートがすでに築20年を超えているなら、「え、22年!?早く建て替えなければ!」と焦ってしまいそうです。でも、落ち着きましょう。
法定耐用年数とは、アパートの物理的な寿命のことではありません。
法定耐用年数とは、主に減価償却課税のために設けられた基準。
アパートの法定耐用年数とは、課税庁が定めた基準です。
これは、減価償却の基準となる数値なのです。
たとえば、2,200万円で木造アパートを建てると、22年の減価償却が可能となります。築22年目までは、毎年100万円の原価償却を経費計上できるのです。しかし23年目からは、減価償却が出来なくなってしまい、納税額が増えてしまいます。
こうした課税計算のための基準値にすぎず、建物の寿命ではありません。
建物の構造によって法定耐用年数は異なる。
そしてアパートの法定耐用年数は、その物件の構造によって年数が異なります。
木造アパート:22年
鉄骨造(3mm以下):19年
鉄骨造(3~4mm):27年
鉄骨造(4mm以上):34年
RC造:47年
(自己居住用途の場合、上記の約1.5倍)
同じ賃貸アパートでもRC構造なら、47年間も減価償却が可能になります。
法定耐用年数を超えたって賃貸運用し続けることは可能。
つまり、あなたのアパートが法定耐用年数を超えたとしても、そのまま賃貸運用をし続けることは可能なのです。
ただ減価償却が出来なくなるだけです。
「減価償却が出来なくなって損だから、アパートを建て直したほうがよいですよ!」と不動産投資会社は勧めてくるかもしれませんが、数千万円も掛けて建て直しをするよりも、そのまましぶとく貸し続けるほうがお得な場合もあります。
実際の寿命は?
では、実際のアパートの寿命は何年くらいなのでしょうか?
構造や環境によりますが、「築50年を超えても現役で賃貸されているアパートは数多くある」というのが実情です。
「こうなったらもう寿命」と明確に定義される基準はなく、あちこち綻んでいても入居者が居続けているなら「まだ寿命が来ていない」と言うことも出来るでしょう。
あなたの家の周りにも、「家賃3万円のボロアパート」といったものが幾つかあるのではないでしょうか?それらは大抵、築30年は大きく過ぎ、50年にもなっていたりします。
そしてアパートの寿命はこれからもっと伸びていく。
1970年代に建てられた木造アパートの寿命が50年程度である、と上述しました。
建築資材はおしなべて材質の向上が進んでいます。すると、2020年に建てられたアパートの賃貸寿命は、木造であっても50年どころではないでしょう。60年、70年も持つのかもしれません。
いかがでしたか?
ここで述べたことは、アパートにかぎらずマンションや一軒家にも言うことが出来ます。
インターネットで「アパート 寿命」と検索すると、法定耐用年数の解説ばかりがヒットし、「22年を超えたら建て替えましょう」と促してきますが、それは業者の都合にすぎないのです。
アパートは30年よりもっと持ちます。