
60歳を超えていても、親御さんが元気そうなら子家族と別々に生活していても問題はありません。お互いにそのほうが気楽でいい、そのほうが距離感が良い、ということもあるでしょう。
しかし、どちらが最愛の配偶者を失ったとき・・・そのまま一人暮らしを続行させるのは危険だと考えましょう。
放心状態になると、急速に老けこんだり無気力になる。
多くの人は、最愛の配偶者を失うと、放心状態に陥ります。
悲しんでいないつもりでも、死を受け入れたつもりでも、気丈でいるつもりでも、ぼーっとしてしまうのです。そして仕事や家事に手が付かなくなり、ミスが増えたり家の中が乱雑になってしまいます。
健康を保つための体や脳の働きを行わなくなるので、急速に老けこむことがあります。
それまでは「子家族と離れていても問題はない」というふうに見えたのに、急に足腰がおぼつかなくなったり体調が芳しくなくなったりするのです。
「放っておいて」と言われこともあるかもしれませんが、放っておくべき状況ではありません!
老人ホームへの入居を熟慮しましょう。
認知症を伴うことも。
配偶者の死別によって、ぼーっとしてしまうのも仕方ないことです。
手にコップを持ったままぼーっと一点を見つめていたり、窓の外の風景を眺めるでもなく眺めていたり。
しかし、それがいつの間にか、認知症としての思考停止にすり替わってしまうことがあります!
「放心状態なのはわかるわ。そっとしておいてあげましょう」ではないのです。
ご飯を3食食べられるように、アイロンのスイッチをちゃんと切れるように、目配りをしてあげる必要があります。
寂しさも老化も、老人ホームのにぎわいで和らぐ。
恋の痛みを新しい恋が癒すのに似ています。
配偶者との死別で、「他者と明るくなんてしていられない!」と頭では思うかもしれませんが、いざ老人ホームの人付き合いの中に放り込まれたら、悲しむ暇もなくなって笑顔を取り戻すでしょう。おしゃべりしたりレクをしたりで頭を働かせ、老化も和らいでいきます。
時には「本人の意思を尊重」ではなく無理やり明るい場所に放り込んであげたほうがよいのです。
人生経験の中で、このようなカンフル剤が必要なことは、心得ているのではないでしょうか?
いかがでしたか?
「家の中で倒れても、それに気づく同居者がいなくて発見が遅れた!」といったことが起こってからでは遅いのです。
死別の悲しみを乗り越えてから一人暮らしを始める、というのであればまだわかりますが、これまで二人で暮らしていた高齢者を急に一人暮らしさせるのは無理がある、と考えましょう。