3 民泊経営者側から見た、相場と値段設定のコツ。
では今度は、経営者側の立場に立って、Airbnb(エアビーアンドビー)におけるお部屋の料金相場、値段設定のコツを解説していきましょう。(現在、Airbnbに似たような民泊サイトがほかにも幾つか台頭してきていますが、お部屋の料金相場としては、どこもそう大差ありません)
Airbnbでは、お部屋の形態を「シェアルーム」「個室」「まるまる貸切」の3タイプに分類しています。ここでは、それにならってご紹介していきます。
3-1.経営者側から、シェアルームタイプを徹底解剖!
3-1-1.値段:確実に稼働率を上げるなら1,300円以内に!
ゲストハウスや学生寮などに見られる、ドミトリー(相部屋)に相当するお部屋です。
日本のAirbnb(エアビーアンドビー)では、シェアルームタイプは1,100~2,000円程度が相場になっています。【ゲストハウスのドミトリー相場が2,000円だからといって、それを見越して2,000円で参入しても、ほとんどお客さんは来ない】でしょう。
数十万・数百万単位の投資をしていて、確実に集客を確保したいなら、1,500円未満までは下げないと厳しいです。特に沖縄や京都など、ゲストハウスの多い地域においては、1,500円のゲストハウスも多いです。すると、同額の1,500円だとAirbnbへの手数料の関係上、もうゲストハウスに負けてしまいます。【1,300円程度でようやく、1,500円のゲストハウスととんとんになるので、その辺りが1つのねらい目相場】と言えます。
3-1-2.注意点:家主不在物件の場合、マナーの悪いお客さん多し!収益も×!
【「激安宿を望み、かつ管理人不在の物件を望む」タイプのお客さんは、マナーが悪い傾向にあります。】騒いだり散らかしたり、規則を破って喫煙したり、そうしたトラブルが多いのは、このケースです。すると、管理人不在型のシェアルーム民泊の経営には、トラブルに対する労力や出費も何かとつきまといます。
民泊代行業者との兼ね合いにも、注意が必要です。【1泊1,000円程度の収益しかないとしても、問い合わせメールへの対応やカギの受け渡し、チェックインの説明などは、個室物件と同じように行わなくてはなりません。】その膨大な手数を、どこまで代行業者が請け負ってくれるのか、どれほどの料金になるのか、事前にしっかり計算しましょう。まるで利益が出ない投資になってしまう可能性があります。
あまり儲けの欲が無く、たくさんのお客さんと交流することを楽しいと感じられる、ゲストハウス運営希望者タイプの人であれば、シェアルーム(ドミトリー)タイプの民泊経営も向いていると思われます。
3-2.経営者側から、個室タイプを徹底解剖!
3-2-1.値段:平均額の3,000円だと、お客はぜんぜん入らない…
シングルルームやダブルルームに該当するお部屋です。
Airbnb(エアビーアンドビー)の個室タイプのお部屋は、だいたい3,000円程度が平均額になっています。これは、東京でも地方でも同じような傾向で、あまり地域差は見られません。
民宿が素泊まり1泊3,000円程度のところが多く、それが基準になったと思われます。
しかし、この平均額の3,000円で設定するなら、あまり集客は得られないでしょう。なぜかと言えば、個室でも3,000円未満に設定しているお部屋が、けっこう多くあるからです。
【中には個室にもかかわらず1,700円程度のものもあり、やはりお客さんは、そうした安い部屋から選んでいきます。】【100パーセント近い稼働率をキープし続けたいなら、少なくとも1泊2,500円程度までは下げる必要があります。】
3-2-2.注意点:利益度外視のホームステイ・オーナーに軍配が上がる。
個室民泊の運営者には、儲けをあまり気にしていないホームステイ・タイプの家主が多いです。彼らは、3,000円、4,000円レベルの設備やサービスでも、平気で2,000円前後まで下げています。
ホームステイ・タイプのオーナーたちは「安かろう悪かろう」はしないので、それなりの設備を揃えたところで、太刀打ちできません。
個室タイプのお部屋を運営して、実際的に得られる収益は、1室当たり月額5万円程度です。
たとえば4LDKの物件を借りてきて、3部屋を客室として開放するとしても、収益は月額15万円程度ということになります。その物件の家賃が月10万円なら、5万円しか収入にならない計算です。残りの5万円も、家具家電や物件の敷・礼金などの返済(投資金回収)にあてなければなりませんね。
こうした実情で、本当に投機ビジネスとして儲かるものなのか、巷のノウハウサイトや民泊セミナーの話は鵜呑みにせず、慎重に考えましょう。
個室タイプの民泊運営の場合、基本的に、「すでに住んでいる家の使っていない部屋を貸そうかな」といったスタンスのほうが、向いていると言えます。
3-3.経営者側から、まるまる貸切タイプを徹底解剖!
3-3-1.値段:「1泊1万×30日=月収30万円」は、夢のまた夢…
従来の宿泊施設を例にあげるならば、コンドミニアムに相当する施設です。
2014年頃から日本の投資家に流行っている民泊経営は、大半が、このまるまる貸切タイプの物件です。
料金相場は、ワンルーム程度のカップル物件は1泊6~7,000円程度、3LDKなどのファミリー物件の1泊10,000~20,000円程度となっています。地域による差はあまり見受けられません。
2016年現在、日本のAirbnb(エアビーアンドビー)物件の平均稼働率は5~60パーセントほどで、すると、この平均的な値段を設定したとしても、月のうちの半分程度しか埋まらない計算になります。
【稼働率を100パーセントに近づけたいならば、価格面の戦略から言えば、もう少し下げる必要があるでしょう。稼働率の高い物件の目安としては、カップル物件で1泊2人4,000円、ファミリー物件で1泊5名8,000円といったところ。】清掃料金に関しては、カップル物件では徴収しないほうが良く、ファミリー物件でも3,000円が目安です。
3-3-2.注意点:民泊ノウハウサイトや民泊セミナーの甘い言葉にご用心!
しかしそれはあくまで、「高稼働率を目指すため」の価格にすぎまぜん。「高収益が上げられるかどうか」は、また別問題です。
巷のAirbnb(エアビーアンドビー)のノウハウサイトや民泊セミナーでは、「1泊10,000円×30日=月収30万円」という収益見積もりをします。「家賃10万で物件を借りても、3倍になるよ」と言いますね。
しかしそれは現実的な数字ではなく、実情としては「上手く回って20万程度」と考えましょう。
すると、実はあまり儲かっていないオーナーが多い、というのが実情なのです。ノウハウサイトや民泊セミナー、民泊代行業者にだまされないように、気をつけてください。
また、まるまる貸切タイプの物件の場合、赤字への懸念以外にも大きな爆弾を抱えています。日本政府は、何かとトラブルの多いこの家主不在型の民泊物件に対しては、厳しく取り締まる方針を決定しています。
【収益が多いか少ないかではなく、そもそも法で罰せられたり、経営自体が差し止められてしまう恐れが強い】ので、まるまる貸切タイプの経営に対しては、慎重に検討してください。率直に言えば、まったくオススメはできません。