2-5.「空き家」を貸す場合、費用がとてもかかる。赤字が続く恐れあり!
Airbnb(エアビーアンドビー)による空き家レンタルビジネスは、「先行投資が比較的小さくて済む」という触れ込みで流行したのですが、それはあくまで、「他の投資ビジネスと比較して」にすぎません。空き家に家具家電を備え付け、おしゃれなインテリアで飾るのですから、それなりにはお金が掛かるのです。
すでに空き家を持っているなら、イチから物件を借りてくる投機家よりは安く済みますが、それでも家具家電インテリア費用に数十万円は掛かるでしょう。もし、あなたが貸すつもりの空き家が古民家であり、幾つものリフォームを必要としているというなら、100万円は軽く超えてしまうことでしょう。
それだけのリスクを背負う価値は、この業界にはもう、無いです。
「儲かる!」と世間では騒がれていますが、実情はそう甘くはありません。
2-6.物件のメンテナンスは誰に任せる?委託が必要なら、もう絶望的。
たとえば、貸すつもりの空き家があなたの家の隣近所にあり、掃除や接客対応をあなた(orご家族)が常に自ら請け負えるなら、まだどうにかなるのです。経営しても良いかもしれません。
しかし、民泊代行業者に清掃や接客対応を委託しないと運営できないような状況なのであれば、やはりもう、リスクが高すぎますし民泊法の基準を満たせないので厳しいです。
民泊代行業者は種々ありますが、一般的に、宿泊費収入の30パーセント程度を徴収していきます。(清掃費や最初のインテリアコーディネイト代、クレーム対応代行費は別途払う必要があるでしょう。)すると、あなたの手元に残る収益はごくわずかで、家具家電などの先行投資金を相殺するだけでも、何十か月も要することになるでしょう。
そして、何十か月経ったあとに民泊が営業していられるかどうかが、怪しい雲行きなのです…!
2-7.空き家を貸すタイプの民泊は、日本政府が禁止しようとしている!
テレビのニュース番組などで、Airbnb(エアビーアンドビー)のトラブル沙汰に関する報道を見たことがありますね?「外国人宿泊客が飲み騒いで、近隣に迷惑をかけた」というような類のものです。これらのトラブルが起きているのは、ほとんどの場合、「空き家」をレンタルしているケースなのです。
家主は同居しておらず、民泊代行業者もカギの受け渡しやチェックアウト後の清掃しか来ませんから、物件の中に監視者は誰もおらず、そのため宿泊客は、好き勝手に振る舞いすぎてしまう傾向にあります。
こうした、監視者のいない、いわゆる「家主不在型民泊」に対して、日本政府は厳しい目を向けています。民泊全体に対しては、2020年の東京オリンピックに向けて、不足するホテルの代替施設として積極的に規制緩和を進めているのですが、「家主不在型民泊」に関しては、蚊帳の外です。上記のようにトラブルが多いので、野放しにはできないのです。
規制の内容はころころと変わっており、また地域による違いもありますが、基本的に、「チェックイン対応スタッフの居ない物件」は民泊営業を許可しません。また、幾つかある基準を満たした物件に関しても、「年間180日までしか宿泊させてはいけない」という法令が誕生します。
政府の意向をくみ取れば、「家主不在型民泊」でその基準を守れる物件はほとんどありませんし、基準を守れたとしても、年間180日ではまともな収益にはならないのです。特に、民泊のために不動産を借りてくる投機型経営の場合、完全に赤字になるでしょう。
おわかりいただけたでしょうか?「空き部屋」を貸すのと「空き家」を貸すのとでは、その難易度も政府の目の厳しさも、雲泥の差があるのです。
2-8.民泊代行業者やAirbnb(エアビーアンドビー)ノウハウサイトに騙されないで!
このように、「家主不在型民泊」に対する風当たりは日に日に強まっており、また、赤字に転落している物件も増え続けている状況なのですが、民泊代行業者やAirbnbノウハウサイトは、いまだに、「儲かります!」「今が狙い目!」と煽り続け、高額セミナーへの参加を促し続けています。彼らは強気に「任せてください!儲かります!」と言うでしょうが、騙されないでください!
民泊代行業者は、民泊オーナーから代金を徴収しますから、赤字にはならないのです。ノウハウサイトも、民泊セミナーを売り物にしていますから、その参加者が赤字に陥ろうが経営できなかろうが、どうでも良いのです。ですから、彼らの言うことを鵜呑みにしてはいけません!
2-9.「家主不在型民泊」のデメリットのまとめ。
ではわかりやすいようにもう一度、「家主不在型民泊」を経営することのデメリットをまとめましょう。
※家主不在型民泊=空き家を貸し出す、オーナーが在宅していない形態の民泊。
①先行投資に非常にお金が掛かる。(家を所有している場合でも数十万円。家を新たに借りるなら100万円超。)
②ランニングコストもけっこう掛かり、高い稼働率を維持し続けなければ赤字になる。
③民泊代行業者に委託しないと運営ができない。
④民泊代行業者に収益の30パーセント以上を徴収される。
⑤物件にオーナー(監視者)が不在なため、だらしない客層が寄り付きやすい。
⑥そのため室内を酷く汚されたり、騒音のトラブルが起きやすい。
⑦物件にオーナー(監視者)が不在なため、宿泊客のアクシデントや要望に満足に応じられず、クレーム沙汰になりやすい。
⑧民泊代行業者に依頼せず自分で対応するにしても、思いのほか手間暇が掛かる。
⑨高い稼働率をキープし続けようと思うなら、知識や手間がとても必要。
⑩賃貸物件の場合、そもそも大家さんから許可が下りず差し止められる。
⑪持ち家であっても、集合住宅なら管理組合から禁止される確率が高い。
⑫家主不在型民泊に対する周囲からの風当たりが厳しい。
⑬そして、日本政府から営業の差し止めを受けることになる。
これが、家主不在型民泊の厳しすぎる現状です。日本において、これをブラックにならずに営業できるのは、専用の施設を一から建てることのできる超大手企業だけになるでしょう。