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短期利用者向けの民泊経営の手引き-3


3 短期宿泊希望者を受け入れるのに必要なこと。


では次に、短期宿泊希望者を受け入れるにあたってどのような準備をしたら良いかについて、解説していきましょう。


3-1.あなたは短期宿泊者受け入れに向いている?まずはチェックしよう。


まずは、あなたの民泊が短期宿泊者受け入れに向いているか、診断してみることからはじめましょう。民泊の短期宿泊希望者には、ある一定の傾向があります。その傾向とあなたの環境や気質がフィットしていなければ、短期宿泊希望者を受け入れていくのは厳しいです。


①チェックインに柔軟に対応できる?

②交通機関の質問などに手厚く対応できる?

③夜中にスーツケースを引きずられても大丈夫?

④大勢のゲストに対応している余裕がある?


3-1-①.チェックインに柔軟に対応できる?


短期宿泊者は、分刻みのスケジュールで、というのは大げさにしても、短いスパンで次々に町移動をしている人が多いです。予定をたくさん詰め込んでいますし、または予定を他人に合わせるのが難しいということ。すると、「昼の11~12時頃にチェックインさせてください!」などと細かい時間の指定をしてくることが多いのです。


こうした要望に柔軟に対応するには、民泊施設に誰かが常時滞在しているか、民泊代行業者に委託していないと厳しいでしょう。


3-1-②.交通機関の質問などに手厚く対応できる?


短期宿泊者は、フットワーク軽くあちこち動き回っていることが多いです。必然的に、電車の乗り換え手順や夜行バスチケットの買い方などを知りたがります。そうした質問を、民泊ホストのあなたにぶつけてくることが多いということです。「明日富士山に行きたいんだけど、どういう行き方が良いかな?高速バスをネット予約したいんだが、手伝ってもらえませんか?」などと質問されたときに、あなたは快く対応してあげることができるでしょうか?


3-1-③.夜中にスーツケースを引きずられても大丈夫?


1泊などの超短期宿泊者は、町移動の経由的な目的であなたの民泊を利用することが多いです。「空港に到着した後、その日の晩だけ近くの家に泊まる」といったことですね。


すると、あなたの民泊への到着が真夜中になったり、逆にチェックアウトが早朝になったりすることが多いのです。しかし真夜中や早朝は、スーツケースを引きずる音が周囲にとても響きやすいです!そのような悪条件に対応することはできるでしょうか?


3-1-④.大勢のゲストに対応している余裕がある?


これはゲストの傾向というよりも経営状態の傾向ですね。短期や超短期のゲストを繰り返すなら、問い合わせへの対応もベッドメイキングも、とにかく手数が多く必要となります。民泊業務で忙しくなるということです。そのような労働環境に耐えられるでしょうか?



上記4項目のうち、4つともに「YES」と答えられるなら、短期宿泊者受け入れに向いていると言えるでしょう。2つ以下ということであれば、少し調整をしたほうが良いかもしれません。あなた自身が忙殺されて大変なことになるか、ゲストに迷惑をかけてしまうことになります。


3-2.【効率化!】Airbnb問い合わせに対して、定型文を用意しよう。


短期利用者ばかり続くときは、Airbnb(エアビーアンドビー)など仲介サイトでの問い合わせ対応に忙殺されることになります。なるべく一人ひとりに丁寧に返したいところですが、時間的に無理が生じることがありますね。そのような事態に備えて、よく受ける質問に対する定型文を用意して、スマートフォンに辞書登録したり、パソコンにメモ帳を作っておきましょう。たとえば、下記のようなものです。これだけでもとても役に立ちますから、ぜひご活用ください!


・「Thank you for your inquiry.」

 (お問合せありがとうございます。)

・「To Funabashi station from Narita airport, it takes about an hour by train.」

 (成田空港から船橋駅までは、電車で1時間くらいかかります。)

・「This time you can Early chek-in.」

 (今回はアーリーチェックインが可能ですよ。)

・「You can use Pocket Wi-Fi,It's free.」

 (ポケットWi-Fiは無償でご自由にお使いいただけます。)

・「If your flight is delayed, please tell me.」

 (もしあなたの乗る飛行機が遅延したら、私に知らせてください。)

・「If your child togethe, you will an additional fee of 1,500 yen.」

 (お子さんが一緒の場合、1,500円の追加料金をいただきます。)

・「Thank you for staying my Airbnb. :D

  Did you spend comfortable time?

  Please tell me if there are any problems.

  And I'm verry happy if you give me comment on Airbnb.」

 (私のAirbnbを利用してくださって、ありがとうございます。

  快適に滞在することはできましたか?

  何か問題点があったなら、ぜひ教えてください。

  また、Airbnbにコメントをいただけたらとてもうれしいです。)

  

他にも、駅からあなたの家までの道順なども、定型文を用意しておくと良いですね。


なお、英文の作成に関しては、インターネットの翻訳サイトを活用すると良いでしょう。和英・英和辞書で単語を1つ1つ調べるよりも、翻訳サイトのウィンドウに文章を丸々打ち込んでしまったほうが、ずっと速く英訳文を調べることができますよ。また、あなたの英語があまり上手でないなら、英語の文章はなるべくシンプルなものにしましょう。カタコトのあなたが複雑な文章を書いていると、「どこかに書いてある文章を引用してきたんだな。コピペだな。」と気づかれてしまい、ゲストの気分を害してしまいます。


3-3.施設内の貼り紙表示を充実させよう。


これは、チェックイン後の手間を減らす工夫です。民泊ゲストは、チェックイン直後に皆同じような質問をしてくるので、短期ゲストが多ければ多いほど、同じようなやりとりを繰り返さなければならなくなってしまいますね。


それを防ぐためには、貼り紙での説明を充実させると良いでしょう。Airbnb(エアビーアンドビー)のハウスルール欄やあなたの民泊施設のルールブックに書いた内容でも、貼り紙にして掲示するのです。


たとえば、このようなものが有効でしょう。


・客室の目立つところに「Wi-Fi Pasword “smilelife”.」

 (Wi-Fiのパスワードは”smilelife”です。)

・玄関に「Please take off your shoes.」

 (クツは脱いでください。)

・トイレに「Please divert the toilet paper to a toilet stool.」

 (トイレットペーパーは便器の中に捨ててください。)

・エアコンのリモコンに「Red button is Power ON/OFF.」

 (赤いボタンが電源スイッチです。)


他にも、英語で書かれた日本のガイドブックや、英語で書かれた路線図マップなどを用意して、客室に置いたりカベに貼っておくと良いですね。


3-4.客室タイプの見直しを考えよう。


たとえばあなたの民泊が、空港の近くにあるのであれば、利用する民泊ゲストは短期や超短期の滞在が多いはずです。そのような傾向にあるのであれば、ペンションのようなおもてなしの質や人情味よりも、駅前ホテルのような利便性や回転率を重視した民泊に切り替えてしまうのは、どうでしょう?いわゆる「トランジットホテル」ですね。


客室は寝具の充実だけに特化して、1泊の料金を1,500円程度に下げます。安い代わりに、「うちはなんでもセルフサービスです!」と断っておくのです。すると、「寝床さえ得られれば満足だ」と考えているゲストばかりが泊まりにくるようになります。早朝のチェックアウトに対して、「私は眠っているので勝手に出発してください」と突き放しても文句を言われたりはしませんし、それでもそれなりの稼働率と売り上げはキープできることでしょう。


空港のそば以外には、有名ミュージシャンが利用するような大きめなコンサート会場が近くにある場合も、こうした経営に向いていると言えます。コンサート目的の民泊ゲストは長期滞在はしませんし、ホストとの交流や暖かいおもてなしを期待していることは少ないですね。


3-5.「今すぐ予約」をONにしてみる。


「短期のゲストも受け入れたいけれど、問い合わせに対応するのは面倒だ」という場合には、こういうアイデアがあります。Airbnb(エアビーアンドビー)の管理設定画面で、「今すぐ予約」をONにしましょう。


このようにすると、あなたの民泊施設に興味を持ったゲストは、あなたとの質問やあいさつのやりとりを無しに、即座に予約申し込みを完了させることができます。あなたはメール対応の手間が省かれるというわけですね。


もともとこの「今すぐ予約」の利用は、不審な登録者やハウスルールをよく読まない登録者を選り分けられないためにリスキーな制度だったのですが、システムやセキュリティが改善されてきているため、以前よりは使い勝手が良くなっています(安全性が強化されています)。それでもやり取りを経ての予約よりは危険性が高まるので、慎重な姿勢は崩さないようにしましょう。


3-6.清掃料金の値下げや撤廃を検討しよう。


Airbnb(エアビーアンドビー)は2016年から、清掃料金という項目を設定しはじめました。宿泊料金とは別に、清掃料金を徴収することが可能になりましたね。徴収するか否かは各ホストの任意となっており、清掃業者に清掃を委託している場合には経費削減ができて便利ではあります。が、清掃料金の徴収は慎重に決めましょう!


というのも、清掃料金は宿泊日数の長さにかかわらず、一律の料金が課せられることになります。たとえば、清掃料金が7,000円と記載されている施設に泊まるなら、5人で10泊しても7,000円、1人で1泊するだけでも7,000円なのです!短期利用者にとっては非常に大きな負担となります。ということは、短期利用者は清掃料金の設定されている民泊施設を、敬遠したがるということです。あなたの民泊で清掃料金を徴収するなら、稼働率は下がってしまいやすいということ。


投機型の民泊であり、清掃代行業者に委託しないと稼働のしようがない場合には、徴収せざるをえないかもしれません。が、最近は、海外を中心に、ホームステイ型(家主同居型)の民泊施設でも清掃料金を設定しているところが増えてきています。徴収すること自体は違反でも悪でもないのですが、稼働率低下というリスクを伴うことは、よくよく頭に入れておいたほうが良いですね。



4 総論:短期利用者の受け入れは、ゆとりのあるホスト向き。


これまで、様々なケースにおける短期利用者受け入れの対処法を解説してきました。民泊代行業者に委託している投機型民泊でも、サラリーマンの副業のような片手間民泊でも、ちょっと工夫したり我慢したりすれば短期利用者を受け入れることは可能です。が、やはり、稼働率や宿泊収入の低下につながったり、忙しくなりすぎてしまったりするリスクを伴います。


すると、基本的に短期利用者の受け入れは、「時間や心にゆとりのあるホスト」向きだと言えますね。家に常にホストファミリーの誰かが滞在している、ホームステイ型民泊に向いているということです。投機型のホストや片手間型のホストの場合、2泊以下の超短期ゲストは切り捨てたほうが経営しやすいかもしれません。

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