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田舎の不動産投資!伊江島の民泊から読む魅力と経済効果-4


4 伊江島に学ぼう。農家民泊プロジェクトがもたらす地域への経済効果。


それでは今度は視点を変えて、農家民泊プロジェクトの立ち上げを検討している自治体や協会の方々へ向けて、経済効果の実例をご紹介しましょう。


4-1.伊江島の農家民泊動員実績。受け入れは年間50,000人以上!


2014年の数字となりますが、年間で約300校、延べ約57,400人(連泊含む)が利用しています。前年よりも5校、約4,300人増加しており、農家民泊プロジェクトの開始から10年以上が経ってもなお、利用者数は増加傾向。


4-2.島全体への経済効果は、宿泊費用だけでも年間5億円以上!


1人1泊9,000円が57,400人(泊)ですから、農家民泊の宿泊(体験)費用だけでも年間5億円以上の収入を島にもたらしています。さらに、生徒たちは島の商店で食料を買ったりお土産を買ったりするため、トータルでの経済効果は7億円以上に。


ホテル事業やアミューズメントパーク事業とは異なり、施設の建造や準備にほとんど資金はかかっておらず、食事を生徒たちと一緒に作ることなどで労力も最小限に抑えられ、それでいて年間7億円もの経済効果は、ビジネスや村おこしとして非常に優秀な数字と言えます。


他の地域が真似る場合、お土産や名産品の販売を強化したり、大人の利用客を上手く増やすことで、宿泊(体験)費用以外の収益はもっと増やすことができるでしょう。ただし、地域の中があまりにも商売じみてしまったり観光整備されすぎてしまうと、「農家民泊」を求める層からは毛嫌いされてしまう傾向にあるため、あまり欲に走るのはよくありません。


このトピックを、利用する側の学校関係者の方が見ているならば、日本の地域活性への貢献を考えてみてください。これまで京都や東京に集中していた修学旅行による経済効果が、過疎や貧困に苦しむ弱小の自治体に流れこむことになるのです。これは間違いなく、日本全体の平等な経済活性や地方再建に貢献できます。


4-3.お金だけじゃない!農家民泊プロジェクトが生み出す恩恵。


地域で農家民泊の取り組みを行うことは、経済的な恩恵以外にもメリットがたくさん!


(1)人の流入が増え、活気が出てくる。

(2)町の知名度が上がり、ブランド力がつく。

(3)町の知名度が上がり、移住してくる人が増える。

(4)若い世代に農業のすばらしさを教えることができる。

(5)来客に備え、町も家もきれいになる。

(6)町の住人の自立心と協力心が高まる。



5 伊江島から学ぶ、民泊プロジェクト立ち上げの課題と対策。


地域ぐるみの農家民泊のプロジェクトは様々な面で有益ですが、もちろん大変なこともたくさんあります。どのような困難があり、どのように乗り越えてゆけばよいのでしょうか?それも事前に学んでおきましょう。


(1)良い生徒ばかりじゃない!苦い思いをしてもへこたれない根気が大切。

(2)住民それぞれの町おこし意欲がとても重要。

(3)農家民泊に向いた地域だろうか?よくよく検討することも大切。


5-(1).良い生徒ばかりじゃない!苦い思いをしてもへこたれない根気が大切。


2003年、伊江島が初めての試験的な農家民泊受け入れを実行した際、不運にも、対象の学校はガラの悪い生徒の多いところでした。船から降りた生徒たちが、ガングロ、ヘソ出し、金髪、チャラチャラだったのを見て、島民は唖然とし、もちろん第一印象は「相当悪かった」のだそう。外見だけでなく、ルールを破って喫煙したり、夜中に抜け出して買い物に行ったり、農産物である菊を折ってしまったり・・・とやりたい放題で、島民の誰もが「修学旅行生の農家民泊などもうこりごりだ!」と天をあおぐほどだったのです。


しかし、伊江島観光協会の山城氏の「3回までは様子を見よう」という掛け声のもと、島民は辛抱強く頑張りました。幸いにも二校目は「純朴で素直な子の多い田舎の学校」、三校目は「目的意識の高い子の多い都内私立校」で生徒たちのマナーはすこぶる良く、やっていける自信が持てるようになったのです。


5-(2).住民それぞれの町おこし意欲がとても重要。


伊江島に限らず、地域ぐるみでの農家民泊プロジェクトの立ち上げは、資金を払って開発コンサルタントに丸投げすれば自動的に進むようなものではありません。各家庭が受け入れに協力し、親身になって宿泊客に接し、トラブルで名を汚さないよう努力に励む必要があります。これはもちろん、住民各人に相当大きなエネルギーが必要です。


5-(3).農家民泊に向いた地域か?よくよく検討することも大切。


伊江島の農家民泊が日本で有数の評判を得るに至ったのは、伊江島島民の昔からの開拓精神が実ったからだけではないでしょう。沖縄という絶好の観光地の中に位置していること、観光地のわりに農業が盛んなこと、近くに本部(もとぶ)の近代的観光施設・宿泊施設が控えていること、島民の気質が生徒たちの世話に向いていること、地域活性への強いバイタリティが島民全体にあったこと・・・などなどが、大きくプラスに働いていると分析できます。


つまり、単純に経済効果だけを期待し、「田舎だから農家民泊をやろう」と考えるようでは、あまり上手くはいかないかもしれません。地域の特色によっては、何がなんでも農家民泊で成功しようと考えるよりも、まったく別な振興策を検討したほうが良いでしょう。



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