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民泊経営で近所迷惑にならない対策方法は?-1


―Airbnb(エアビーアンドビー)民泊―


2014年の日本支社設立からわずか2年足らずで、早や登録民泊物件数は30,000軒を大きく超えました。「飛ぶ鳥を落とす勢いで…」などとあちこちで話題に上るAirbnb民泊ですが、実はすでに、起業ブームは下火になりはじめています。


近隣住民との間にトラブルを起こしてしまい、撤退を余儀なくされたホストが少なくないのですね。そしてそうした撤退ホストの実例もあちこちで見聞きされるようになり、軽い気持ちで参入しようとする投機系民泊ホストは、減ってきているのです。


「でも、ご近所とのトラブルなんて普通に生活していてもよくあることだし…」とあなたは思うかもしれません。が、民泊トラブルがどのような実情が、ご存じですか?その対策は、しっかり練られていますか?


民泊での近所迷惑があなたの人生を狂わせてしまわないように、このページでは一緒にお勉強していきましょう。



1 【甘くみないで!】民泊で近所迷惑を起こすと、どんな展開が待ち受けているの?


最近の日本人には、自分の行動の結果が予測できない人が増えているのだそうです。民泊で近所迷惑を起こすと、どのような展開が待ち受けているのでしょうか?シミュレーションしていきますから、流し読みなどせずじっくり読んでくださいね。


1-1.「6カ月以下の懲役または30,000円以下の罰金に処する!」


最も受ける可能性の高い処罰は、これでしょう。


「6カ月以下の懲役または30,000円以下の罰金!」


これは、旅館業法に定められている罰則です。民泊は簡易宿所の1つで、旅館業法に管轄されています。旅館業法の法律違反を犯したならば、こうした罰則に処されるということですね。「30,000円以下の罰金」というのはあまり大したことのないものと感じますが、「6カ月の懲役」はどうでしょう?懲役の意味がわかりますか?刑務所での独房生活です!半年も刑務所に閉じ込められて、犯罪者たちと一緒に生活しなければならなくなるのですよ!


さらに、これだけではないのです。旅館業法の処罰だけで済むとは限りません。


1-2.器物破損や迷惑防止条例違反でも処罰されてしまう!


近所迷惑を起こすことで近隣住民から訴えられた場合、犯した犯罪は「旅館業法違反」ではありませんよね。器物破損や迷惑防止条例違反で処罰される可能性が高いです。そして、そうして立件される最中に、あなたの民泊が旅館業法に反していたことも明るみになってしまい、「6カ月以下の懲役または30,000円以下の罰金!」のほうも課せられてしまうというわけです。(一般家庭での民泊が旅館業法の施設規定を満たすことは、現状ではまず無理なのです。)


それだけで済むのでしょうか?代償はまだあります!


1-3.民泊のために準備したものは全てがパー!近隣との人間関係も真っ暗に!


あなたの民泊が近所迷惑を巻き起こし、警察沙汰・裁判沙汰となってしまったなら…それが投機型の民泊であった場合、立ち退きを命じられるでしょう。高い敷・礼金や契約料はパーになってしまいますし、豪華なベッドや冷蔵庫など、買いそろえた家電もパーになってしまいます。損失額は100万円にも上るのではないでしょうか。


次に、あなたの民泊が、住居の一部だけを開放するホームステイ型民泊であった場合。住まいの立ち退きということはあまり考えられません。そこを追い出されることはあまり無さそうですが、民泊の経営は差し止められてしまうでしょう。お金を稼ぐことも、民泊ゲストと楽しく交流することも、もう出来なくなってしまします。それだけは済みません!近隣住民からは「迷惑者!」「トラブルメーカー!」といったレッテルを貼られ、疎まれてしまいます。著しく居心地が悪くなり、暮らしにくくなってしまうでしょう。


1-4.騒音だけでも200万円の損害賠償!?


旅館業法の違反は、罰金額については30,000円以下と微々たる額でしたが、騒音が罪として立証された場合はそう甘くはありません!


たとえば、「マンションの上階の幼児の足音がうるさい」といった程度の騒音でも、240万円の賠償を言い渡されたケースがあります。このときの騒音は40~50デシベル程度で、大人が数人で呑み騒いでいれば、簡単に超えてしまう数値です。


また、民泊の営業停止を言い渡された場合、その段階で予約の入っていたゲストたちにキャンセルをしなければならなくなります。ここでも罰則金が発生してきますから、覚えておきましょう。



2 民泊経営で最も重要なことは、近所迷惑にならないこと!


「Airbnb(エアビーアンドビー)などの民泊経営は、そのほとんどの物件がグレーゾーンである」といった話を、耳にしたことがあると思います。それは事実で、現在、日本のAirbnb民泊の99パーセント以上が、自治体の許可を得ていない違法営業です。とはいえ、これに関してはあまり神経質になることはありません。一般家庭で旅館業法の規定を満たすことはほぼ不可能なのですが、それ自体を咎められることは、ほとんど無いからです。日本政府は民泊を推進したいと考えていますし、地方自治体が違法民泊を突き止めて1つ2つ処分するのは、至難の業だからです。


しかしこれが、あなたの近隣住民が「○○さんの民泊を家宅捜索してください!」と警察や自治体に訴えたなら…?あなたはすぐに、逮捕されてしまうのです。


それを防ぐためには、「近隣トラブルを起こさずに民泊経営する」ということが何よりも重要になってくるのですね。



2-1.ご近所さんの92.3パーセントの人々は、民泊に対して渋い顔をしている。


騒音をはじめとして、多少のトラブルはいつの世もどこの町でも付き物です。多少の迷惑をかけあい、許し合いながら私たちは暮らしているわけなのですが、こと民泊トラブルに対しては、日本人はとても神経質になってきています。


ジャストシステム社が2016年2月18日、「民泊に関する意識調査」の結果を発表しました。調査の対象は、東京都在住の20~69歳の個人1,000人。有効回答は全1,000人です。


・「民泊」という言葉を知っている…90.1%。

・Airbnb(エアビーアンドビー)について少なからず知っている…40.2%。


民泊認知者のうち、

・「民泊サービス」が犯罪目的で利用される可能性を不安に感じる…66.7%。

・「民泊サービスが解禁になる」という報道について、反対を示す…47.4%。


戸建て住宅(持ち家)に住んでいる民泊認知者のうち、

自宅周辺で「民泊サービス」が増えたら引っ越す…27.9%。


最後にとてもわかりやすい項目を挙げると、

民泊の自由化を歓迎する…7.7%。


つまり、92.3パーセントの人々は、民泊の自由化に対して難色を示しているのです。


民泊ホストは、敵視されている不遇な状況の中で、クレーム沙汰を起こさないように気をつけなければならないのですね。


2-2.起きやすい民泊トラブルを知っておこう。


では次に、発生しやすい民泊トラブルについてお話します。これらは特に注意を払い、対策を練っておきたいものですね。


①騒音問題。

②ゴミ問題。

③タバコ問題。

④家を間違えてノックしてきたり入ってきたりする。

⑤マンションのゲストルームを独占される。

⑥マンションの公共施設を独占される。


2-2-①.騒音問題。

民泊トラブルの中でも最も報告事例が多いのは、騒音問題です。


まず、最も厄介なのが、「呑み騒ぎ」ですね。民泊ゲストたちがお酒を呑み、パーティのように騒ぎはじめてしまうのです。酔っているので、大声になっていることも迷惑をかけていることも自覚ができず、どんどん深刻化していきます。周りから注意を受けてもケンカしてしまったりして、収拾がつかなくなることも。物を壊したり吐しゃしてしまったりといった、二次災害を生み出してしまうことも多いですね。


2つ目は、電話です。Airbnb(エアビーアンドビー)の宿泊利用者には外国人が多いのですが、今やスカイプやLINEで無料通話ができる時代!多くのゲストが音声通話を利用しており、それが深夜になると、かなり気になる騒音になってしまいます。ホストや仲間に聞かれるのを嫌ってベランダに出てしゃべってしまうと、これはもう大変!


3つ目は、集合住宅エントランスでの立ち話です。これも酔っ払いに多いのですが、マンションのエントランスなど公共エリアに立ち尽くして、大きな声で話し続けてしまいます。


4つ目は、テレビやDVDを視聴する際の爆音です。ときどき、信じられないくらい大きな音でスピーカーを震わせる人がいますね!外国人には、そのような人が日本人よりも多いです。「うるさい」と感じる基準が国によって違うため、当人は迷惑行為をしている自覚が乏しいので厄介です。


2-2-②ゴミ問題。

ゴミ問題も、騒音問題と1,2を争うほど多いトラブルです。ピンとこないかもしれませんが、ゴミ出しの時間が間違っていたり分別が守られていないと、管理組合(自治会)や住民からクレームが起きやすいのです。


多くの民泊ホストは、ルールブックにゴミの仕分け方法や出し方について、説明文を載せていますね。けれども、外国人ゲストの場合は特に、文章をちょっと読んだくらいでは理解ができません。そもそも日本ほど几帳面にゴミ分別をしている国は稀で、外国人に徹底させるのは無理があるのです。可燃ゴミの中にビンや缶を放り込むようなことが、普通に起こります。日本人でさえ、地域によってルールが異なるので戸惑い、うまくできないことがありますね。


2-2-③.タバコ問題。

タバコは、あなたの民泊がマンションなどの集合住宅なら絶対に明文化して、ゲストには禁煙を徹底してもらいましょう。禁煙ルールを明文化していても、それを守らないゲストがいるのですが…。家の中で吸われてしまうぶんにはホストしか被害をこうむりませんが、ベランダやエントランスで吸われてしまうと、近所迷惑にもなってしまい、クレーム沙汰になってしまいます。


2-2-④.家を間違えてノックしてきたり入ってきたりする。

これはマンションなど集合住宅でよく報告されるトラブルです。


「私の部屋は505号室ですよ」としっかり教えても、不慣れな建物であり、似たような構造の階層が連なる他人の集合住宅では、入る部屋を間違えてしまうことがあります。中にまで入らずとも、インターホンやノックを間違えてしまうだけでも、近隣住民からクレームを受けてしまうことがありますよ。


2-2-⑤.マンションのゲストルームを独占される。

これは、民泊ゲストではなく、ホストが行う迷惑行為です。


高級マンションにはゲストルームと呼ばれる部屋がありますね。住民の親戚や友人などが遊びに来た際に泊まれる、ホテルのような役割の部屋です。ゲストルームは、そのマンションの住民であれば申請するだけで簡単に安価に使えるものなのですが、これを利用して、民泊物件に転用しているホストがいるのです!他の住民が利用できなくなりますから立派な迷惑行為で、クレームの対象となりますね。


2-2-⑥.マンションの公共施設を独占される。

これはゲストルームの項目と似ていますが、民泊ゲストが行う迷惑行為なので、注意が必要です。


やはり高級ホテルの中には、ラウンジやプール、フィットネスジムなど、マンション住民にのみ開放されている公共施設があります。民泊で泊まりにきたゲストもこれらを使うことができるわけなのですが、その度が過ぎてしまうと、やはりマンションの共同住民から苦情が入ってしまいますね。


2-3.近所迷惑は未然に防ごう。対策はあります!


よくあるトラブルの一例を見るだけでも、気分が落ち込んでしまいますね…。でも、効果的な対策はあるのです!近所迷惑を与えてしまったときに迅速丁寧に謝罪することはもちろん大切ですが、それ以前に、起きないよう未然に防ぐ心構えが大切なので、勉強しておきましょう。


①Airbnb(エアビーアンドビー)上で禁止事項を徹底する。

②民泊施設内に貼り紙をたくさん掲示する。

③中国人向けに、中国語の記載を充実させる。


2-3-①.Airbnb(エアビーアンドビー)上で禁止事項を徹底する。

まず第一に、Airbnbのリスティング(施設の詳細ページ)上で、禁止事項の記載を徹底しましょう。「ハウスルール」という項目でタバコの可/付加やパーティの可/付加などを掲載することができます。それはもちろんのこととして、それ以外の記入欄にも、お部屋の説明などと関連付けて、クドいくらいに記載しておきましょう。


また、問い合わせのメールをもらったなら、「ウチは禁酒・禁煙・パーティ禁止なのですがよろしいですか?」と、さらにクギ刺しして確認を取ると良いですよ。なにしろ、リスティングにどれだけ口酸っぱく書いたところで、そもそもリスティングをロクに読まない利用者もいるのです…。また、初心者のユーザーなどは、悪気がなくても仕組みやハウスルールを理解できていないことがありますね。クドいほどの釘刺しは、とても大切なのです。


2-3-②.民泊施設内に貼り紙をたくさん掲示する。

次に、貼り紙作戦です。もちろん、ルールブックを作成し、禁止事項をすべて、日本語だけでなく英語で記載しておくことは当たり前ですよ?しかしこれもやはり、ルールブックをロクに読まないゲストがいますし、流し読みになってしまったり、英語の文章を読めないゲストもいるんですよね。


そのため、関連する場所にあちこちと、貼り紙を貼るのが有効です。もちろん、「NO SMOKING!」の文字の横には、タバコにバッテンをした絵を描きましょう。イラストは、文字よりもずっと多くの人に解読できますし、また目に飛び込んできやすいのです。


2-3-③.中国人向けに、中国語の記載を充実させる。

3番目が、中国人対策です。人種で区切るのはあまり良くないことですが、実際問題として、マナー違反を犯す民泊ゲストには中国人が多くなっています。これは、中国人の気質や生活習慣の問題だけでなく、英語を読めない人が多いという言語的問題がありますね。そのため、ルールブックや貼り紙を、全て中国語でも用意してあげましょう。それだけで、近所迷惑となるほどのトラブルはかなり減るはずです。


さて、これらの対策を講じることで、トラブルは50パーセントくらいは減らせるでしょう。文字通り半減ですからかなりのものですが、しかしまだ、半分も残っています…。その半分を一掃するには、もっと抜本的な対策を講じる必要があるのです。

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