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民泊経営者のこと?Airbnbにおける「ホスト」とは?


どの業界にも専門用語というものがありますが、Airbnb(エアビーアンドビー)民泊にもやはり、いくつかの用語があります。中でも最も重要であり頻繁に登場する言葉が「ホスト」というものでしょう。この言葉はどのような意味なのでしょうか?


日本のエアビーアンドビー民泊が歪んでしまったのは、「ホスト」という言葉の意味を理解していない人があまりにも多すぎたゆえのことなのですが、あなたは「ホスト」の意味を、正確に説明できますか?そして、理解できていますか?


この記事を読んで、改めて確認してみてください。



1 ホストは和訳すると「主人」。ホスティングは和訳すると「もてなし」のこと。


「ホスト」の意味を探るうえで、まずは単純に日本語に訳してみることから始めてみましょう。


ホスト=hostは和訳すると、「主人」という意味になります。家などの主のことですね。また、民泊ホストを行うことを「ホスティング」と言いますが、この「ホスティング=hostingu」を和訳するなら、「もてなし」という意味になります。


英語の「ホスト」には2つの意味があるということですね。



2 水商売では、「ホスト」とは「甲斐甲斐しくもてなす給仕者」のこと。


ホストという言葉から何が連想出来るかと考えてみると、多くの日本人は水商売を思い浮かべるのではないでしょうか。クラブと呼ばれるようなお店で給仕をする男性のことを「ホスト」と言い、女性のことを「ホステス」と言います。これは、「主人」の意味とはかなり異なります。


彼らの仕事は、客をもてなすこと、甲斐甲斐しくお世話することです。世の中に接客サービスは数多くありますが、客のタバコに火を点けることまでやってあげる仕事はそうはありません。そして、そこまで甲斐甲斐しく世話する仕事の給仕者が「ホスト/ホステス」と呼ばれているわけです。



3 昔ながらのホームステイの給仕者は「ホストファミリー」と呼ばれていた。


日本人にとって、民泊(ホームステイ)の給仕者として馴染みが大きいのは、「ホストファミリー」という言葉でしょう。従来は、民泊を営んでいる家族のことを「ホストファミリー」とは呼んでも「ホスト」とは呼びませんでした。


それゆえ日本人にとって、Airbnb(エアビーアンドビー)で「ホスト」という言葉が出てくると、「え、それってホストファミリーとは違う意味なのかな?」と戸惑ってしまうのかもしれません。



4 エアビーアンドビー民泊の主は「ホスト」であって「マネージャー」ではない。


普通、事業の長や会社の長のことは、「マネージャー=manager」と呼びます。しかし、Airbnb(エアビーアンドビー)民泊の家庭の長のことは「マネージャー」とは呼びません。


エアビーアンドビーの長というのは、「マネージャー」ではないのです。「マネージャー」ではなく、あくまでも「ホスト」です。


「マネージャー」ではなく「ホスト」である。このことをあなたは、理解していましたか?



5 外国人のエアビーアンドビー・ホストは「ホスト」の意味を察しているから「おもてなし」をする。


多くの国は、英語を母国語とするか、または第二言語として頻繁に扱っています。そのため、外国人のAirbnb(エアビーアンドビー)ホストの多くは、「ホスト」という言葉の意味をよく理解しています。


彼らにとって、エアビーアンドビー民泊の主が「マネージャー」ではなく「ホスト」であることは明確に理解されており、そのため、「投機型民泊」「家主不在型民泊」という概念はほとんど出てこないのです。ご存知でしたか?日本市場では70%以上を占めていると言われる投機型民泊ですが、世界全体で見れば10%に満たないほどの少数派。


海外のエアビーアンドビー民泊の主たちは、「マネージメント」をしているのではなく「ホスト」をしているのです。エアビーアンドビー民泊の主とは、「マネージメント」を担う者ではなく「ホスト」を担う者であることを、彼らは理解しています。彼らは、「経営」ではなく「もてなし」がしたいから、エアビーアンドビー民泊の主になるのです。


そのため海外のエアビーアンドビー民泊家庭には「もてなし」を行う「ホスト」が当たり前のように在住しています。しかし日本のエアビーアンドビー民泊には、「経営」を行う「マネージャー」ばかりが氾濫していて、「もてなし」を行う「ホスト」が少数しかいません・・・。


これは明らかに、民泊というものの本質からズレてしまっています。



6 「ホスト」ではなく「マネージャー」ばかりだから、日本のエアビーアンドビー民泊はトラブルが多い。


日本人には、「Airbnb(エアビーアンドビー)民泊とはトラブルの多いものだ」と考えている人が多いことでしょう。しかし、世界を見渡してみるならば、トラブルはそう多いものではありません。それに、「エアビーアンドビーはトラブルメーカーである」とまゆをひそめる人も、海外にはそう多くはないのです。


本来、エアビーアンドビー民泊の主は「ホスト」であり、一般家庭・一般素人であっても「もてなし」を行うため、トラブルはあまり発生しません。それが日本の(家主不在型民泊の)場合、「もてなし」を必須とするはずの民泊なのにもてなしスタッフを置かず無人で対応しようとするので、トラブルが多発してしまうのです。


日本のエアビーアンドビー民泊にトラブルが多いのは、「民泊がトラブルの種だから」なのではなく、「民泊に必須なはずのホスト(もてなし者)が不在であるから」です。



7 日本のエアビーアンドビー・ホストの多くは「ホスティング」をしていないということ。


つまり、日本で主流の家主不在型民泊のホストは、本来の責務である「ホスティング」を行っていないのです。彼らは「マネージメント」をしているだけで、「ホスティング=もてなし」は行っていません。



8 民泊代行業者もまた、「ホスティング」は行っていない。


または、民泊代行業者に業務委託することで、「ホスティング」を代行してもらっているつもりになっていますが、民泊代行業者もやはり、「ホスティング」は行っていません。民泊代行業者は「業務」を代行しているだけです。ゲストユーザーからの問い合わせに1時間以内に返信し、民泊物件までの道案内やハウスルールをテンプレートメールで返信することは「業務」であり、それは「もてなし」ではありません。


「もてなし」とは、迷子にならないようにゲストの身に寄り添って送り迎えをするようなことを指します。


ちなみに、大手のホテルも旅行者の送迎を行いますが、ここには送迎料金が徴収されています。そのためこれも、「もてなし」というよりは「追加サービス」という意味合いのほうが近いと言えるでしょう。



9 民泊の体裁を回復するためには、「規則」よりも「モラル」が重要。


日本のAirbnb(エアビーアンドビー)市場は、家主不在型ホストのあまりの氾濫により、「民泊」ではなく「ウィークリーマンション」のような業種になってしまっています。これを本来の民泊の体裁に戻すために、日本政府が民泊新法を制定し、「家主が家に滞在していなくてはならない」などといった規則を設けようとしていますが、規則を何カ条設けたところで、本来の民泊の体裁を取り戻すことは困難でしょう。


結局のところ、「民泊家屋に滞在する」ということを時給制などで外部委託し、接客内容をマニュアル化して対応させるなら、それは「接客サービス」にすぎず、「もてなし=ホスティング」とは意味の異なるものとなってしまいます。そして、民泊のようで民泊でない、どこかむなしい民泊になってしまうのです。


日本のエアビーアンドビー民泊が本来の体裁を取り戻すためには、日本政府やエアビーアンドビー社が規則を充実させることではなく、「『マネージメント』ではなく『ホスティング』をしたい」と心底願うホストが増えるのを、待つしかありません。



日本人は英語を苦手とする人が多いですが、エアビーアンドビー民泊の受け入れを重ねることにより英語が上達したときに、「ホスト」や「ホスティング」の意味に気付き、本来の、温かみのある、おもてなしの豊かな民泊へと成熟していくのかもしれません。

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