3 これなら失敗しない!農家民泊受け入れの手引き。
では、農家民泊の基礎を理解したところで、このトピックでは受け入れのための手引きを、具体的にご紹介していきましょう。
3-1.集客の窓口は?地域の協会か民泊仲介サイトを活用しよう。
農家民泊をやるとしても、どうやってお客さんを集めたらよいのでしょう?事業にとって宣伝・集客は、最も頭を悩ませる難しい作業と言えるかもしれません。20年前なら個人事業主にはとても難しいことでしたが、今はそう難しくはありませんよ。農家民泊の場合、代表的な方法は2つです。
(1)地域の農家民泊協会のようなものに加盟し、そこで宣伝してもらう。
(2)「とまりーな」などの民泊仲介サイトに登録して、自力で経営する。
3-1-(1).地域の農家民泊協会のようなものに加盟し、そこで宣伝してもらう。
最も一般的な宣伝・集客方法はこれです。今や日本のかなり多くの地域に、農家民泊振興協会のような組織が存在しています。NPOのような非営利団体が運営しているか、または市役所などの行政が行っていることが多いでしょう。
こうした団体に加盟すれば、そこのホームページやパンフレットの中に、あなたの農家民泊の情報も載せてくれるはず。起業のための相談にも乗ってくれるでしょうし、同じ地域の農家民泊の家主と交流をしながら、助け合えます。
もしあなたの地域にそのような団体が存在しないなら、あなたが発起人になってみてはいかがでしょうか?基本的にグリーンツーリズムも農家民泊の振興団体も、そうした一般市民が旗揚げし、手作りで協力し合って進めていることが多いのです。
3-1-(2).「とまりーな」などの民泊仲介サイトに登録して、自力で経営する。
近年は、農家民泊の宣伝・集客方法に新たな方法が登場してきています。それは、農家民泊専門の民泊仲介サイトに登録すること。
現状(2016年秋)では「とまりーな」というサイトが最も有名で、最も大きな集客力を持っているでしょう。ちなみに、Airbnb(エアビーアンドビー)は、民泊サイトとしては圧倒的に有名ですが、農家民泊に特化しているわけではないので、この場合は選ばないほうが賢明です。農村地域にあってもただ宿泊業を行いたいだけなら、Airbnbのほうが良いですね。
地域の民泊協会でなく「とまりーな」を選択するメリットとしては、自由度が高くなることが挙げられます。料金から提供する体験プログラムまで、ある程度自由に決められるため、組織に属して「右にならえ」をやらされることが好きでない人にとっては、運営しやすいでしょう。逆にデメリットは、協力や相談に応じてくれる人が居なくなってしまう大変さが否めません。
3-2.農家民泊の適正な料金設定は?
農家民泊の良いところの1つとして、Airbnb(エアビーアンドビー)などの普通の民泊よりも高い相場となっていることが挙げられます。
3-2-1.料金設定は、1人1泊5,000~8,000円。
普通の民泊はシングル1泊2,000円、2人で3,500円、ファミリーで10,000円くらいまで値崩れしてきてしまっていますが、農家民泊の場合は1人1泊5,000~8,000円くらいの相場をキープし続けています。
特筆すべきは「1人5,000円」という料金換算で、2人なら2倍の10,000円、4人なら4倍の20,000円を得られるのが嬉しいところ。通常、宿泊施設は人数が増えるほど1人あたりの単価が下がりますが、農家民泊の場合は「体験」が主商品であるため、2人で1つの部屋に泊まってもらうとしても、それが4人や5人でも、1人あたりの単価が下がりません。
3-2-2.地域の協会の場合、料金は決められていることも。
地域の民泊協会に加盟する場合、料金は一律で、その民泊振興組織に決められていることがあります。この場合、地域の他の民泊家庭と競争やいさかいが起きない利点がありますが、自由度が低くなってしまうのが難点です。
たとえば1泊7,000円と決められている場合、全国相場に対してやや高額なため、予約が入りずらいかもしれません。あなたが積極的に予約を取りたいと思っても、価格を下げて集客数を増やすような戦略は立てられませんね。
3-3.農家民泊で見込める収入は?平均的には月収15万円くらい。
前述のとおり、農家民泊は1人1泊あたりの収入単価がなかなか高いです。ファミリーなどのグループ客が多いので、仮に1人1泊7,000円で提供したとすると、1ヵ月のうち30日間毎日埋まるなら、月収は100万円近くにもなります。月収100万ともなると、もはや副収入ではありませんね!
しかし、それはもちろん机上の空論に過ぎません。いくら農家民泊が人気を博しているといえども、連日予約で埋まりどおしというのは難しいでしょう。現状、月収15万円程度を得ている家庭が多いようです。100万円と比較すると落胆してしまうかもしれませんが、普通のホームステイ型民泊だと月収50,000円程度のものですから、やはり農家民泊の収入効率は良好と言えます。
3-4.どんなコンテンツが体験民泊に使えるの?
体験民泊で提供されているコンテンツは農業に限らず、また、漁業や林業、畜産にも限りません。以下に代表的なものを挙げてみましょう。
(1)田植え・稲刈り
(2)野菜・果物の収穫
(3)魚釣り・船舶漁
(4)芋掘り
(5)林の間伐
(6)薪割り
(7)炭焼き
(8)キノコ狩り
(9)山菜摘み
(10)ハチミツ採集
(11)酪農
(12)鶏卵採集
(13)養豚の世話
(14)里山の散策
(15)川遊び
(16)ホタル観賞
(17)星空観察
(18)紅葉狩り
(19)クワガタ採集
(20)雪遊び
(21)潮干狩り
(22)お茶摘み・お茶煎り
(23)梅干し・梅ジュース作り
(24)栗拾い
(25)干し柿作り
(26)餅つき
(27)味噌作り
(28)しょう油作り
(29)郷土料理教室
(30)お正月やまつりごとのお飾り作り
(31)各種伝統芸能体験
(32)そば打ち・うどん打ち
いかがでしょうか?非常に多岐に渡っています。ある程度田舎の地域、自然の多い地域なら、何かしらの体験環境を持っているのではないでしょうか。もちろん、ここに書かれていないコンテンツでもかまわないはずです。
1つの家庭で複数のプログラムを提供しており、ゲストに自由に選択してもらったり、季節によって変更したりするケースもよく見受けられます。
3-5.農家民泊の開業に必要な資金は?水回りのリフォームと布製品代。
農家「民宿」では、旅館業法で定められた設備基準を満たすために、トイレやシャワーを増築したりする必要性があり100万円単位の出資が避けられませんが、農家「民泊」であれば、今住んでいる家をそのままでもかまいません。
ただし、水回りに関してはあまり古いと抵抗を感じるゲストが多いため、リフォームしたほうがベターではあります。また、布団やタオルなどの布製品も、あまりに古いなら新調しましょう。特に古い布団はダニやカビを含んでいることが多く、ぜんそくやアレルギー性鼻炎を持つゲストが発症してしまう恐れがあるので注意してください。