
4 そもそも「勝ち抜く」のが難しいエアビーアンドビー業界・・・。
Airbnb(エアビーアンドビー)民泊業界というのは、そもそも、「勝ち抜く」(大きな利益を出す)のが難しい業界なのです。
「1円でも多くの利益を!」「1パーセントでも高い稼働率を!」と血まなこになっているホストさんには、少し悲しいお話かもしれません。しかし、これは民泊のホストをするうえでとても重要なことなので、目を背けずに知っておきましょう。
4-1.稼働率を上げるには値段を下げるか、または大きな資金が必要となる。
ここまで読んできてお気づきの方も多いことでしょうが、基本的に、Airbnb(エアビーアンドビー)で稼働率を上げるには、値段を下げるか、または大きな資金が必要となります。「渋谷でやりさえすれば今でも70パーセントはマークできるよ」と言うかもしれませんが、その渋谷に民泊可能物件を借りてくるには、千葉の房総で物件を借りるよりも何倍もの費用が掛かるわけです。グランドピアノを置くにしても、プールを置くにしても、やはり大きな資金が必要。
4-2.月の売り上げが30万円でも月の支出が25万円だったら、「勝った」と言える?
言い換えますが、稼働率が80パーセントに上がって、月の売り上げが30万円になったとしても、毎月の支出が25万円であったり、先行投資が1億円も掛かっていたのでは、それはAirbnb(エアビーアンドビー)経営において「勝った」とは言えないかもしれません・・・。
4-3.民泊業界の状況は変化してきていることを知るべし!儲かったのは2015年初頭くらいまで。
2014年頃、ギリギリ2015年初頭くらいまでは、たしかにAirbnb(エアビーアンドビー)はなかなか利益の出るビジネスではありました。それは、ゲストユーザーからの需要に対して、民泊物件の供給が少なかったためです。そのため、あまり努力や工夫をしなくても、高い価格設定にしても、集客がにぎわいました。しかし今はもう、日本の民泊物件は完全な競争過多・・・。
また、民泊向け不動産の値段や民泊運営コストも以前より高騰しています。民泊によって不動産ニーズが増したことで、特に部屋数の多い物件や転貸を気にしないオーナーの物件が値上がりしているのです。
もう一つの大きな変化が、民泊代行業者の台頭。彼らが「代行業者に委託する」という手法を普及させたため、民泊経営にはさらに「代行手数料」というコストが掛かるようになり、これが民泊ホストの収益をかなり圧迫しています。競争が激化したために揃えなければならない家具家電の質・種類も増えていますね。
極めつけは、底を知らない価格破壊!ホームステイ型ホストはいくら価格を下げても赤字にはならないため、彼らが民泊業界の相場をどんどん押し下げていきます。
ですから、「私はエアビーアンドビーで月収100万円稼いだ!」という人の話を真に受けても、同じように儲かるわけではないのです。
重要ポイント15:エアビーアンドビーが儲かるビジネスだったのは2015年初頭くらいまで。
4-4.結局、勝ち抜くのは古参のホストだけ?
Airbnb(エアビーアンドビー)民泊というビジネスのシステムを考えると、結局、「高稼働率&高実利益」をマークできるのは、2014年頃から参入している古参のホストだけかもしれません。渋谷の不動産がまだ安値で借りられた時代から、民泊代行業者など利用せず営んでいる人です。エアビーアンドビー民泊の集客はカスタマーレビューの数で左右されやすい面も強いので、そうした意味でも古参ホストが有利となります。
それ以外の人々は、どうしても「高収益でも高支出」にならざるをえず、「勝ち組!」と笑えるほど豊かな実利益を得るのは難しいでしょう。無理ではないにしても、相当なビジネス手腕や運が必要でしょうね。
4-5.その古参ホストとて、安泰とは言えない!
そんな古参ホストの人たちも、決して安泰とは言えません。全体の稼働率はまだ下がり続ける可能性があり、同時に宿泊相場も下がり続ける可能性があります。
また、日本はAirbnb(エアビーアンドビー)民泊に対する向かい風が強く、急に民泊を禁止とするマンションが出てきたり、自治体から差し止められるケースも増えていくでしょう。日本政府の基本方針としては民泊は規制緩和に進みますが、民意の抵抗によってエアビーアンドビーホストの、特に投機型ホストの肩身はどんどん狭くなっていきそうです。
重要ポイント16:投機型民泊ホストに安泰な人はいない!
4-6.ホームステイ型のホストは「安定経営」なら続けられる。
価格の下落がどんなに進んでも、赤字の恐怖にさいなまれないホストがいます。それは、ホームステイ型のホストの面々。もちろん、ライバルの増加や相場の下落によってホームステイ型ホストの収入も減っていきますが、ホームステイ型の場合は支出がほとんどないため、赤字に陥ることはありません。月収30,000~50,000円程度の実収入はこれからも保てる可能性は高く、するとひょっとすると、最大の勝ち組は、ホームステイ型ホストかも?
結局、シェアリングエコノミーの1つである民泊というものは、どうしても「低コストだけど低収益」という方向に進んでいくので、大きな利益を期待できるものではないのです。
重要ポイント17:最大の勝ち組は、赤字に苦しむことなく3~5万円程度の月収をキープできるホームステイ型ホストかも。