2 地域や環境、設備による価格差はどうなっている?
前トピックでも触れたように、日本におけるAirbnb(エアビーアンドビー)民泊の料金相場は、「個室」タイプで1名1泊2,000円、「まるまる貸切」タイプで4名1泊8,000といったところです。
一般的に宿泊施設の値段は、そうした基本相場に加え、地域や環境、設備の差による料金差が生じますが…。
2-1.日本のエアビーアンドビー民泊の相場に地域差はあまりない。
一般的に、宿泊施設というのは、都会や観光地、人気の高い地域ほど高くなり、地方やニーズの少ない地域ほど安くなりますね。しかし、日本のAirbnb(エアビーアンドビー)民泊の相場に関しては、そのセオリーはあまりあてはまりません。
2016年夏現在、どこの地域でも「個室」タイプのホットプライス(高い稼働率をマークできる価格相場)は2,000円程度であり、どこの地域でも「まるまる貸切」タイプのホットプライスは8,000円程度になっています。
2-2.都会は競争過多で価格が下がり、地方との差が生じなくなる。
なぜなのでしょうか?
東京や京都などの都会や人気地域は、民泊施設の数も飽和状態で、そのため熾烈な価格競争が起きているのです。高価格帯の物件はもちろん、地方より東京や京都などのほうが多いですが、しかし最低ラインの価格に関しては地方と変わらないか、むしろ地方よりも安いくらいです。地方には、個室で1泊2,000円以下という物件はあまり見られませんが、東京には何軒も散見されます。
すると結局、「妥当な相場は幾らか?」「高稼働率をキープするためには幾らに設定すべきか?」と考えたとき、その答えは「個室1泊2,000円」「家族1泊8,000円」ということになりそうです。
2-3.環境や設備の差も、あまり関係がなくなっている…。
そしてこうした傾向は、環境や設備の差についても同じことが言えます。普通は、「駅から近い」ですとか「ポケットWi-Fiが無料」といった高付加価値があれば高い値段に設定することができますし、高く設定する企業が多くなりますよね。
2-3-1.「駅から5分」で「ポケットWi-Fiが無料」でも1泊2,000円。
しかしAirbnb(エアビーアンドビー)民泊の場合、「駅から5分」で「ポケットWi-Fiが無料」であっても、やはり1泊2,000円が平均相場となっているのです!
なぜなのでしょうか?
2-3-2.ホテルと民泊では客層が異なる。民泊の客層は安さを求める。
これは、ホテルと民泊とでは客層が異なるからです。
ホテルを好むような人々は、少々多くお金を払ってでも、自分の求める快適さやサービス、ビジュアルなどを求める傾向にあります。そのため、値段を上げても設備を充実させれば顧客はついてくるのです。
しかし民泊の客層は、あまり宿泊施設の質にはこだわっておらず、とにかく値段の安いところに注目します。地域の最低価格帯を調べ、2,000円なら2,000円と自分で決め、その2,000円の中で最も条件の良さそうな物件を選ぶような人が多いでしょう。
そのためホストとしては、料金を据え置いたまま設備やサービスを充実させるようにしないと、ライバルとの競争には勝てなくなってしまうのです。これは、ゲストハウスと同じような構図ですね。こうした理由から、民泊やゲストハウスには、コストパフォーマンスの非常に高い施設が散見されます。
2-4.安さの理由はもう1つ。ビジネス目的じゃないホストが多いため。
民泊がホテルとは異なり、「安かろう良かろう」を実現できてしまう理由がもう1つあります。それは、民泊のホストにはビジネス目的ではない人がちらほらいるため。
特にホームステイ型民泊のホストに多いですが、「利益」というものをあまり気にしていない人々がいるのです。さらにホームステイ型民泊の場合、不動産の賃貸費用などのランニングコストがほとんど掛かっていないため、1泊2,000円だろうが1,000円だろうが、赤字に陥るということが皆無になります。そのため、「たった2,000円なのにこんなに充実しているの!?」と驚くような部屋貸しができてしまうのです。
ビジネス目的の民泊ホストは、月に10万円ものランニングコストを払いながらこうした「大盤振る舞いホスト」と闘わなくてはならず、だからビジネスとしてのAirbnb(エアビーアンドビー)は採算が取れずに撤退していくオーナーが増えはじめているのですね。
2-5.細かい地域相場は、自分でチェックしてみよう。
基本的に、日本のかなり多くの地域で、都会であろうが田舎であろうが、「個室なら1泊2,000円」「まるまる貸切なら1泊8,000円」といった額がホットプライス(高い稼働率をマークできる価格相場)となっています。が、もちろん、この例にあてはまらない地域もないわけではありません。
周辺の物件がどこも個室3,000円で営んでいるなら、わざわざ2,000円まで下げなくても高い稼働率をマークできそうですね。ですから、なるべく高い価格設定にしたいということであれば、やはりご自身であなたの地域の価格相場を調べてみましょう。