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民泊経営に営業許可や届け出は必要か?-2


2-3.旅館業法の示す条件はガイドラインにすぎない。保健所によって示す条件が異なる!


実際に旅館業法の営業許可を取得するなら、準備をする前に必ず一度、保健所(旅館業法の営業許可を出しているのは保健所)に赴いてください。というのも、実際の営業許可条件は、各地域の保健所によって微妙に異なるためです。自治体の条例を加味されるだけでなく、「適切な換気」や「適切な数のトイレ」などの判断が、自治体によって異なります。


2-4.特区民泊法の営業許可の取得条件は?


特区民泊法の営業許可取得条件はどのようになっているのでしょうか?


(1)民泊施設の延べ床面積は、25㎡以上でなければならない。

(2)出入り口および窓は、施錠できるものでなければならない。

(3)出入り口および窓を除き、居室と他の居室、廊下などとの境は、壁作りでなければならない。

(4)適当な換気、採光、照明、防湿、排水、暖房および冷房の設備を有していなければならない。

(5)キッチン、浴室、便所および洗面所を有していなければならない。

(6)寝具、テーブル、いす、収納家具、調理のための器具・設備および清掃のための器具を有していなければならない。

(7)特区民泊上の最低日数規定は2泊だが、かつ地域の条例の定める日数に従わなければならない。

(8)業務内容の一部に宿泊事業を含んでいなければならない。

(9)民泊営業を近隣に説明し、近隣からの苦情窓口を設置しなければならない。

(10)チェックイン時には滞在者の本人確認を行い、名簿を作成し、保管しなければならない(=事実上有人チェックイン対応)。

(11)各ゲストの滞在中、少なくとも1回は、適切な使用がなされているか状況確認をしなければならない。

(12)チェックアウト時にも滞在者の本人確認を行わなければならない。

(13)英語での施設案内(防災案内など含む)を徹底しなければならない。

(14)消防法に適合していなければならない。

(15)各自治体の条例にも適合していなければならない。


建物における条件は旅館業法よりも緩いのですが、チェックイン対応など接客面での条件は旅館業法よりも厳しいと言えそうです。


2-5.賃貸物件なら、賃貸オーナーからの営業許可が必要!


旅館業法、特区民泊法いずれの営業方法においても、それが賃貸物件であるなら、その賃貸オーナーからの営業許可も取得しなければなりません。いわゆる「使用承諾書」を発行してもらい、旅館業法や特区民泊法の営業許可申請の際に保健所に提出します。


一般的に賃貸物件は、転貸や民泊経営が禁止されており、この営業許可の取得も一筋縄ではいきません。近年は、「民泊許可物件」と称した転貸可能物件が増えてきていますが、それらの物件を新たに借りなおす必要があるでしょう。なお、民泊許可物件は家賃や特殊手数料が高い傾向にあるのでご注意ください。


2-6.マンションなら、マンション管理組合からの営業許可が必要!


こちらも、旅館業法、特区民泊法いずれの営業方法でも必要なもので、賃貸オーナーからの営業許可よりもさらに取得ハードルが高いものです、


一般的にマンションなどの集合住宅では、ビジネス利用や宿泊施設運営は禁じられており、これを覆すためには管理組合総会の議題に掛け、マンション住民の3/4以上の賛成票を得なくてはなりません。これは、家主のほとんどが投機民泊のオーナーをやっているようなマンションでもない限り、なかなか適うものではないでしょう。


2-7.結局のところ、投機型民泊の営業許可は取れないに等しい・・・。


トピック2をお読みいただいてすでに実感されたことでしょうが、結局のところ、投機型民泊の営業許可は、それが旅館業法のものであれ特区民泊法のものであれ、取得が非常に厳しいのが実情です。


そのため民泊代行業者や行政書士などが、「営業許可の取得を肩代わりします!」と民泊ホスト志望者に誘いかけるのですが、上記のうちのすべての営業許可が取得できているケースは極めて稀です。日本市場に合法民泊が100件も存在していないのは、こうした理由からきています。


投機型民泊のオーナーたちは、常に通報やトラブル発生の懸念におびえながら、胃の痛い思いをして経営しなければなりません。民泊での交流に興味があるわけではなく、単純に何か投資事業が行いたいだけなら、他の事業を選んだほうが賢明でしょう。



3 民泊新法が始まったら、どのように届け出をすればよいの?


民泊新法が発令されたなら、ホームステイ型民泊にせよ家主不在型民泊にせよ、「届け出」を出すだけで合法のもとに民泊を営めるようになります。


3-1.営業許可の取得は不要でも、守らなければならない条件はある。


民泊新法の場合、設備の改修・充実や厳しい審査を受ける必要性はないのですが、かといって守らなければならない条件はあります。


(1)一定の要件を満たさなければならない。(一定の要件:年間営業日数が90~180日程度の上限に制限され、宿泊定員が4~8人程度に制限される見込み。)

(2)ゲスト滞在中は常にホストファミリーが同居していなければならない。または家主不在型民泊の場合、民泊施設管理者に業務を委託しなければならない。

(3)宿帳を作成・保存しなければならない。(外国人ゲストの場合、パスポートのコピーの保存も必須。)

(4)最低限の掃除・整頓をしなければならない。

(5)民泊ゲストに対してハウスルールの説明をしなければならない。

(6)表札などを掲示し、近隣住民に民泊経営を告知しなければならない。

(7)近隣住民からの苦情受付窓口を設けなくてはならない。

(8)民泊施設に法令・規約・管理規約違反などがないか、常に顧みなければならない。


3-2.規定の条件に基づいて営業したうえで、届け出を出しにいこう。


民泊新法が発令されたなら、届け出を出しにいく必要があります。届け出の窓口は各自治体の役所が予定されているので、そう遠出をする必要はないでしょう。


なお、「届け出」は営業許可とはまったく異なるもので、婚姻届けや住民票などと同じように、ただあなたの住所や名前を書いて提出し、データ登録してもらうだけの作業にすぎません。


これであなたも、合法のお墨付きのもと、安心して民泊を営むことができますね。


3-3.民泊新法のもとでも、賃貸オーナーやマンション管理規約の営業許可は必要!


1つ注意しなければならないことがあります!


民泊新法の場合、延べ床面積やトイレの数などの条件は存在しないのですが、しかし賃貸オーナーやマンション管理規約からの制限を無視してよいわけではありません!


一軒家かつ持ち家の場合は問題ありませんが、賃貸や集合住宅である場合、当該の規約を必ず確認し、営業許可を取得してください。

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