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民泊経営で得られる収入は?投資としての価値は?-1


Airbnb(エアビーアンドビー)の普及により、民泊受け入れの実情についてセキララにレポートする個人ブログやノウハウサイトは増えました。しかし、あまり真実の情報が書かれていないのが、「収入」についてです。


インターネットや経済雑誌を眺めていると、「民泊で月収250万稼いだ!「月収100万稼いだ!」といった派手な文字が躍ることもあり、そうでなくても「月収30万は堅い」「家賃貸しの3倍は儲かる」といった表記をよく見かけます。が、実際のところはどうなのでしょうか?


当記事では、様々なシチュエイション別に、民泊受け入れで得られる収入の実例を紹介していきます。



1 Airbnbの投機型民泊で得られる収入はどれくらい?


まずは、Airbnb(エアビーアンドビー)をプラットホームに投機型(家主不在型)民泊を営む場合の収入実例から、解説しましょう。エアビーアンドビー・ビジネスへの参入を迷っている人は、ぜひこの記事を熟読してからの再検討をオススメします。


1-1.家賃7万円のファミリー物件が月に20日埋まっても、月収10万円にもならない!


巷のAirbnb(エアビーアンドビー)ノウハウサイトを眺めていると、「家賃7万円の物件で1カ月に20日の予約が入れば、月収30万!」といった紹介をしているのをよく見かけますね。しかし、これは全くのデタラメ。実情としては、同じような条件におけるホストの手取り月収は、50,000円にも満たないくらい・・・。


1-2.誰も語らない投機型民泊のリアル収支を徹底解説!


投機型民泊における実際の収支は、物件の環境によって左右されます。そのため、まずは収支を試算するための大まかな方程式を知ってください。この方程式にあなたの(計画している)物件の家賃額などを当てはめていけば、ある程度の収支予測を立てることができるでしょう。


1-2-1.1泊あたりのリアルな宿泊相場はいくらくらい?


まずは、民泊宿泊1泊当たりの相場について。これは物件の規模やタイプで異なります。(ここでは投機型民泊だけを取り上げます。)


(1)ファミリーサイズの貸し切り物件(4人泊):8,000円。

(2)ワンルームサイズの貸し切り物件(2人泊):4,000円。


一般的にノウハウサイトでは、「ファミリー物件なら1泊15,000円は取れる」と書いていますが、そんな高値が通用したのは2014年いっぱいまでのことです。2017年初頭で言えば、平均程度の稼働率を目指したいなら8,000円くらいまでは下げないと、厳しいでしょう。


1-2-2.1カ月のリアルな予約日数は何日くらい?


・日本の平均稼働率は50%くらい。30日のうち15日程度埋まる計算。


一般的なノウハウサイトでは、「30日のうち20日くらいはカンタンに埋まる」といった書き方をしますが、これもあくまで昔のこと。季節にもよりますが、日本の平均稼働率は50%からせいぜい60%程度まで落ちてきています。渋谷、新宿、大阪、京都などは80%くらい埋まりますが、新規参入者が古参ホストを押し退けてこんな高稼働率をマークするのは至難の業・・・。


よほど恵まれた立地や秀逸なアイデア、上等な物件を持ち合わせているのでもないかぎり、やはり50~60%(1カ月で15~18日)程度を目安に考えるのが妥当です。


1-2-3.相場と稼働率から計算すると、1カ月のリアルな収益目安はいくらになる?


では、上述した料金相場と稼働率から、1カ月の宿泊収益を計算してみましょう。


(1)ファミリーサイズでの受け入れ:8,000円×15日=12万円。

(2)ワンルームサイズでの受け入れ:4,000円×15日=6万円。


宿泊料金の高いファミリーサイズの物件で受け入れをしたとしても、宿泊月収は12万円くらいにしかなりません。お正月にちょっと値上げしたり、70%の稼働率をマークしたりしたとしても、15~6万円といったところでしょうか。


月収15万円でも悪くないと感じたかもしれませんが、ここから経費を差し引かなければならないことをお忘れなく!


1-2-4.民泊物件のリアルな家賃はいくらくらい?


これも物件の規模や地域などで違ってきますが、ニーズの高い都市部・観光地で言えば、これくらいの相場になっています。


(1)ファミリーサイズの家賃相場:10万円。

(2)ワンルームサイズの家賃相場:5万円。


ノウハウサイトでは、ファミリー物件の家賃相場を7万円と計算することが多いですが、これもAirbnb(エアビーアンドビー)バブルで高騰しており、7万円で見つけるのは難しいでしょう。特に、民泊許可物件を専門に扱うサイトでは、従来より2割増しくらいに引き上げられていることが多いです。


1-2-5.民泊代行業者へのリアルな委託手数料はいくらくらい?


投機型民泊の場合、民泊代行業者に業務を委託しなければ回すことができず、こうした経費がかかってきます。


・民泊代行業者の手数料:(完全委託なら)宿泊収入の30%程度が相場。


たとえば上記のように、1泊8,000円×15日で月額12万円の宿泊収入になったなら、そのうちの4万円弱は民泊代行業者に支払うことになるでしょう。


1-2-6.その他のリアルなランニングコストはいくらくらい?


それ以外のランニングコストには、下記のような項目が考えられます。


(1)光熱費:ファミリー物件で月額2万円程度。ワンルームで月額8,000円程度。

(2)通信費:フリーWi-Fi+ポケットWi-Fiで月額7,000円程度。

(3)消耗品の補充:3,000円程度。

(4)Airbnbへの手数料:3%。


1-2-7.諸々を計算すると、1カ月のリアルなランニングコストはいくらになる?


では、ファミリーサイズの物件を参考に、上述した経費をすべて足してみましょう。


         家賃:10.0万円

民泊代行業者への手数料: 4.0万円

        光熱費: 2.0万円

        通信費: 0.7万円

        消耗品: 0.3万円

 + Airbnbへの手数料: 0.36万円

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       合計出費:17.36万円


1-2-8.宿泊収入から総支出額を引くと・・・手取り月収額は、マイナス!?


最後に、宿泊収入から総支出額を引いて、手取りの実費額を算出します。


 宿泊収入:12万円

- 総支出:17.36万円

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手取り額:マイナス5.36万円


なんと、マイナスになってしまいました!「儲かる!」と言われるAirbnb(エアビーアンドビー)民泊ですが、巷のセオリーに委ねて平均的な経営をするなら、赤字になってしまうのです!


1泊の値段を1万円に上げたところで、稼働率が70%になったところで、民泊物件を7万円で見つけてこられたところで、黒字になるかどうかすら危ういことには変わりありません・・・。


すると、投機型民泊で利益を上げるにはどうしたらよいのでしょうか!?


1-3.投機型民泊で利益を上げる4つのポイント。


実際問題として、投機型民泊で万人が大きな利益を上げるのは非常に厳しいと言えます。それを前提として、強いて攻略法を挙げるとすれば、以下の4つは外せません。


(1)民泊代行業者に委託せず自力で業務をこなす。

(2)なるべく安い(できればファミリーサイズでも5万円以下)の物件を見つけてくる。

(3)80%以上の稼働率をキープできるよう、宣伝やサービスに工夫を凝らす。

(4)リサイクルショップやリース業者を活用し、なるべく安く家具家電を仕入れる。


ファミリー物件の宿泊相場が1泊1万円を切ってきた今、こうした工夫をしてもなお、厳しいビジネスと言えます。「月収20万円」は可能であっても、「実利益20万円」ではないのです。

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