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民泊経営で学生を受け入れるための手引き-3


3 修学旅行のコンテンツに体験民泊を選ぶメリット(学校側)。


では次は、学校側から見た「体験民泊導入のメリット」を解説しましょう。基本的には、トピック≪地方自治体が受けられる、学生民泊受け入れのメリットは?≫で語ったことと同じです。そちらもぜひ、ご参照ください。


(1)学校では行えない学生たちの情操教育・マナー教育・地方文化教育・伝統教育などが極めて効率よく行える。

(2)学生たちに地方の生の声を聴き生の姿を見てもらうことで、農業・漁業・工業者など第一次産業や過疎、環境などの問題意識を高めさせることができる。

(3)民泊での交流や体験を通して、学生たちのコミュニケーション能力向上が図れる。

(4)生学たちと高齢者たちとの間で世代間交流が持て、高齢者へのいたわりや敬意を育むことができる。

(5)地方特有の人情やいたわり、助け合い、スローライフ、非資本主義的なふるまいを体験することができる。

(6)都市型生活や一極集中が深刻化する中で、地方の魅力・田舎の魅力を学生たちに知ってもらうことができる。

(7)定番観光地を避けることにより、経済の一極集中を回避し、地方経済や中小企業の活況に貢献できる。

(8)修学旅行コンテンツの多様な選択肢を得ることで、地域の中学と高校が同じ場所に重複訪問してしまうような事態を回避できる。(多くの地域が中学・高校ともに京都に修学旅行に赴いてしまうような事態が起きている。)

(9)次世代型の経済システムであるエコツーリズム(旅行レジャーで農業や自然を体験すること)やシェアリングエコノミー(すでに有るものを共有することで、環境破壊や資金浪費を避ける経済)の促進に貢献できる。

(10)沖縄や京都、USJ、東京観光に我が子を連れていける親は多いが、民泊体験や農業体験を子供に提供できる親は極めて少ない。


すでに修学旅行生民泊を導入した学校では、これらのメリットは著しい成果を上げ、そして持続しています。人気のある体験民泊受け入れ地域は、数年先まで予約が取れないほどになっており、修学旅行民泊の成果が証明されています。もはや商業化しすぎてしまった京都観光型の修学旅行は、もう廃れていくかもしれませんね。



4 修学旅行民泊の際に学校側が気を付けるべき問題点と解決策。


従来型の修学旅行から体験民泊に切り替える際には、学生・親ともどもの反発を受けたりなど、たくさんの課題に直面することでしょう。ここでは、それらの解決策を探っていきます。


4-1.保護者や学生から、民家宿泊への反発が大きい。


「得体の知れない民家に泊まる」ということに拒否反応を示す家庭・学生が、やはりどの学校にも一定数いるようです。解決手段は無いのでしょうか?


解決策1:民泊を強要せず、ホテル泊などの代替手段を用意しておきましょう。


そのような家庭・生徒に対して、まずは説得を試みるべきですが、それでも反発が収まらないならば、むやみに民泊を強要しないほうが良いでしょう。当たり障りのないホテルにも泊まれる選択肢を用意してあげて、学生側の拒否感情を尊重すると良いです。なお、民泊を拒否してホテルに泊まってはみたものの、「やっぱり民泊を選んでおけば良かった」と後悔してしまう学生が多いようです。


解決策2:受け入れ家庭の質の向上を、自治体と協力して取り組みましょう。


民泊の良さは「家庭っぽさ」にこそあり、ホテルのような設備や接客を期待することは間違っています。しかし、やはり一定のクオリティは確保してもらうべきですね。そのために、学校側として各民泊家庭にクリアしてもらいたい条件などをまとめ、きちんと自治体に提示し、それを各民泊家庭に守ってもらうよう、協力を仰ぎましょう。


解決策3:沖縄など観光的魅力の高い地域を選び、民泊以外の部分で妥協させましょう。


田舎民泊に対して拒否反応を示す学生は、やはり少なくはありません。しかし、実際に体験してみると「帰るのが惜しくて泣いてしまった」というような学生が続出するほどで、満足度はおおむね高いという統計結果が出ています。


拒否反応への対策として、沖縄など観光的魅力の高い地域を選び、民泊以外の部分で妥協させる案があります。また、修学旅行の内容を知らせる(決定する)前に、学生たちにアニメ映画「となりのトトロ」を観せることで、田舎体験への好感度・期待度を上げる効果が出たと報告されています。


4-2.保護者や学生から、労働体験への反発が大きい。


農業体験などという地味なコンテンツに不満を覚える学生は、やはり少なくないでしょう。


解決策1:体験民泊の訪問先を、伝統芸能系にすると良いかもしれません。


農業・漁業・酪農あたりはどうしても、都会人が慣れない重労働や動物臭さと対峙しなければならず、そこに大きな拒否反応が出やすいです。しかしこれが、京都などあまり田舎・大自然ではない地域で伝統芸能や伝統工芸と触れさせる場合には、そこまで大きな不快やカルチャーショックには至らないで済むでしょう。ただし、伝統工芸の中にも皮の加工など激臭を伴うようなものもあるので、もちろん、分野だけで決めるのではなく環境そのそものリサーチすることは重要です。


解決策2:訪問先を海外にするだけで、学生からの印象は大きく好転します。


たとえば同じ酪農体験でも、日本ではなく海外となれば、周囲の文化や環境体験に魅力的な要素が多く、学生たちにも肯定的に受け止めてもらいやすいです。


解決策3:「修学旅行の本来の目的は学習にある」ということを説得し、理解を得ましょう。


21世紀に入った頃から、USJやディズニーランド、沖縄の海を観光するような修学旅行も増えていますが、修学旅行の本来の目的は、「楽しいレジャー」ではありませんね。多少辛くても不快でも、何かを学んでもらうことが目的ですから、その点を生徒や保護者に理解してもらえるよう、説得に努めましょう。実情として、体験民泊の持つ意義は学生にも社会にも絶大なものがあるので、自信をもって説得にあたることが大切です。

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