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民泊経営で学生を受け入れるための手引き-2


2 修学旅行生民泊がはらむ問題点と、その解決方法。


地域全体で、しかも大勢の若者を対象に民泊受け入れを行うことは、やはりたくさんの問題点や懸念をはらんでいます。過去の事例を参考にして、どのような問題点があるか、そしてどのように解決すれば良いかを探っていきましょう。現状、手に負えないほどの深刻な問題は起きていません。


2-1.体験させる農業がない。


修学旅行生民泊は、自宅宿泊の体験だけでなく農業などの作業体験が欠かせません。しかし地域によっては、農業も漁業も盛んではない土地がありますね。そのような地域では修学旅行生民泊は受け入れられないのでしょうか?


解決策:漁業、林業、養鶏、養蜂、伝統工芸品の作成など、選択肢は多岐にわたる。


体験民泊のプログラムとして採用されている作業は、思いのほか広範囲に渡っています。農業や酪農はもちろんのこと、漁業、林業、養鶏、養蜂、伝統工芸品の作成、食品加工、伝統芸能、はては「忍者体験」などという前例もあります。大都会でもなければ何かしらの第一次産業的特産を持っているはずで、体験民泊のプログラムには事欠かないはずです。


2-2.地域の賛成多数が得られない。


修学旅行生規模の民泊となると、1人の住民やリーダーの決断では遂行できません。しかしAirbnb(エアビーアンドビー)の悪評の影響もあり、民泊というものについて自治会で賛成多数を得ることが難しいかもしれません。


解決策1:すべての家庭に強要したりはせず、環境に合わせた自主制にしましょう。


まず、民泊受け入れをすべての家庭に強要してはなりません。他人との共同生活は人によっては非常に苦痛ですし、もてなしの人手や空間が確保できない家も、少なくないはずです。


解決策2:受け入れ学校からの収益は、民泊家庭だけでなく地域全体で享受するようにしましょう。


受け入れ学校からの収益は、受け入れ民家だけでなく、地域全体で分配するようにしましょう。もちろん受け入れ民家が多くの報酬を受けるのは当然ですが、民泊家主をしなくても地域に学生が大勢訪れれば少なからずの面倒と手間を被りますね。そうした「修学旅行生民泊の総合的なリスク」に対して、民泊家主以外の家庭にも報酬やメリットを還元するよう配慮しましょう。


解決策3:実情として、大反対されるケースはあまり多くない。


こうした民泊プロジェクトは基本的に、得体の知れないハコモノを建造するわけでもなければ野外フェス(爆音を響かせるコンサート)を行うわけでもないため、地域住民の大反対に遭うことは少ないはずです。


トピック≪メリット総論: 修学旅行民泊の生み出すメリットは多岐に渡って絶大!≫で挙げたように、非常に多角的なメリットがあるため、こうしたメリットを丁寧にプレゼンテーションすれば、まず大勢の理解・協力は得られるでしょう。


2-3.民泊受け入れのやり方がわからない。


「何をすれば良いのか」「何をしてはいけないのか」「どんな準備が必要なのか」民泊を営むうえで必要なことは、あまり大衆には理解されていません。実情は割とシンプルですが、知らない人にとってはそれすらわからず、難解に感じてしまうものですね。


解決策1:民泊受け入れの研修を行いましょう。


民泊業務に関しては、研修を行うべきです。布団の上げ下げを生徒にやらせる家庭とやらせない家庭があったりしてはいけません。また、学校や参加住民と話し合いを持ち、すべての民家で一定のクオリティを保てるようなマニュアル作りを行うのが良作です。家庭ごとに「個性」を設けるのは良いことですが、「クオリティ」に大差があるのは良くないですね。


解決策2:研修だけでなく、審査も行うべきです。


研修だけでなく、審査も行うべきです。いくら住民側が民泊受け入れを望んでも、住環境や人間性に問題がある場合は民泊家主に選定してはいけません。たとえば、男性しか居ない家庭では民泊受け入れは行わないほうが良いでしょう。女子生徒の気持ちに寄り添うことが難しく、また、家を清潔に保ったり良質な食事を提供することが困難な場合が多いです。


解決策3:家主の力量や適正に合わせて、生徒のマッチングを配慮すべきです。


無愛想な学生や問題児気質な学生へのあしらい方の上手い家主とそうでない家主が出てきたら、学校と連携して多少のマッチング操作をしましょう。扱いの難しい学生は扱いの巧みな家庭で受け入れるようにするのです。また、海外の留学生ホームステイの場合、共通の趣味を持つ家主と学生をマッチングするような配慮を行っており、それが上手くいっています。


2-4.学生たちの反抗や無気力に対処できるか不安だ。


中学生や高校生くらいの思春期では、「頑張ることはカッコ悪い」「田舎はダサい」といった意識の強い時期で、体験民泊に好意的に取り組んでもらえるかが心配ですね。


解決策1:学生たちは思いのほか協力的であることを知りましょう。


実情として、学生たちの反応はおおむね良好であるようです。もちろん反抗的な学生、無愛想な学生も存在しますが、あくまで一部であり少数派で、大半はそのようなことはありません。農作業などの進捗が著しく停滞することもあまりなく、作業がいつもより早く終わることも少なくないのです。初心者でも失敗せずに行えるような作業を見極め用意しておくことで、作業の停滞は防げるでしょう。


解決策2:食事の好き嫌いに配慮しましょう。


過去の事例では、民泊家庭ごとに異なる食事に対する不満が、多く報告されています。年配の旅行者は地方色あふれる食事を喜びますが、中高生くらいだと好き嫌いが多く、ローカルフードにまゆをひそめることが少なくありません。ローカルフードの中でも一般受けのする食事を研究したり、訪れた学生たちの好みに合わせて具材の調整などが行えるならベストですね。


解決策3:若者への歩み寄りを行いましょう。


学生たちからの印象を良くし仲良くするためには、にこやかに愛想よく接することはとても重要ですね。また、若者文化についてテレビなどで勉強して、それらを説明や話題の中にうまく散りばめると、学生たちから好感を持たれます。明らかに付け焼刃な情報でも構いません。「おっちゃんたちでもEXILEに入れっかな?」などと若者単語を挿入するだけで、「私たちのために努力してくれていてうれしいな」と喜んでもらえます。


2-5.学生や保護者からの不満が続出しないか心配だ。


「一般家庭に泊まる」ということに対して不安を持ったり、実際の体験に不満を感じる学生は少なからず出てくるでしょう。来年以降の続行が危ぶまれるようなクレームも出るかもしれません。


解決策1:多少のクレームが上がるとしても、怖気づかない信念の強さが大切です。


そもそも舞台は修学旅行・課外学習であり、レジャー旅行ではありません。学校や普段の生活では学べないことを経験するのが、課外学習の意義です。養鶏の早朝からの鳴き声騒音に耐えさせることは、虐待でもなければ不親切でもないはずですね。


解決策2:学校や保護者にしっかりと意思疎通を行い、理解を得ましょう。


こうした「慣れない環境で社会生活や第一次産業を学ぶ」というコンセプトについて、学校や保護者にしっかりと意思疎通を行い、理解・協力を得ておくことが大切です。


解決策3:他の地方自治体と連携を取りましょう。


すでに修学旅行生民泊を実施した自治体に問い合わせ、「前評判は悪かった→体験してみたら感動した。」という感じ方の変化の事例や、「1年目は反対意見が多かった→2年目は先輩学年からのクチコミ・説得により好感度が増した。」といったクチコミ影響のわかる資料(学生たちの感想文など)を取り寄せ、多くの成功事例を見ることで自信になります。また、先駆校の失敗事例から学ぶべきこともあるでしょう。


2-6.安定的な学生確保について不安がある。


自治体全体が修学旅行生民泊に肯定的になっても、利用してくれる学校が無ければ元も子もありません。また、1度は利用してくれた学校も2年3年と継続してくれるかどうかはわかりません。事業には経営安定にまつわる不安が付き物ですね。


解決策1:「修学旅行生民泊はあくまで副業的な産業」と割り切るべきです。


修学旅行生民泊受け入れはそれなりに大きな産業となりうるものではありますが、受け入れ地域のあなた方は、「あくまで副業的な産業」と割り切ることにしましょう。


先の熊本地震では、地震後にやはり修学旅行生民泊の予約キャンセルが相次ぎ大打撃を受けた事例がありますが、地域の雇用や経済を修学旅行生民泊一本に絞ったり、主産業と捉えて依存するのは早計と言えます。


解決策2:経済効果よりも、教育的意義を優先する道徳心を持ち続けましょう。


修学旅行生民泊受け入れを始めた自治体の中には、新たに名産品を作り出し、それが好評を博したりする例も見受けられます。しかし、基本的には経済効果はあまり期待せず、教育的意義や総合的な地域活性を第一に考えるようにしましょう。


利益主義になりすぎると、提供するコンテンツも地域住民の心構えも軽薄になりすぎてしまうきらいがあり、それが学校側からの嫌悪を買ってしまう結果になります。(京都観光やUSJ観光の修学旅行が敬遠されはじめたのは、まさにそういった理由からなのです。)


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