top of page

民泊経営が可能な物件と建築基準法-2


1-5.民泊物件の用途地域を知るには?


では、あなたの住んでいる家や民泊用に借りる物件の用途地域を知るには、どうしたらよいのでしょうか?3つの方法を、手軽な順に紹介します。


(1)トピック1-4で解説した12種の地域の中から、一番当てはまりそうなものを推測してみる。


あなたの物件はどのような地域にありますか?2階建て程度の住宅ばかり並ぶ閑静な住宅地なら、第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域でしょうし、一戸建てに交じってマンションが並んでいるような住宅地なら第一種中高層住居専用地域や第二種中高層住居専用地域だと思われます。であれば、「ホテル・旅館」への用途変更は不可能ですね。


最もわかりやすい基準として、周りにホテルがあるならすなわち「ホテル・旅館」の適用エリアである可能性が高いです。


(2)自治体のホームページを覗いてみる。


あなたの物件が所在している市区町村の、自治体ホームページを覗いてみましょう。その市区町村の都市計画を区分した地図のページがあるはず。自治体ホームページ内に見つからなければ、インターネットで「都市計画 〇〇市」などと検索してみてください。


(3)お役所に問い合わせるか、建築士や行政書士に尋ねてみる。


上記の2つの方法で自力で調べることができなかったならば、専門家に尋ねてみる必要がありそうです。物件が所在している地域のお役所に問い合わせてみるか、建築士や行政書士に尋ねてみれば知ることができるはず。


1-6.当該物件がホテル用の用途地域に位置してなかったら・・・用途変更はできない。


では、あなたの民泊用の物件が6つの「ホテル・旅館」用途の地域に位置していなかった場合、どうすればよいのでしょうか?


これはもう、どうしようもありません。つまり、建築基準法に基づいて民泊を営むことはその物件では断念しなくてはならなくなります。他の物件を用いるか、または許可申請をしないで営む、もしくは、民泊新法が施行されるまで待ちましょう。民泊新法については、トピック4で解説しますので、そちらをご覧ください。


1-7.他にも調べておくべきことがある。


確認申請を行うためには、用途地域以外にも事前に調べておかなければならないことが幾つかあります。


(1)あなたの物件は古くない?既存不適格建築物かどうかの確認。

(2)学校や病院などが隣接していない?立地の確認。

(3)必要となる書類や図面の準備。


1-7-(1).あなたの物件は古くない?既存不適格建築物かどうかの確認。


あなたの物件は「既存不適格建築物」であったりはしませんか?既存不適格建築物とは、現在の建築基準法に適合していない、古い時代に建てられた建築物のこと。


不正物件というわけではないのですが、建築基準法は時折改定されていくため、その変更によって新しい時代の法律に適合しなくなってしまうことが・・・。


あなたの物件が既存不適格建築物であった場合、現在の法律に適合するようにさらにリフォームをする必要性が出てくるでしょう。


1-7-(2).学校や病院などが隣接していない?立地の確認。


旅館業法には、旅館、ホテル(宿泊施設)の建設について、下記のような記載があります。


「学校、児童福祉施設、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、児童厚生施設、児童養護施設、知的障がい児通園施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援センター、社会教育に関する施設、の周囲約100mの区域内で、設置によりその施設の清純な施設環境が著しく害される恐れがある場合、許可されません。」


こうした施設のそばでは、民泊は営めないのです。


なお、ここでいう「学校」には、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、専門学校、盲学校、聾学校、養護学校、幼稚園が該当します。大学は該当しないのでそばにあっても大丈夫。


また、自治体によって独自の規制が設けられていることがありますので、当該地域のお役所に尋ねるのが確実。


1-7-(3).必要となる書類や図面の準備。


確認申請を行うためには、非常にたくさんの書類や図面が必要となります。書類・図面の収集や作成についても、委託する建築士が請け負ってくれますが、それでも長い期間を要するでしょう。


たとえば図面だけでも、付近見取り図、配置図、各階平面図、求積図、立面図、断面図、地盤面算出表、基礎伏図、各階床伏図、小屋伏図、構造図などが必要ですし、各自治体によって要求されるものが異なってきます。


1-8.用途変更の際は、必ず建築士に相談しよう。


用途変更はどうやるのでしょうか?


用途地域を調べることが自力で行えたとしても、用途変更の作業すべてを自力で解決するのは無理です。建築基準法を熟知した人のアドバイスを仰ぐ必要があるので、信頼できる建築士を探し、相談しましょう。


1-9.用途変更の費用はいくらぐらい?申請だけで100万を超えることも!


ではこの用途変更を建築士に依頼した場合、費用はいくらくらい掛かるのでしょうか?


これは、一概には言えません。というのも、物件の規模や必要とする改修の量などによって、用途変更申請の費用も変わってくるため。すでに建築済みの物件の場合、主に下記のような条件によって費用や期間は変動します。


(1)当該建物の図面や書類が揃っているかどうか。

(2)建物の現状がどのような状態か。

(3)確認申請機関がどのような書類を求めているか。

(4)どの程度のリフォームが必要であるか。


場合によっては100万円以上掛かることも。数十万円は覚悟すべきで、少なくとも数千円・数万円程度で済むようなものではありません。


また、物件に関する「検査済証」という書類が入手できない場合には、出費がかさんでしまう傾向にあります。


物件によっては、リフォーム費用も含めると1,000万円を超えてしまうこともあり、そうなると建て直したほうが安上がりになることも・・・。


1-10.民泊ノウハウサイトが用途変更申請をやたらと勧めるのは、つまり大きな利益が得られるため。


上述したように、100㎡未満の物件では基本的に確認申請は必要ありません。にも関わらず、「念のためやっておいたほうが良い」などとやたらに勧めてくる民泊ノウハウサイトや代行業者は多いですね。なぜかといえば、それによって大きな利益が得られるため。


民泊代行業者だけでなく、建築士や行政書士までもが民泊のノウハウサイトを運営している理由も、ここにあります。


1-11.行政書士ではダメ!必ず建築士に依頼するようにしよう。


こうした用途変更や確認申請について、行政書士が業務を請け負っていることがあります。しかし、法律上では行政書士にその資格はないので、建築士に依頼するようにしましょう。


また、費用が曖昧なものでもありますし、建築士がすべて誠実というわけでもありませんから、念のため複数の建築士に見積もりを出し、法外な値段をだまし取られることのないように気を付けて!

bottom of page