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民泊経営が可能な物件と建築基準法-1


「気軽に始められる!」とうわさの民泊。特にAirbnb(エアビーアンドビー)民泊の起業が人気ですね。


たしかに気軽に始めることはできるのですが、かといって日本のエアビーアンドビー民泊のほとんどが違法状態・・・。きちんと法のもとに民泊経営をしようと企てるなら、法律の知識と対策が必要不可欠!


今回は、民泊をとりまく法律の中で、「建築基準法」に的を絞って詳しく解説を試みましょう。


なお、「法律なんて、難しすぎて頭が痛くなる!」と感じてしまうあなたは、トピック≪4 合法民泊を営みたいなら、もうちょっと待っていて!≫からをお読みください。「要はどうすれば簡単に民泊が営めるか」その要点を綴っています。



1 一般住宅で民泊を営むなら、「用途変更」の申請が必要!


まず最初に、「用途地域」の解説から行いましょう。特に、民泊物件の延べ床面積が100㎡以上に達する物件で民泊を行おうと考えているホストさんは、必ず知っておくべきことですよ!


1-1.用途変更とは、家の履歴書を書き換えるような作業。


住居をはじめとした建物は、建築する際に用途を決めて申請を行います。「居住用」「商業用」「工業用」といった具合ですね。一軒家であれば「一戸建ての住宅」になりますし、分譲マンションであれば「共同住宅」という具合。


「一戸建ての住宅」や「共同住宅」という用途で建てられた物件で、商業であるビジネス民泊を営むことは法律違反になってしまうわけです。そのため、「私はこの家の用途を、『共同住宅』から『ホテル又は旅館』に変更しますよ」という申請を行う必要があります。


つまり、人間でいえば、転職をする際に履歴書や職務経歴書を新たな会社に適した内容に書き換えるような作業でしょうか。


1-2.用途変更をするには「確認申請」を行う。


ちょっとややこしい話なのですが、用途変更を行いたいからといってお役所に行って「用途変更をしたいです」と言ってもダメなのです。民泊物件の用途変更を行う際は、建築士に依頼して「用途変更確認申請」いわゆる「確認申請」という手続きを行う必要があります。


これはつまり、用途変更が可能かどうか?用途変更にどのような作業が必要か?ということを確認してもらう作業を含んでいるため。プロ野球選手がアメリカ大リーグに移籍する際に体中の精密検査を行いますが、それと同じように、物件の精密検査を行うことも含みます。これには何カ月もの長い期間を要することも。


1-3.民泊として提供する敷地が100㎡未満の民泊施設は、「確認申請」は必要ない。


建築基準法の観点から言えば、実は、民泊として提供する敷地が100㎡未満であれば、原則として「確認申請」は不要です。一般的に、3LDKでも100㎡にはなりませんから、するとほとんどの民泊施設は「確認申請」は不要ということになりますね。


しかし、それはあくまで「建築基準法の観点」から見た場合の話。書類の申請が必要なくても、民泊の家屋を旅館業法に適合した設備に変えなくては「合法民泊」とは言えません。


1-4.変更したくてもできない!旅館用途を禁じられたエリアもある。


この用途変更確認申請は、ただ書類を提出すればよいというものではないのです。そもそも建築基準法における「用途」は、エリアによって制限が設けられているので、「ホテル・旅館」用途に変更することができないこともあります。


「ホテル・旅館」用途の建物が認められているのは、下記の6つのエリアのみ。


(1)第一種住居地域…住居の環境を守るための地域。3,000㎡までの店舗や事務所、ホテルまでは可。

(2)第二種住居地域…主に住居の環境を守るための地域。事務所、店舗、ホテル、カラオケボックスなどは可。

(3)準住居地域…道路の沿道。自動車関連施設などと、それに調和した住居の環境を保護する地域。

(4)近隣商業地域…近隣住民が日常的な買い物をするための地域。住宅や店舗をはじめ、小規模の工場も可。

(5)商業地域…百貨店、飲食店、銀行、映画館などの集まる地域。住宅や小規模の工場も認められている。

(6)準工業地域…主に軽工業の工場や関連施設が建てられている地域。


対して、「ホテル・旅館」用途の建物が認められていないエリアはこちら。


(1)第一種低層住居専用地域…低層住宅のための地域。小規模な店舗や事務所兼用住宅、小中学校などが建てられている。

(2)第二種低層住居専用地域…主に低層住宅のための地域。小中学校のほか、150㎡未満のお店などが建てられている。

(3)第一種中高層住居専用地域…中高層住宅のための地域。大学や病院、500㎡未満のお店などが建てられている。

(4)第二種中高層住居専用地域…主に中高層住宅のための地域。病院や大学をはじめ、100㎡未満のお店や事務所などが建てられている。

(5)工業地域…どんな工場でも建てられる地域。学校や病院、宿泊施設は建てられないが、住宅やお店は可。

(6)工業専用地域…工場のための地域。どんな工場でも建てられるがそれ以外の建物は建てられない。


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