3 民泊コラムその1.ホテル業界が民泊を囲いはじめた!
民泊カルチャーの快進撃を如実に示す動きが、宿泊業界全体に表れています。
3-1.トリップアドバイザーが民泊サイトを囲い込み。その数なんと25!
世界最大のホテルクチコミサイトであるトリップアドバイザーは、その傘下に世界各国の民泊サイトを取り込みはじめした。その数なんと、25!もはやホテル業界にとって民泊は、敵に回して戦うのは恐ろしい相手なのでしょう。手を組み取り込んでしまったほうが得策だと、トリップアドバイザーは考えたようです。
3-2.エクスペディアやagodaも民泊との共存体制を築いている。
このような動きは他にも起きています。ホテル検索サイトにおいて、日本最大にして世界最大であるエクスペディアもまた、民泊事業を傘下に取り込みはじめています。上述したように、agoda(アゴダ)も民泊物件の掲載という形で民泊と共存体制を取りました。
世界的なデフレ状態である昨今、旅行者は倹約心によって、こぞってホテルからリーズナブルな民泊に流れていくかもしれないという読みを、ホテル業界の雄たちは感じ取っているのでしょう。
3-3.日本の旅館には、Airbnbに掲載することで顧客獲得に繋げているところも。
日本に目を向ければ、Airbnb(エアビーアンドビー)ブーム、民泊ブームの煽りで閑古鳥の鳴きはじめた旅館の経営者たちは、Airbnb内に自社の旅館を掲載しはじめています。その多くが顧客の誘導に成功しているので、Airbnbと戦わずに迎合する既存の宿泊施設はこれからも増えていくでしょう。
3-4、大京建設やアパマンといった建設業界、不動産業界も民泊事業を展開。
ホテル業界だけではありません。同じ動きは、不動産業界にも広がっています。大京建設などの大手建設会社のいくつかも、民泊事業を買収しはじめました。自ら大型民泊物件を建設するところまであるくらいです。アパンショップで有名なアパマンホールディングスに至っては、独自に民泊仲介サイトまで準備しはじめています。
ホテル、不動産、シェアハウスビジネスは、これからもどんどん民泊と融合していくでしょう。
4 民泊コラムその2.旅行宿泊の原点は、そもそも民泊にある。
お鶴「トントントン。今晩一晩、泊めてはいただけないでしょうか。」
日本人なら誰でも知っている童話、「鶴の恩返し」の一場面です。
4-1.ホテルなどなかった時代、旅行者たちは普通の民家に泊めてもらっていた。
今でこそ、旅行先ではホテルや旅館に宿泊するのが当たり前になっていますが、では、ホテルといったものが登場する前まで、旅行者はどこに泊まっていたのでしょうか?そうです。「鶴の恩返し」のお鶴のように、旅先の見知らぬ人の家の軒先に立ち、「今晩一晩泊めていただけないでしょうか」と突撃訪問したわけです。
4-2.旅行宿泊を高級化していったのは商業者たち。
旅行というのは元々、遠い町の景色を楽しむものであり、寝床に高級さや煌びやかさを求めるものではありませんでした。であれば、泊まる場所は庶民の民家で充分ですし、すると高いお金を要するものでもなかったのです。
昔の旅行者はそれで充分だと考えていたのですが、いつしか旅行というものが商業化され、顧客獲得競争のために各宿泊施設が設備の上等さを競いはじめ…いつの間にか人々は、「旅行先ではお姫様のようなベッドで眠るものだ」と思い込むようになってしまいました。そして、ラベンダー畑を鑑賞することには一銭も掛からないのに、宿泊には10,000円も20,000円も払わなければならない消費旅行文化が根付いてしまったのです。
4-3.民泊ブームとは、不況と倹約志向が引き起こした、質素な民家泊への原点回帰。
Airbnb(エアビーアンドビー)が牽引した世界的な民泊ブームは、「ローカル体験」や「交流体験」の魅力による部分もあるでしょうが、その最たる要因は、先の見えない世界的不況が起こした、「別に旅行先の寝床がお姫様ベッドじゃなくてもいいじゃん」という倹約志向にあると言えるでしょう。こうして私たちの旅行宿泊は、遠い昔の原点へと戻っていくのかもしれませんね。
それは、社会が温もりあるものとなるために、とても良い流れなのではないかと感じられます。
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