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民泊不動産投資を事業として本格的に行っている事例-3


3 アパマンの動きに見る、民泊不動産投資の大規模事業の行く末。


前トピックで紹介した民泊事業参入各社の中から、私たち日本人にとても馴染みのあるアパマンHDの動きを例に出し、これらの民泊大規模事業の行く末を占っていきます。


3-1.2015年11月。アパマンHDは民泊事業と短期賃貸の事業に乗り出すことを発表。


業績低迷に陥っていたアパマンHDが打ち出した次の一手は、民泊業界への参入でした。


ただ民泊事業に乗り出すだけなら、「流行を追ったのだな」と失笑に付されたかもしれませんが、アパマンHDの声明を読むかぎり、ビジョンはとてもしっかりしています。


アパマンHDが打ち出したのは、民泊事業だけでなく、契約期間1~12カ月の中期賃貸事業、そして契約期間7~30日未満の短期賃貸事業も併せてのものだったのです。これらは、敷金礼金を無料にしたり、退去費用を無料にしたり、家具家電を設置したりといった抜本的な改革を含んでいます。


3-2.事実、時代の流れは敷金礼金不要の中・短期賃貸に傾いている。


大抵の業種は、大手企業よりも中小企業のほうが先見の妙とフットワークがあり、先に近未来的展望を歩み始めます。賃貸業界においては、シェアハウスという概念が2000年初頭くらいから台頭しはじめており、自由な感性の若者たちを中心に、すでに敷金礼金を払わずに家具家電付きの物件を借りて暮らすスタイルが支持されているのです。


大きな利益を得たい不動産業界大手は、シェアハウス的スタイルを無視し続けてきましたが、外国人観光客ならびに外国人移住者の増加に伴い中・短期希望者が増えたことも相まって、新形態への参入についに重い腰を上げました。


3-3.アパマンサイトの多言語化も実は大きな進化。社会的意義は絶大。


アパマンHDはこの時、併せてアパマンサイトのリニューアルも発表しています。その内容は、アパマン不動産サイトを英語、韓国語、中国語にも対応させるというもの。


これまで不動産業界は、得体の知れない外国人に対して門戸を広げようとはしてきませんでした。外国人が日本で不動産を賃貸するのは、非常に難しいことだったのです。


そこであぶれた外国人たちは、シェアハウスやAirbnb(エアビーアンドビー)など、利用敷居の低いカジュアルな住居を選んで賄ったわけなのですが、事実、シェアハウスやエアビーアンドビーのほうが圧倒的なまでにコストパフォーマンスが良いため、外国人・日本人問わず、不動産業界は顧客を失い始めています。


ここでシェアハウスやエアビーアンドビーと対決することを選ばず、彼らのやり方に倣って敷居を下げたことは、社会的意義が非常に大きかったと言えるでしょう。


3-4.アパマンなどの大手企業は、家主不在型民泊を席巻してしまう可能性がある。


アパマンHDなどの大手企業、特に不動産関連や建設関連の大手企業は、資金力と不動産資産を豊富に持っているため、効率的な経営をしやすい強みがあります。


1人の受付スタッフを置くだけで20の民泊部屋のチェックイン対応をこなしてしまえる可能性が、大手にはあるのです。これまで中小の投資家たちが1人1件の非効率的な人材登用で行っていた事業を1人20件に効率化するのですから、浮かせられる人件費は莫大であり、すると宿泊価格を大幅に下げることも可能なはずです。


もし、効率化によって浮いたコストを宿泊価格の低下に還元するなら・・・家主不在型民泊・投機型民泊とくくられるタイプの事業民泊は、大手企業が席巻・独占してしまうでしょう。中小の民泊投機家はとても太刀打ちできず、軒並み淘汰されていきます。


もともと、一人のゲストのために一人のチェックインスタッフがわざわざ派遣されて対応する必要性は無いため、この効率化はより安く泊まりたい宿泊利用者を中心に、広く大衆にとってのプラスに働くでしょう。


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