2 民泊代行業者を利用した不動産投資のデメリットを考える。
民泊代行業者を利用する場合のデメリットのついては、大きく分けて3つの事柄が挙げられます。
1.金銭面でのデメリット
2.トラブル面でのデメリット
3.ゲストから見たデメリット
トラブル回避は、メリット面で語られていた事柄ですが、ある意味ではデメリットにもなっています。詳しくは後述します。
2-1 民泊代行業者の利用は、金銭面でのデメリットがとても大きい。
デメリットにおいて、特筆すべきはやはり金銭面です。
デメリットというか、リスクがとても大きいと言えます。
これはとても重要なポイントですので、流し読みなどせずに、腰を据えてしっかり読んでください。
2-2 投資型ホストは想像以上にハイリスク!
民泊代行業者の利用料金は、委託内容にもよりますが、ホストの売上金の18~33パーセントほどに設定している業者が多いです。
たとえば月に10万円の民泊収入があったなら、2~3万円は代行業者に支払うことになります。
それ以外にも、Airbnb(エアビーアンドビー)など民泊サイトに支払うマージンも存在しますから、少なくとも売り上げ金額の30パーセント以上は、経費として消えていきます。
投資型(家主不在型)民泊を行う場合、代行業者への委託ならびに代行代金支払いは必須で、それが売り上げ金額の3割以上にも達する事実は、しっかり把握しておくべきです。そうでないと、まったく収益の出ない投資をしてしまう事態に陥ります。
わかりやすいように、具体的に数字を出して解説しましょう。
投資型民泊をあっせんするサイトや本、セミナーは、
「家賃10万円の物件も、Airbnbで貸せば30万になります!
1ヶ月20万、1年間で240万円の収入です!」
といった話をします。
しかし、この概算は、「稼働率100パーセント」かつ「代行業者に何も委託しない場合」の数字です。
実情は、50パーセント程度の稼働率が平均値ですので、収入は15万円。そこから30パーセントの代行経費4.5万円を引くと、残る利益は、10.5万円ということになります。
すると、平均的な稼働率をキープしたとしても、月額わずか、5,000円の利益しか出ません!
かかった経費は、不動産の初期費用や家具家電の代金もあるでしょう。物件にもよりますが、1泊1万円を得られるようなファミリー物件ですと、それらの合計金額は、100万円を軽く超えるでしょう。
この初期費用を回収するためには、100万÷5,000円=200ヶ月。
…つまり、平均的な稼働率をキープしつつ、17年ほど運営し続けなければ、収益が出ない計算になります!17年間、赤字なのです。
最初から手ごろな物件を所持している、不動産投資家などの場合でも、あまり大差はありません。
平均程度の稼働率であるならば、通常貸しした場合と比べて、月5,000円程度の利益にしかならないので、まったく有意義なビジネスとは言えません。
もちろん、これは稼働率が平均値であった場合の試算ですので、100パーセントかそれに近い稼働率をキープし続けられるならば、それ以上の利益には、なります。が、よほど厳しいハードルと言えるでしょう。
繰り返しましょう。
平均稼動率が50~60パーセントで、それだと実質的に損益だということは、民泊ビジネスに投機したホストの半数以上が、「負け戦」に陥っているのです。数年前はもっと好景気だったのかもしれませんが、今はこれが実情です。
それでもなぜか、巷のAirbnbノウハウサイトは、「Airbnbは儲かる!」と騙り続けています。
実情として、民泊ビジネスで儲かっているのは、ホストたちではなく、代行業者たちなのです。
ですから、収益の面から言っても、投機型Airbnbはあまりお勧めできるものではないと言えます。よほど商才のある人、好物件を持つ人は別ですけれども。
2-3 家主同居型ホストの場合、メリットを見つけることすら難しい。
続いて、家主同居型ホストの場合について。
家主同居型ホストにとって、民泊代行業者利用の金銭的デメリットが大きいのは、言うまでもありません。
上述したように、代行業者が行う業務というのは、多くの場合、「不在時の代行」です。
家主同居型ホストは、夫婦のどちらか、または家族の誰かが家にいるでしょうから、カギの受け渡しや掃除などを代行してもらう必要性が、皆無と言い切れるほどにありません。
「家にいる時間」をお金に換えるのが民泊のロジックなのに、代行業者にお金を払っていては、非効率きわまりないと言えます。
リスティングの作成や、英語での問い合わせ対応などについては、一般人には難しい作業と言えないこともありません。
しかし、それらは経験していくうちに出来るようになっていくものですから、多少のトラブルや遠回りをしながらも、自分で行っていくのが良いでしょう。
不慣れなうちは、全てを自己解決することに不安を感じるホストもおられるかもしれません。しかし、Airbnb(エアビーアンドビー)や民泊の利用客というのは、民泊がホテルと一緒ではないことを、しっかりわきまえてくれています。ホテルほどの几帳面さを民泊には求めていません。
特に、外国人はおしなべて、日本人よりも神経質ではないので、少々の不備や失敗も、気に留めたりしません。なので、マイペースに経験を積んで、楽しみながら模索していきましょう。それで大丈夫です。