3 形式ばった手紙を書く場合のマナーあれこれ。
あなたが年配者であったり企業人であったりするなら、形式ばった堅めの手紙を書いたほうが良いこともあるでしょう。
そういった場合の手紙の書き方についても、解説していきます。
箇条書きの下に、各項目を詳しく解説しています。
①できれば手書きで書きましょう。
②ハガキではなく、封書にしましょう。
③手紙が便せん1枚の場合、白紙の便せんを添えましょう。
④縦書きで書きましょう。
⑤できれば即日、遅くとも2~3日以内には投函しましょう。
⑥他の用事と兼用しないようにしましょう。
⑦文頭・文後のあいさつ語を使い分けましょう。
⑧冒頭には時候のあいさつを入れましょう。
3-①.できれば手書きで書きましょう。
これはトピック2でも出てきたものですが、ビジネス色の強い手紙であってもやはり、お礼の手紙であるならば、手書きが好ましいです。本人がタイピングした文章よりも、秘書に代筆させた手書きのほうが良いくらいです。
3-②.ハガキではなく、封書にしましょう。
トピック2では逆に、封書(便せん)よりもポストカードのようなもののほうが好ましいと書きました。しかしビジネスマナーを重視する場合、ハガキよりも封書のほうが良いです。ハガキですと、「片手間」といった印象を与えてしまいやすいためです。
ビジネスマナーに則る場合、便せんや封筒はカラフルなものではなく、真っ白いものほうが清潔感があり、良い印象を与えると言われています。
3-③.手紙が便せん1枚の場合、白紙の便せんを添えましょう。
手紙の内容が便せん1枚のみで収まってしまった場合、もう1枚白紙の便せんを添えるのが慣例です。
3-④縦書きで書きましょう。
最近は横書きでの手紙や便せんも増えてきましたが、中国の書簡を起源としている手紙というものは、縦書きで書くのが一般的です。横書きだとフランクな印象を与えてしまうので、ビジネス調の手紙であるなら、縦書きでしたためたほうがベターです。
3-⑤.できれば即日、遅くとも2~3日以内には投函しましょう。
お礼の手紙の類は、スピードもとても大切で、ビジネスに関連するものならそれはなおさら重要になってきます。できることならばチェックアウトした即日、遅くても2~3日以内には執筆し、投函するようにしましょう。
3-⑥.他の用事と兼用しないようにしましょう。
お礼の手紙は、他の用事の手紙や文書とは一緒にしないことがマナーです。
商談の話などがあるとしても、別々の封書で送りましょう。そしてもちろん、お礼の手紙のほうを先に送るようにします。商談の話のついでにお礼の言葉を添えるようなことは、失礼にあたります。
3-⑦.文頭・文後のあいさつ語を使い分けましょう。
堅めの手紙を書くならば、文頭・文後のあいさつは欠かせません。
「拝啓」「敬具」のことですね。女性の場合は敬具ではなく「かしこ」で締めます。
これらの言葉は、その単語だけを置いても不充分です。ご存じでしたか?
「拝啓 時下ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。」
「今後ともどうぞ、宜しくお願い申し上げます。敬具」
といった感じで、時候のあいさつや感謝の言葉と並べて使います。
拝啓とは「おじぎ」の意味であり、敬具とは「敬意で結ぶ」という意味です。どちらもへりくだった意味合いを持つ言葉なので、常にペアで使われます。
このあいさつ語には、類義語がいくつかあります。より丁寧な表現となるのは、「謹啓」「店主敬白」ですね。
ちなみに、「前略」「草々」というペアもありますが、この組み合わせはビジネスシーンでは厳禁です。前略とは「取り急ぎ用件から入りますよ」という意味であり、草々は「粗略な様子」をあらわす言葉なのです。
3-⑧.冒頭には時候のあいさつを入れましょう。
繰り返しになりますが、「拝啓」から手紙を始めるならば、その直後に時候のあいさつを入れるのが決まりです。これを理解していない人は少なくないのではないでしょうか。
以下に、月ごとの時候のあいさつの例を記しておきましょう。
1月:新春を寿ぎ、謹んで年頭のごあいさつを申し上げます。
2月:暦の上に春は立ちながら、厳しい寒さが続いております。ご家族様にはその後、お健やかにおすごしのことと存じます。
3月:春寒しだいに緩み、一雨ごとに春の息吹が立ち込めてまいりました。ご一同様にはますますご壮健のことと存じます。
4月:花冷えの季節でございますが、ご家族の皆さまにはますますご健勝のことと存じます。
5月:青葉若葉の好季節、みなさまにおかれましては、なお一層ご活躍のことと、拝察いたしております。
6月:さわやかな初夏を迎え、木々の緑も日増しに深くなってまいりました。ご一同様には、なお一層お健やかにおすごしのことと存じます。
7月:セミの声に暑さを覚える今日このごろ、ご家族様にはますますご活躍のこととお慶び申し上げます。
8月:残暑厳しき折り、ご家族の皆さまにおかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
9月:新秋快適の候、皆々様におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
10月:秋涼のみぎり、皆さまにおかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
11月:菊花香る季節、ご家族様にはますますお健やかにお過ごしのことと存じます。
12月:師走の候、皆さまにおかれましては、ますますご清祥のことと、心根よりお慶び申し上げます。
なお、「貴社いよいよご清祥のことと…」といった通例的な書き方は、一般家庭の延長線上にある民泊施設のファミリーには、そぐわないと言えます。民泊は、「貴社」という雰囲気ではないですね。
時候のあいさつの書き方は多種多様にあります。「時候のあいさつ」で検索をかければ、インターネット上に簡単に見つけることができるでしょう。
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