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民泊という不動産投資の全貌は?-3


3 用語別に解説する、様々な民泊。


それでは次は、論理的な視点から、種々ある民泊やその用語について解説を。ビジネス民泊に携わる人は、少なからず把握しておいたほうが良いでしょう。


(1)ホームステイ型民泊とは?

(2)家主同居型民泊とは?

(3)家主不在型民泊とは?

(4)農家民泊とは?

(5)ホームステイとは?

(6)新法民泊とは?

(7)特区民泊とは?

(8)旅館業法民泊とは?


3-(1).ホームステイ型民泊とは?


まずは、最も民泊らしい民泊と言える「ホームステイ型民泊」について。


3-(1)-1.家主家族とゲストが同居するようなカタチの民泊。


「ホームステイ型民泊」とは、ある家庭の1つの部屋または一部のスペース(リビングなど)をゲストにシェアする形態の民泊を指します。「家主同居型民泊」「家主居住型民泊」「ホスト同居型民泊」などは皆、「ホームステイ型民泊」と同義と考えて良いでしょう。(5)で後述する「農家民泊」も、ほとんどの場合この中に属すもの。


つまり、その民泊施設には常に家主家族が滞在しており、民泊ゲストと家主家族は同居をするようなカタチになりますね。


なお、民泊における家主のことを「ホスト」といい、家主家族のことを「ホストファミリー」と呼びます。


3-(1)-2.「ホームステイ型民泊」なら手厚いもてなしを受けられる。トラブルは起きにくい。


常にその家の住人が居てくれるため、ゲストの身に何か困ったことやわからないことがあっても、すぐに助けてもらうことができるでしょう。もちろん、困ったことがなくてもホストは気を利かせ、お茶をもてなしてくれたりオススメの飲食店を紹介してくれたり。よっぽど変なホストの家庭を選んでしまわない限り、民泊トラブルは起きにくいので安心。


逆に言えば、「ホームステイ型民泊」のホストをやるつもりなら、こうした環境を与えられるだけの慈愛や気遣いが必須です。


3-(1)-3.「ホームステイ型民泊」の宿泊価格は安い傾向にある/ビジネスとして大儲けできるものではない。


「ホームステイ型民泊」は、宿泊価格が安い傾向にあります。日本や先進国で言えば、個室で1泊2,500円前後といったところ。


安い理由は2つあり、1つはホストの善意によるもの。「ホームステイ型民泊」のホストの多くは、あまりお金儲けを主眼にしてはおらず、良心的な価格設定にしてくれているところが多いです。2つ目の理由は、資金がほとんどかかっていないため。先行投資も毎月の維持費もほとんど掛からないので、安い価格でも運営が可能なんですね。


逆に「ホームステイ型民泊」のホストを志望する立場の人は、ビジネスとして大儲けできる類のものではないことをわきまえた上で参入すべき。


3-(1)-4.ホームステイ型民泊とは要は、本来の民泊のこと。


「ホームステイ型」などと形容が付くなら何か特別な民泊なのかな?と思ってしまう人もいるかもしれませんが、これは要は、本来の、昔からある民泊のことです。Airbnb(エアビーアンドビー)の台頭を機に「家主不在型民泊」というものが出てきたため、それと対比するカタチで「ホームステイ型」と念のため形容しているようなもの。


3-(2).家主同居型民泊とは?


「家主同居型民泊」とは、(1)の「ホームステイ型民泊」と同義語と考えて良いでしょう。≪(1)「ホームステイ型民泊とは?≫をご参照ください。


3-(3).家主不在型民泊とは?


日本でAirbnb(エアビーアンドビー)に携わる(営む/泊まる両方とも)なら、「家主不在型民泊」について知っておくべきです。


3-(3)-1.投機目的のホストによって運営される、無人形態での民泊のこと。


「家主不在型民泊」とは、投機目的のホストによって運営される、無人形態での民泊を指します。イメージとしては、ウィークリーマンションやコンドミニアムに近いもの。「管理者不在型民泊」「ホスト不在型民泊」などの言葉はこれと同義と考えて良いでしょう。


なお、人の手が介在するとしても、それが「予約の際の対応」「鍵の受け渡し」「トラブル時の対応」「チェックアウト後の清掃」のみならこの「家主不在型民泊」ですからご注意を。


3-(3)-2.「家主不在型民泊」はサービスも手助けも希薄。トラブルも多発しがち。


「家主不在型民泊」は、民泊施設の中にスタッフが居ないため、人の手によるサービスや手助けはありません。電車の乗り換え方法を教えてもらえることはなく、旅行について楽しく語り合うようなことも期待はできないでしょう。そのため、電球が切れたりなど不備があった場合には、一気にトラブルに陥ることになります。


また、営む側から見れば、監視するスタッフが居ないという状況は、マナーを守らないゲストが多発してしまうことを、肝に銘じるべきです。これは、ホストが迷惑をこうむるだけでなく、隣近所や物件のオーナーにも迷惑をかけてしまう懸念があり、その損害弁償請求をホストが負うことも少なくありません。


3-(3)-3.「家主不在型民泊」は日本では主流でも世界ではマイノリティ。


「家主不在型民泊」という非人情的な民泊は、日本のAirbnb(エアビーアンドビー)市場の7割ほどを占めています(2016年末現在)。しかし、世界市場で見ればわずか1割ほどしか存在しておらず、マイノリティ(少数派)な存在。


3-(3)-4.そもそも「民泊」と呼べるのか怪しいところ・・・。


民泊というものの定義が「民家に泊まること」なのであれば、誰も住んでいない家に泊まるこの形態は、「民泊」とは言えないのでは!?


Airbnb(エアビーアンドビー)は家主不在型物件の登録を容認してはいますが、私たちが民泊について語るとき、この「家主不在型民泊」を民泊のメインキャラクターとして語るのは、少し間違っているでしょう。


実際問題として、民泊と定義できるかも怪しくまたトラブルの多いこの「家主不在型民泊」は、行政レベルで禁止されていく可能性が・・・。


3-(4).農家民泊とは?


Airbnb(エアビーアンドビー)の流行よりも一足早く日本に台頭した「農家民泊」は、どのようなものでしょうか?


3-(4)-1.農業体験や自然体験の付随する、農家の自宅に宿泊する複合レジャー体験。


農家民泊の特徴は主に2つ挙げられます。


1つは、稲刈りなどの農業体験やホタル観賞などの自然体験を伴う宿泊であること。そしてもう1つは、特別な宿泊施設ではなく農家の自宅に宿泊すること。そのため、「宿泊施設」というよりは「レジャー体験」の種類の1つととらえたほうがよいかも。


3-(4)-2.「農家民泊」という表現は便宜的なもので、実際は非常に多岐にわたる。


「農家民泊」は別名を「農林漁業体験民泊」とも言います。この名前から察せられるとおり、体験できうるコンテンツは農業に限らず、その地域や家庭によって漁業や林業、牧畜、伝統工芸など非常に多岐にわたるもの。


もちろん、泊まる場所も農家とは限らず、漁師の家庭や牧畜業の家庭となるケースもあるのです。


3-(5).ホームステイとは?


「ホームステイ」と「民泊」は違うのでしょうか?


3-(5)-1.日本では、外国人留学生を受け入れる取り組みを指すことが多い。


「ホームステイ」という言葉をどう捉えるかは曖昧なところがあり、明確な定義は存在しないと言えますが、日本では主に、「外国人留学生を受け入れる取り組み」を指して使うことが多いようです。逆にこれを「民泊」と表現することは少ないのですが、外国人が関わってくるゆえ、英語である「ホームステイ」という言葉が多用されるのでしょう。


3-(5)-2.外国では、単純に「民泊を指す英語表現」として使われることが多い。


外国で「ホームステイ」と言えば、単純に民泊を指す英語表現として使われることが多いです。つまり、外国人留学生を受け入れるものに限らず、Airbnb(エアビーアンドビー)を介した一般旅行者を受け入れるものも、「ホームステイ」と表現されます。


ただし、やはり家主同居型でないものは「ホームステイ」とは呼ばず、この場合、「バケーションレンタル」と表現されることが多いでしょうか。


3-(6).新法民泊とは?


最近になって耳にするようになってきた「新法民泊」。これは重要なワードなので、民泊ホストは必ず把握しておいてください!


3-(6)-1.2017年に制定予定の民泊新法を踏襲した民泊のこと。これまでよりも合法民泊が容易に!


これまで民泊は、旅館業法に基づくものと、それを限定地域で簡易化した特区民泊法に基づくもの、この2つがありました。それに対して、第三の法令である「民泊新法」が2017年に制定される見通しになっています。


これは、民泊への宿泊ニーズ/経営ニーズの増大に対応するための規制緩和で、つまり合法での民泊経営がとても容易になる、民泊ホストにとってとてもうれしい存在。


3-(6)-2.「認可取得」ではなく「届け出」さえすれば民泊経営が可能に!


どう容易になるのでしょうか?これまでは、合法のもとに民泊を経営するためには、旅館業法の認可を得るか、または特区民泊の認可を取得する必要がありました。この2つはいずれも、エリアや建物、設備、接客などに制限があり、一般の民家で認可をもらうことはとても困難だったのです。


しかし「新法民泊」は「届け出制」にすぎないため、トイレの増設や防災設備の設置を施して自治体のチェックを受けなくても、民泊を営むことができます。


3-(6)-3.なんでもアリというわけではない!「年間180日以内」などの制限を守る必要はある。


「新法民泊」によって民泊経営の規制はかなり撤廃されますが、何でもアリというわけではありません。賃貸マンションなどでは引き続き、管理組合や物件オーナーの許可を得る必要がありますし、民泊を禁止する自治体ではやはり運営は不可。また、「年間180日以内」という制限がかかる見通しで、これを厳守しながら黒字を出すのは、家主不在型民泊ではかなり厳しいものがあるでしょう。


3-(7).特区民泊とは?


「特区民泊」は、地域が限定されているためほとんどの民泊ホストには関係のないものですが、民泊新法が制定される前の現段階で合法的に民泊を営みたいなら、この「特区民泊」のできる地域を狙い撃ちしなければなりません。


3-(7)-1.民泊条例の制定された地域でのみ行うことができる民泊のこと。


「特区民泊」を簡潔に定義するならば、日本政府によって国家戦略特区に指定され、さらに民泊条例を制定された地域でのみ行うことができる民泊のことです。


2016年末現在、これに該当する地域は、東京都大田区と大阪府(大阪市は17年1月から)、そして福岡県福岡市が12月1日に仲間入りしました。


3-(7)-2.「6泊7日以上」など規制緩和が中途半端で、あってないような法律?


この特区民泊、合法で民泊経営を行えるチャンスがあるというのに、該当地域でさえも認可を取得する民泊ホストはほとんど現れませんでした。というのも、制約の1つである「6泊7日以上」という滞在期間を望むゲストユーザーが少な過ぎるため。「合法」というお墨付き以外にはメリットが少ないのです。


また、ややこしいことに、大田区、大阪、福岡市それぞれで条例(規制)の内容が微妙に異なり、さらにはこれらの地区の中でも、自治体によって「上乗せ条例」を発令するところが少なくなく・・・。滞在期間の制約が「2泊3日」に短縮されたため、認可を取得するホストは増えるかもしれませんが、多くのホストは「民泊新法」の制定を待つでしょう。


3-(8).旅館業法民泊とは?


「旅館業法民泊」は、合法で民泊を営むことができる一番最初の手段でした。


3-(8)-1.旅館業法の1つ「簡易宿所」の認可を得ることで、合法化した民泊のこと。


民泊はもともと、旅館業法で定義されていないものであったため、Airbnb(エアビーアンドビー)の台頭によって法律的な問題が浮上した際厚生労働省は、旅館業法の一区分である「簡易宿泊」の中に民泊を組み込みました。


この「簡易宿所」の認可を得た民泊物件のことを、「旅館業法民泊」といいます。


3-(8)-2.本来、すべての民泊ホストはこの認可を取得しなければならない。


Airbnb(エアビーアンドビー)民泊がそうであるように、「宿泊料」を取って、「繰り返し」、「赤の他人」を「宿泊させる」のであれば、その民泊ホストは本来、この「旅館業法民泊」を目指さなければなりません。そうでなければ「違法」なのです。


「簡易宿泊」規約は、ホテルの該当する「ホテル営業」規約や日本旅館の該当する「旅館営業」規約に比べてゆるいものではありますが、それでも一般的な個人宅でクリアするのは難しいもの。結局ほとんど誰も認可取得せずに民泊経営を続けているため、法律のほうが世相に合わせて軟化するという、珍しい現象が起きています。


3-(8)-3.農家民泊や農家民宿には、旅館業法民泊を踏襲しているものも多い。


農家民泊や農家民宿には、きちんと旅館業法民泊として営業するところも多いです。これは、農家民泊や農家民宿は自治体の地域プロジェクトに乗っかって起業した人々が多いため。自治体が取り仕切るとなると違法で経営するのは問題になりやすいゆえ、几帳面に認可取得が徹底されてきました。


とはいえ、農家民泊などは通常の簡易宿所規約よりもさらにゆるくなっています。

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