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民泊がもたらした経済効果から、不動産投資としての価値を探る-2


2 民泊を利用している主層は、バックパッカーではなかった。


この分析結果を意外に感じた人は、少なくないはずです。


2-1.Airbnb(エアビーアンドビー)民泊ではない民泊物件であふれかえっている。


Airbnb(エアビーアンドビー)で運営されている民泊施設は、大きく2種類に大別できます。1つはいわゆる「ホームステイ」と呼ばれる、ホストとの交流を重視するタイプの物件。そしてもう1つは、ゲストハウスから派生してきた、安さ重視の相部屋物件です。

東京に爆発的にAirbnbオーナーが増えたのは、「安ければ何でもいいよ」と考えるバックパッカー系の外国人旅行者に対して、少ない手間で儲けを出すことができたからです。

そのため、日本各地でこうした「ドミトリー(相部屋)マンション」のようなものを起業する投資家が増えたわけなのですが、統計調査によると、日本の民泊経済を支えているのは、バックパッカー系の層ではありませんでした。そうした層も居るには居ますが主層ではなく、ホームステイ派が多いのです。


2-2.Airbnb(エアビーアンドビー)利用者の多数は、家主非同居型に興味がない。


Airbnb(エアビーアンドビー)利用者の多くは、日本食はもちろんのこと、日本の文化や日本人との交流に、興味を持っています。そのため、家主不在型の投機的物件には、あまり興味がないのです。これらのオーナーがどれだけ洒落た空間作りに励んだところで、外国人客の多くは、眼中にないのです。

政府もまた、家主不在型・投機型の物件には規制を強めようとしています。ホームステイ型の、交流が重視されたタイプの施設に関しては、旅館法を変えてまでして、規制緩和し推進しようとしています。

これはとてもヒニクな状況です。経済効果を気にしている投機型のオーナーたちは不遇になり、儲けなどあまり気にしていない人情型のオーナーたちが、優遇されるのです。


2-3.「経済効果10兆円!」には裏の意図が隠されている…。


「民泊が兆規模の経済効果をもたらした」という見解は、あまり正しくないように感じます。日本経済が外国人によって活況なのは事実ですが、それはあくまで円安の影響であり、民泊が牽引しているわけではないでしょう。民泊は牽引者ではなく、むしろその恩恵を賜った側です。

ただし、民泊のような国際色・伝統色の強い体験は、外国人にとって非常に強いニーズ=経済価値があるのは、事実でしょう。それも、とても大きなものです。

海外旅行を楽しんでいるのは多くが欧米人ですが、彼らにとって日本は、「東洋」というまったく異なる興味津々な文化です。中国も東洋であり、中国の家庭でも日本と類似するような食や伝統を見ることができますが、日本のほうが清潔感、設備、上品さの面で勝っており、二国を比べるなら日本で体験したいと願っています。日本の民泊物件の増加を最も喜んでいるのは、日本人よりも欧米人です。その結果が宿泊代金として日本に還ってきている、といった構図です。


ちょっと誤解が生じそうなので注釈しますが、「日本のAirbnbゲストの主層が欧米人」という意味ではありません。54パーセントがアジア人です。この層は、日本の畳の部屋で眠ってみたいと思っているわけではなく、ホテルよりも安い宿泊施設を探している傾向にあります。



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