「民泊受け入れが楽しい」と言っているホストの多くは、積極的にゲストと関わっている傾向にあります。おしゃべりをするのはもちろんのこと、ときにはゲストと一緒に観光に出かけることも。気分はツアーコンダクターといったところでしょうか。
民泊ゲストを観光に連れ出し、忘れられない思い出を作ってあげましょう!きっとそれは、あなた自身にとっても忘れられない思い出となり、有意義なものとなるはず。
1 外国人ゲストをプチツアーに連れていくなら、「日本らしいコンテンツ」を選ぼう!
あなたの気の合う友達とちょっとした観光旅行に出かけるなら、あなたの感性の赴くままに行き先を決めても満足させてあげられるかもしれません。しかし、相手が外国人なのであれば、少し冷静になって、「これは喜んでもらえるかな?」としっかり考慮すべきです。外国人ゲストに人気の「日本らしいコンテンツ」が何か、まずはそれを学びましょう。
(1)日本家屋は大人気!でも外国人にはキケンがいっぱい!?
(2)食事のエスコートは「一人では食べ方がわからないもの」を。
1-(1).日本家屋は大人気!でも外国人にはキケンがいっぱい!?
日本といえば、ウォシュレットに代表されるように「工業最先端」の国ですが、日本に訪れる外国人の多くは、新しさよりも「古い日本」に興味を持っています。囲炉裏や茅ぶき屋根を持つような、いわゆる「古民家」を体験できる施設が近場にあるなら、ぜひ連れていってあげましょう。
しかしこの古民家、外国人にとってはキケンがいっぱい!?
1-(1)-1.古民家は鴨居(天井)が低すぎる!
日本の住宅、特に古い日本家屋は、欧米の住宅よりも小さいことは有名ですよね。天井がとても低いのですが、中でもふすまや扉をくぐる際、その鴨居の部分はさらに低くなります。これは180センチ程度の高さで設計されていることが多く、つまり180センチを超える外国人は、鴨居に頭をぶつけやすいのです!わかっていてもついついぶつけてしまうもので、そのため大きな古民家をぐるっと探検したり長期間滞在したりするなら、思いのほか苦しい障壁になる様子・・・。
あなたがツアーコンダクターをするなら、低いところをくぐるたびに「気をつけて!」と声を掛けてあげると、各段に回避しやすくなるでしょう。
1-(1)-2.外国人は和式トイレでしゃがめない!?
和式トイレにしゃがむという行為は、特に何の努力も技術も要しないものだと私たち日本人は感じています。でもそれは、幼い頃からの習慣があるからに過ぎないこと、ご存じでしたか?慣れない人にとっては、「しゃがむ」という行為には筋力や柔軟性が足りず、困難だしすぐに疲れてしまうものなのです。
観光施設であれば洋式の便器にリフォーム済みなことが多いでしょうが、親戚の家に案内する
場合などは、近場に洋式トイレの施設を見繕っておくなど配慮をしてあげてください。
1-(1)-3.外国人は正座が出来ない人も多い!
トイレほど切羽詰まった問題にはならないでしょうが、これも日本らしさを体験するうえでは大きな障壁に!
正座もまた、日本人にとっては苦労を要しないものですが、慣れない人の場合、そもそも正座の姿勢を取ることすら出来ないことがあります。これは、足の長い欧米人には特に多いことで、骨格に起因するものであるため無理強いは禁物です!また、なんとか姿勢が取れたとしてもしびれが起きやすかったり、足の甲の皮がむけやすかったりしますから、茶道や書道などを体験するときには、注意を払ってあげましょう。
1-(1)-4.新しい畳の匂い、外国人にとっては臭い!?
田舎のお祖母ちゃんの家を思い出したりする、日本人にとって癒しの香りの一つである、畳の匂い。これも、馴染みのない外国人からすると、風情も懐かしさもなく、単純に「臭い」「不快」と感じてしまうことが多いようです。
古民家の場合、畳も新しいことは少なくイグサの匂いもあまりしないでしょうが、日本旅館にエスコートするようなときは、思いがけずゲストを不快にしてしまう懸念があるので、ご注意を。
1-(2).食事のエスコートは「一人では食べ方がわからないもの」を。
民泊ホストがエスコートするプチツアーで最も多いのは、食事でしょうか。
やはり外国人を連れていくなら、日本食を紹介してあげたいですよね。その場合、ゲストが一人でも食べてこられるものを案内するより、「一人では食べ方がわからないもの」をエスコートしてあげると、より有意義となるでしょう。
1-(2)-1.お好み焼きは「食べる」だけでなく、「みんなで楽しむ」のが理想的。
外国人に人気の外食の1つがお好み焼きです。しかし、ガイドブックでこれを知ってお好み焼き屋さんに入ってみたものの、イマイチ満足できない外国人が多い様子・・・。
というのも、お好み焼きの魅力というのは、自分で鉄板で手作りすることにあり、また、家族や友人たちとそれをワイワイやることにあるためですね。一人でお店に入っても店員が焼いてくれるため、食べることは可能ですが、「お好み焼きを楽しむ」ためには、ホストのあなたが連れ添い、焼いてあげたり焼き方のレクチャーをしてあげるほうが、断然楽しいのです。
1-(2)-2.近年のラーメンは、注文の仕方が難しい!
ラーメンと言えば中華料理ですが、2000年頃から台頭してきた合わせダシ(とんこつ醤油など)系のラーメンは、「日本食」として外国人に評判です。
この「日本食ラーメン」ですが、多くの店では、麺の堅さを選べたりスープの濃さ、背脂の多さを選べたりします。こうしたオーダーメイドをすることが「日本食ラーメン」の醍醐味の一つなのですが、外国人がいきなり店に行ってもこれは上手く行えないので、ホストが連れ添い、オーダーメイドの仕方を教えてあげると良いでしょう。
また、ラーメンを「ズルズルっ!」と豪快に食べる日本特有のマナー(?)も、外国人は知らないので教えてあげてください。
1-(2)-3.お寿司は高い!思いがけない出費になる前に忠告してあげて。
外国人ゲストも、お寿司が高級品であることを基礎知識として知っています。しかし、どれくらい高級なのかは、あまり理解していないことが多い様子。さらにお寿司は一つ一つのネタが小さく、大食漢の欧米人などはどんどん注文してどんどん食べてしまいます。すると、「お会計が5,000円を超えていてビックリ!」と青ざめることになるのです・・・。
お寿司屋さんに連れていくときは、「10皿食べたらもう2,000円だからね!」といったふうに、わかりやすく値段の目安を教えてあげてください。
1-(2)-4.外国人はスキヤキ大好き。でも生卵はNG!
お寿司と並んで昔から外国人が憧れている日本食に、スキヤキがあります。しかし、スキヤキをエスコートする際には、思いがけない注意点が!
それは、卵についてです。スキヤキでは一般的に、煮込んだお肉や食材を生の溶き卵に絡めて食べますが、外国では卵を生で食べる習慣はありません。日本では、玉子を冷蔵保存するので生のまま食べられるのですが、外国では常温保存が一般的で、「玉子とは火を通さないとキケンな食べ物」という認識が一般的なのです。
日本の卵なら新鮮だから大丈夫ということではなく、そもそも生卵を食べる習慣がなく、その食感に気色悪さを感じる外国人が多いので、配慮をしてあげましょう。