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東京や大都市の不動産投資!国家戦略特区では民泊が正式に営業できるのか?-1


民泊。Airbnb(エアビーアンドビー)市場は右肩上がりのホスト増を続けていますが、その一方で日本人大衆からの印象は低下傾向にあります。特に、違法性の高い・トラブル懸念の大きい家主不在型民泊については、かなり肩身が狭くなっている実情を把握しましょう。


家主不在型民泊の志望者の救世主として登場したのが、国家戦略特区における民泊、いわゆる「特区民泊」でした。旅館業法の認可を取得しなくても民泊ビジネスを営むことができるという触れ込みですが、はたして国家戦略特区では、問題なく民泊が営業できるのでしょうか?



1 国家戦略特区って、どこのエリアのこと?


特区民泊について理解するためには、まずは国家戦略特区について理解する必要があります。日常会話ではあまり聞くことのない国家戦略特区という言葉。いったいどこの、どのようなエリアのことを指しているのでしょうか?


1-1.国家戦略特区とは、経済成長戦略の1つ。雇用に関する規制などが緩和される。


国家戦略特区(正式には、国家戦略特別区域)とは、安倍内閣が掲げている成長戦略の1つです。主に地域振興と国際競争力の向上を目的としたもので、東京や大阪をはじめとした、経済活動の盛んな地域を中心に制定されました。


経済活動の成長を優先した戦略であるため、「解雇ルール」「労働時間法制」「有期雇用制度」に関する規制の緩和が認めらます。


1-2.具体的なエリアはこの12地域。


経済成長のための特別な規制緩和が認められた国家戦略特区は、具体的にいうと下記の12エリアです。


(1)東京圏(東京都、神奈川県、千葉県千葉市、成田市)

(2)関西圏(大阪府、兵庫県、京都府)

(3)新潟県新潟市

(4)兵庫県養父市

(5)福岡県福岡市・北九州市

(6)沖縄県

(7)秋田県仙北市

(8)宮城県仙台市

(9)愛知県

(10)広島県・愛媛県今治市


1-3.国家戦略特区であるだけではダメ。さらにその地区の行政が民泊条例を認めていることが条件。


勘違いしてはならないのが、国家戦略特区に位置していていれば特区民泊を経営する権利があるわけではないということです。国が特区民泊の経営を認めていても、その地区の行政が民泊条例を制定し、特区民泊を推進していなければ、規制緩和は受けられません。


1-4.国家戦略特区かつ民泊条例が制定されたエリアはどこ?


では、国家戦略特区と自治体の民泊条例、この2つの条件をともに満たしているエリアというのは、どこなのでしょうか?こうなると、数はぐっと減ってしまいます。


(1)東京都大田区

(2)大阪府(一部市区町村を除く)

(3)福岡県北九州市


なお、大阪市に関しては、(2)の大阪府とは別のかじ取りで動いています。これは、民泊の許可認定を統括する保健所を、大阪市が独自に持っているため。


このように、東京の中でも大田区に限られていたり、大阪府の中でも民泊条例に賛成しない市区町村が幾つもあったりしており、特区民泊エリアはなかなかスムーズには広がっていません。


1-5.国家戦略特区かつ民泊条例が制定されたエリアでも、まだ禁止される場所がある!


ややこしくてため息が出そうですが、国家戦略特区に指定されていて、かつ民泊条例が制定された区域であっても、すべての家屋で特区民泊の規制緩和が受けられるわけではないのです。


さらに、下記の2つの規制が立ちはだかります。


(1)賃貸借契約で民泊(転貸)が許可されていないとダメ。ほとんどの賃貸借契約書は民泊不可。


特区民泊は、「賃貸借契約」における物件オーナーの権利を尊重しています。つまり、不動産賃貸の契約を交わす際の書類である「賃貸借契約書」に、「民泊OK(転貸OK)」の旨が記されていないなら、国家戦略特区であろうと規制緩和は受けられないのです。


そして現状、ほとんどの物件が、民泊(転貸)は禁止しています。


(2)不動産オーナーが許可をくれても、マンションの管理規約で禁止されるなら、やっぱりダメ。


近年は、民泊ホストに部屋を貸すと高い利益が得られることから、賃貸借契約書を書き換えたり使用承諾書を出す不動産オーナーも増えてきてはいます。しかし、他にも規制があるのです!それが、マンションの管理規約。


一般的に、マンションの管理規約には、「もっぱら住宅として使用」すべき旨が記されています。民泊経営は事業なので、この条件に反してしまうのです。


そして、世相の影響から、多くの管理組合は民泊の経営を禁止したがります。


1-6.さらに、地域による上乗せ条例がある!


日本の法令には、「上乗せ条例」という概念があります。これは、国が定めた法律であっても、都道府県や市区町村などの各自治体が「NO!」と言うなら、その地方自治体の決まりが優先されるというもの。ちなみに、賃貸借契約やマンション管理規約についても、ごく狭いエリアでの上乗せ条例と言えます。


この地方自治体の上乗せ条例では、やはりその地域の特性やニーズに合わせて、民泊を規制するのです。たとえば大阪市の場合、建築基準法第48条の中で「ホテル・旅館の建設が可能な用途地域」として認められているエリアに民泊を限定しています。つまり、どのみち旅館業法認可の取りやすいエリアでしか民泊を営むことはできず、ホストの多くが望んでいる一般住宅街での民泊経営は、大阪市では許されていないのです。


こうした上乗せ条例がありますので、実際にはあなたのお住まいの自治体の条例・条件を、必ずご確認ください。



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