3 ホームステイと民泊の違いは?
では、ホームステイと民泊の違いについて、日本の世相を照らし合わせたうえでまとめてみましょう。
3-1.ホームステイと民泊の違いを、明確に定義づけることはできない!
回答としては元も子もないものとなってしまいますが、これが実情となっています。
「ホームステイ」と「民泊」、この2つの言葉の違いを、明確に定義づけることは非常に困難なのです。
3-2.話のニュアンスによって感じ分ける。または相手に尋ねて確認するしかない。
その会話や文章の中で、「ホームステイ」および「民泊」という言葉がどのようなニュアンスで用いられているのか、ホームテイとは違う意味で、または民泊とは違う意味で用いられているのかは、前後の文脈から感じ分けるしかありません。または、相手に直接、「それはホームステイの意味ですか?」などと確認するしかなさそうです。
3-3.「私、民泊をやっているんです」だけでは、どんなニュアンスのものかは断定できない。
たとえば、誰かがあなたとの会話の中で、「私、民泊をやっているんです」と言ったなら、その言葉の意味は、他者が推測してもまったく要領を得ることはありません。
この表現だけだと、「私、自宅の一部を旅行者に無料で貸し出して、日がな交流を楽しんでいます。」という意味かもしれませんし、「私、自宅の一部を旅行者に有償で貸し出して、日がな交流を楽しみながら副収入も得ています。」という意味かもしれませんし、「私、自宅のそばに3LDKの一軒家を借りてきて、民泊代行業者に委託しながら手間をかけずに家賃収入を得る事業をしています。」という意味かもしれないのです。これをハッキリさせるには、「お金を取っているんですか?」や「投機ビジネスタイプのやつですか?」といった質問を重ねる必要があるでしょう。
3-4.「民泊=有償」、「ホームステイ=無償」とも限らない。
多くの人は、「民泊」というのはAirbnb(エアビーアンドビー)などを用いた商業的な受け入れで、「ホームステイ」というのはボランティア的・非商業的な受け入れだと認識しているかもしれません。しかし、そうとも限らないのです。
「ホームステイ」というと多くの場合、外国人留学生を受け入れる取り組みを指します。この取り組みをボランティアだと思っている人は多いかもしれませんが、留学生受け入れは、無償のこともあれば有償のこともあります。
さらに、留学生受け入れではないホームステイも存在するので、「ホームステイ=無償」という観念はあまり正しくないと思っておきましょう。
3-5.「ホームステイ=家主が滞在している」というニュアンスはほぼ間違いない。
1つだけ、「民泊」と「ホームステイ」で明確な違いがあります。
「民泊」という言葉の場合、家主が滞在しているかどうかはわかりません。両方のケースがあります。しかし、「ホームステイ」と表現されるなら、それはほとんど全てのケースにおいて、家主が滞在しながら他人を泊めている状態を指します。
そのため近年の民泊業界では、家主が滞在している形態のものを指す場合に「ホームステイ型民泊」と表現するのですね。
3-6.人情的な民泊を営んでいるなら、「私はホームステイ型民泊を営んでいます」と表現するのがベター。
そのため、あなたが家庭の一部を使って民泊を営んでおり、誰かと民泊についての話をする際には、「私はホームステイ型民泊を営んでいます。」といった表現をするのがベターです。そうすれば相手は、「あ、交流を重視した暖かい民泊をやっている人なんだな」と察してくれるでしょう。
4 ホームステイ/民泊とシェアハウスの違いは?
Airbnb(エアビーアンドビー)よりも10年くらい前から台頭してきたシェアハウス。これも実は、ホームステイ/民泊とかなり類似性の高いものです。
4-1.シェアハウスには大型タイプと小型タイプがある。
シェアハウスは、2つの規模のものに二分できます。大型タイプと小型タイプです。
大型タイプのものは、5階建てマンションくらいのサイズのものが多いでしょうか。たくさんの個室があり、しかし普通のマンションとは違って大きなキッチンやリビングエリアがあります。このタイプの場合、そのシェアハウスのオーナーが住み込んでいることは稀で、大抵は雇われた管理人が住み込みで管理業務を請け負っています。
これに対して、小型タイプのものは、3~6LDK程度の普通の一軒家を用いているのが主流です。このタイプの場合、そのシェアハウスのオーナーは、その一軒家の一室に住んでいることが多いです。
4-2.小型タイプのシェアハウスは、ホームステイ/民泊ととても酷似している。
普通の一軒家を用いていて、オーナーがその一軒家に住んでいて・・・という具合に、小型のシェアハウスは「客室数の多いホームステイ型民泊」といった趣があります。
小型シェアハウスのオーナーは人との交流を好むことが多く、また、リビングにあるものなどを気軽に入居者にシェアしてしまう点などもホームステイ型民泊のホストとよく似ていますね。
4-3.シェアハウス独自の定義は?
定義上の違いとしては、
(1)シェアハウスは1カ月単位の入居契約である。
(2)シェアハウスは簡易宿所に似た認可が必要である。
という点がホームステイ/民泊とは異なっていますが、(2)に関しては昨今の民泊と同じように、無認可で営業している小型シェアハウスも少なくありません。