小説「シャンバラとアセンション」Vo.8
エピソード17
「パソコンは無いのか?」
と、訊いてみた。
どうやら、このテレビが、
パソコン機能を兼ねているらしい。
…いや、違う。
これは本来、パソコンのモニターであり、
「テレビの機能も、兼ねている」のだ。
公共放送というものは、あるにはあるが、
1局しか存在していないらしい。
インターネット的な技術が普及するまでは、
20世紀の日本と同じように、
10局程度のチャンネルがあったが、
インターネットが普及して、テレビは、役割を終えたらしい。
…ごもっともである。
近年の視聴者は、
わざわざ、CMがしょっちゅう挟まるテレビ番組を、
夜11時まで起きてまでして、見たいとは、思わない。
好きなときに好きなコンテンツが楽しめるインターネット映像は、
確実に、テレビ業界を食い殺すと見える。
2000年頃に、
ホリエモンという、ニートみたいな風貌の人間が、
そのような未来を予想し、テレビ業界を、警告していた。
彼は、実は、テレビ業界の救世主であったようだが、
逆に、徹底的に叩かれ、刑務所に入った…。
そして、
時代は、ホリエモンの予期したとおりに、なりつつある…。
今頃になって、テレビ局は、
ネット業界にへつらいはじめているが、
テレビ局にコンテンツを提供してもらう必要性は、
もう、急激に衰えていくと感じる。
エンたちも、そのような10年後を予測しているらしい。
ホリエモンから学べる教訓が、一つ、ある。
みんなから叩かれる人間・団体が、
必ずしも、悪であるとは、限らないのである。
特に、世相とは異なる、新しい価値観を提唱する人は、
いつの時代も、徹底的に叩かれる。
そして、
彼が死んだあとくらいになって、ようやく、
大衆は、彼の思考に追いつくのである…
天動説の世の中に、地動説を説いたコペルニクスから、
そのような「迫害の歴史」は、脈々と、続いている。
私たちは、誰しも、
社会の教科書でコペルニクスを習っているはずなのだが、
実社会の中で、コペルニクスのような人間が出てくると、
ことの真偽を、慎重に見極めようともせず、
メディアの論調に流され、叩き、殺してしまう…
コペルニクスの事象を生徒に教えている、社会の教師でさえ、
そのような愚行を、繰り返している。
どうやら、私たち現代日本人は、
「学習能力」というものが、致命的に、低いらしい。
それに加えて、
新しい価値観を受け入れられない、保守的な生き物であるらしい。
少し、謙虚にならなければいけないと思うが、
あなたは、どうだろうか?
エピソード18
電力は、どこから取っているのだろうか?
この家に来る際、歩いた町並みに、
電柱や電線は、存在していなかった。
私は、エンに訊いた。
エンは、私を、家の裏側に連れていった。
そこには、ゴミ箱程度の大きさの、
立派なクリスタルが、置いてあった。水晶石だ。
この水晶が、電力原になっているらしい!
…いや、このような話も、聞いたことがあったので、
そう驚きはしなかったが…。
「本当に、そうだったんだー!」
という驚きは、やはり、感じられた。
この大きさのクリスタル1個で、
30アンペア程度の電力は、賄えるらしい。
彼女らの電化製品の数からすれば、
充分過ぎるバッテリーと言える。
クリスタルから、尻尾のように、黒いコードが延びていた。
そのまま、照明器具やパソコンに、枝分かれするようだ。
クリスタル・エネルギーは、
水晶これ1つで完結してしまうため、
ほとんど、ゴミというゴミが出ない。
つまり、
資源を消耗せず、地球を汚さないし、壊さない。
コスト・パフォーマンスも、良い。
クリスタルは、風雨に強く、
劣化どころか、微量に成長し続ける性質を持つゆえ、
本当に、買い替えなどが、必要無い。
まさに、万能なエネルギー動力源と言える…!!
また、
ガスや電力のように、
大手の元締め会社のようなものが、一切、必要無い。
誰にも依存することが無い。メンテナンスも不要だ。
…つまり、
非常に、「商業主義者泣かせ」の動力システムなのだ!
クリスタルを電力に変換する仕組みは、
そう難しくは、無いそうだ。
ある程度の科学技術者であれば、理解・製造が可能らしい。
しかし、
3次元社会の現代人たちは、
お金儲けや搾取に夢中になり過ぎている事実と、
クリスタルのエネルギーを、攻撃的に誤用する恐れがあるので、
情報の開示が、止められているそうなのだ。
地球は、アトランティス時代の二の舞は、
絶対に、絶対に、起こしたくないのである!
資本主義システムの終了と、
武力保持の終了が完遂されない限りは、
クリスタル・エネルギーの導入は、起こらないらしい。
私たちは、
他社を騙したり攻撃したりすることを止めない限り、
この、キセキのエネルギーを活用できる時代は、来ないのだ…
まだまだ、あと何十年かは、
電力会社やガス会社に、毎月何千円も、払い続けるのだろうか…。
しかし、
信頼されていた東京電力の、ずさんな実態が明るみになってきた。
このような出来事によって、
日本人大衆は、
新しい動力供給のサイクルを、模索し始めるかもしれない。
ソーラーパネルの普及は、
クリスタル・エネルギーの予行練習のようなものだろう。