小説「シャンバラとアセンション」Vo.5
エピソード11
私は、防寒具を脱いだ。
エンも、防寒具を脱いだ。
シャンバラの気候は、温暖で、
防寒具は暑苦し過ぎた。
気温はおよそ、20度程度と思われる。
私たちは、また、
歩きながら、会話を続けた。
会話形式にすると、面倒であるため、
彼女に聞いたことを、一方的に、説明しよう。
まず、シャンバラには、夜が無いらしい。
太陽は、常に上空の定位置にあるので、
日の傾きや時間の経過が、存在しないのだ。
「昼と夜」は、「二元性」の1つである。
5次元文明は、「二元性」を超越した人々の暮らす場なので、
彼らは、夜がもたらす、暗さ、寒さ、怖さといったものを、
強制的に経験する必要性は、無いのだ。
暗さ、寒さ、怖さなどを経験したい人たちは、
自発的に、今のような洞窟に、潜っていくのである。
かと言って、
エンたちも、睡眠は取る。
時計は用いて居ないので、自分が眠くなったら、眠る。
起きたくなったら、起きる。
眠りたければ、何十時間でも眠り続けて構わないが、
睡眠と言うのは、10時間を超えた辺りから、苦痛に変わってくる。
そのため、
誰が怒ったりせずとも、
誰もが、10時間も眠れば、起きてくるのだ。
「一家団欒」などという概念が、彼らには、無い。
家族は存在しているが、
「一同に会して食事をすべきだ」
といった価値観は、無い。
たまたま一緒に起きていれば、喜んで一緒に食事をする。
他者がみんな眠っているなら、一人で食事をする。
つまり、「どっちでも良い」ということだ。
彼らは、何にせよ、
「こうでなければならない」という囚われが、無いようである。
右でも良いし、左でも良い。真ん中でも良い。
「どっちでも良い」または「どれでも良い」のだ!
「家族は、揃って食事をするべきである」
「朝起きて、夜眠るべきである」
「大人になったら仕事をし、結婚すべきである」
といった、義務や囚われの類は、全て、
悪意的に大衆を支配しようとした人間が、勝手に作った価値観なのだ。
ご存知であったか?
それらは、「真理」とは違う。
「ロイヤルブルーを達成する」ということは、
そのような、私たちを取り巻く無数の価値観の鎖から、
自発的に抜け出してくることを、指すらしい。
色に関連することは、後ほどまた、詳しく説明する。
尚、
雲や雨は、存在している。
私が滞在している間は、雨は降らなかったが。
雷、雪、台風は、起こらない。
何にせよ、厳しい気象環境は、発生しないらしい。
ちなみに、
気候や、夜の無いシステムなど、
この章に書かれた内容のほとんどは、
他の5次元文明でも、共通するらしい。