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小説「シャンバラとアセンション」Vo.4

エピソード9


脳と体が機能を取り戻してきたようだったので、

「動けます」と、エンに伝えた。

エンは、「良かった」と微笑むと、

私の手を取って、立ち上がる手助けをしてくれた。



まさかとは思ったが、そのまさかを、

彼女は、口にした。

「シャンバラに、少し、ご案内します。」


「え!良いんですか!?」

私は、驚きと戸惑いと喜びが、交錯していた!!


「イェス。あなたは、その基準を満たしているようです。」

彼女は、翻訳機みたいな喋り方だったが、

文法は、決して、間違っていなかった。


「わ、わ、わ、私、

 アセンション出来たんですか!?」


「ウフフ。

 残念ですが、そういうわけでは、ありません。

 もう少しというところです。

 バイオレットとブルーが、少し、足りないようです。」


「それなのに、

 シャンバラに入って大丈夫なんですか!?」

私たちは、歩きながら、会話を続けた。

…全ての会話やタイミングが、正確とは言えないが、

だいたい、間違いは無いはずである。

これ以上のリアリティは、ビデオでも撮らない限り、難しい。



「虹の7色のオーラのうち、5色を達成出来ている場合には、

 5次元文明への、『一時的な招待』を受けることが、あります。

 ただし、5色の中に、ロイヤルブルーが必須になります。

 直感を信頼して、闇に飛び込んでいく強さが、必要不可欠です。」

…つまり、

商業的な、視覚的チャネリングに熱中している人たちは、

あらかた、「条件外」ということになる…。

ドリーン・バーチューでさえ、

ここに来る条件は、満たしていないことになる。江原さんも。



彼女は、ランタンのようなものを掲げながら、洞窟を歩いた。

洞窟の中は、複雑だった。

私1人では、行くことも帰ることも、不可能だろう。

それとも、

直感に頼れば、可能なのだろうか?わからない。



エピソード10


1時間くらいは、闇の中を歩いた。

体は疲労の極限にあったはずだが、それなりに、動いた。

シャンバラに対する興奮が、私を動かしていた。



やがて、突き当たりに達した。

その辺はもう、

這って進む必要のある、動物のあなぐらのようだった。



エンは、あなぐらの突き当たりに達すると、

岩をゴトゴトと、どかし始めた。

私も手伝いたかったが、二人が作業するスペースは、無かった。


すると、おデブちゃんは、

残念ながら、シャンバラには入れそうも無い。

つまり、アセンションも不可能だ。



5分も掛からず、撤去作業は終了した。

最後のトンネルをくぐり抜けると、

私はついに、広い大地に出た!


私は、興奮を抑えて、

岩を元に戻す作業を、率先して行った。

…なにしろ、

エンに、「まだ足りない」と言われたバイオレットは、

「奉仕」に関連する色であったからだ。

しかし、

このような作業が、「奉仕」に該当するかは、いささか疑問が残る。



作業を終えると、

私は改めて、シャンバラの大地を見渡した。

大きく深呼吸をし、大きく伸びをした。



…殺風景なところだった。


まぁ、「聖なる予言」シリーズの中で、少し描かれていたので、

大方の予想は、付いていた。

ただし、あの作者は、

実際にシャンバラの大地に降り立ったわけでは、無いらしい。



ここは、

地上世界で言えば、チベットの辺りになるが、

シャンバラの風景も、まさしく、アジアの田舎であった。

ネオンの光や、高層建築などは、一つも、見えなかった。

つまり、

アメリカ社会の目指す先に、

5次元文明は、行き着かないということである。



私は、一つの疑問を抱いた。

厳密に言えば、以前から抱えていた疑問だった。


「なぜ、地底世界に潜り込んで来たのに、

 太陽と空があるのだ?」



私は、その疑問を、エンにぶつけた。


「ウフフ。その疑問は、当然ですよね。

 ここは、地底世界では、あります。

 ですから、

 グーグル・マップの撮影班などが、ここを見つけることは、無いでしょう。

 科学力では、絶対に、5次元文明には達しません。


 この地底世界の仕組みを、的確に説明している本が、

 あなた方の世界にも、ありますよ?

 北極点付近から、地底世界に到達した方が、書いています。


 地球は、内側が空洞になっているのです。

 そして、

 空洞の中心にも、太陽があるのです。

 この空の果てにあるのは、宇宙ではなく、鉱物の壁なのですが、

 あまりにも遠くであることと、太陽光線の特性によって、

 やはり、青空に見えるようです。

 ここに住んでいる私でも、あまり、信じられません。ウフフ。」



私はまた、ぽかんとしてしまった。

私はその、北極点付近から地底世界に入った人の本は、

読んだことが無かったので、

エンの説明だけでは、解ったようで、解らなかった。

後になって、その本を見つけて読んだことで、

とりあえず、自分の頭の中では、

地球の真の姿が、イメージ出来るようになった。


科学的な説明は、私の専門外である。

したがって、

エンの説明した地球の構造について、詳しく理解したい方は、

その本を探して、読んで頂きたい。

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