top of page

小説「シャンバラとアセンション」Vo.1


小説「シャンバラとアセンション」Vo.1

シャンバラとアセンション

作者 まお



第1章

エピソード1


私は、冒険家という職業をやっている。

聞いたことがあるようで、聞きなれぬ職業かと思う。

なにしろ、日本には、

私を含めて4人ほどしか、この肩書きを持つ者が、居ないのだから。


海外には、

アメリカを中心に、この肩書きを持つ者が、もっと多い。

それは、

海外には…そしてアメリカには…

冒険というものに恋焦がれ、胸躍らせる人間が、多いからだ。

いや、

アメリカもまた、冒険者の肩書きを持つ者は、減少傾向にある。

他の欧米諸国も、同様だろう。



いずれにせよ、

日本には、冒険家という職業人が、少ないのだ。

大衆に、冒険に興味を示す者が少ないため、

スポンサーが付かないのだ。

冒険家というのは、タレント稼業や実業団スポーツと、

似たような仕組みの職業なのだ。


そのため、

日本の場合は、

すでにネームバリューのある人間が、冒険家のマネ事をするような、

「逆転現象」が、起きている。


間 寛平さんが、ヨットで世界一周したりしたのが、

冒険家のそれに、とても近いと言える。

90年代後半であれば、

お笑い芸人や若手ミュージシャンが、

ヒッチハイクで大陸を横断するような企画があったが、

あれも、冒険家のそれに、とても良く似ていると言える。



私たちのような、生粋の冒険家は、

一回の大冒険につき、1000万程度のスポンサー料を頂く。

テレビで実況したりして、

あちこちに、そのスポンサーのロゴが映ったり、

CMが全て、そのスポンサーで埋め尽くされたり、するのだ。



しかし、私たちは、

その1000万から、種種雑多の準備費用を、捻出するのだ。

「諸経費込みで1000万」といったふうだ。

すると、

実際の年収というのは、その半分にも満たないことが、多い。

場合によっては、赤字に陥ることもある。

それで、

常に死と隣り合わせのキケンな旅に、繰り出すのである。


これはもう、

「お金のために」ということではなく、

純粋に冒険を愛していなければ、行えるものでは、無い。



では、なぜ私が、

日本に4人しか存在しない、プロの冒険家の一角を担えるのだろうか?



答えは簡単だ。

私が、女だからである。



エピソード2


ヒマラヤ登頂や、アマゾン探検など、

秘境探検の数々をこなすのは、

ほとんど99%、男性である。

だから、

以前、誰かがやったことであっても、

それを女性がやるだけで、話題になる。評価される。



皆さん、お気付きだっただろうか?

女性というのは、

実は、とても恵まれている。



極端に言えば、

女性は、開拓者である必要が、無いのだ。

前人未到の領域に踏み込む必要が、無いのだ。

「女性初!!」

という触れ込みは、

すなわち、必ず、男性の前例者が居るのである(笑)


冒険をする者から言わせて貰えば、

前例者の在るものを挑戦することなど、何の冒険でも無い(笑)



私は、出来る限り、

「女性初」ではなくて「人類初」の荒行に挑戦することにしているが、

生計を立てる上で、稀に、

「女性初」で断念せねばならないときが、ある。


そういう時は、

どれだけ世間から賞賛を浴びようとも、

私としては、全く、嬉しくない。


「幸せの評価は、他人のメジャーでは計れない」

といった言葉があるが、

幸せどころか、

充実感とか、悔しさとか、真剣さとか、

あらゆる形容動詞は、他人のメジャーでは、計れないのだ。



あなたはまだ、

「他人の評価」に一喜一憂しているのか?


であれば、

あなたは一切、

「真の幸福」を知らないし、

その他、あらゆる「真の○○」を、知らないのだ。

そのまま、味わうこともなく、死んでいくおつもりか?



エピソード3


ストーリーが、なかなか前に進まない。

申し訳ない。

なにしろ、私は、

作文よりも長い文章を書いたのは、これが初挑戦なのだ。

ヘタすると、

ローカルテレビで見せる、小規模な「冒険」よりも、

この文筆作業のほうが、よっぽど冒険であったりする。

誤字脱字、駄文、蛇足…その他、粗末な点は、

何卒、暖かい目で笑い飛ばして頂きたい。



さて、

この物語の本筋が、何であるかと言うと、

テレビクルーが付き添うことの出来なかった「冒険」を、

皆様にお伝えするためのものなのだ。


あれは、どうにも、

私一人のまぶたの裏のスクリーンで再放送をし続けるだけでは、

勿体無いというか、後ろめたいというか…

とにかく、多くの方々に知って頂きたいのだ。


であるからして、

私は、文学賞とか、印税とか、

そういったことには、殊更、興味が無いのである。

名前が出る必要も無く、

どれだけミジメに推敲者の手直しが入ろうと、構わない。

皆さんに、ストーリーを垣間見てもらえさえすれば、それで、充分だ。



…ひょっとして、

もっとフランクに、普段着の文体で書けば良かったかと、

今になって後悔する。

改めて眺めてみると、この文章は、硬すぎる。

そして、まるで私では無いみたいだ。


本当の私は、もっと、無防備だ。

口がポカンと開いている人間だ。

人前でおならが我慢しきれず、ネタにされる人間だ。


どうか、

そのような人物を頭に思い描きながら、読み進めて頂きたい。

関連記事

すべて表示

エピソード4 バレエ経験者というと、清楚なイメージを持つヒトが、多いらしい。 あれは確実に、 「白鳥の湖」という演目のイメージだと思う。 まぁ、ほぼ確実に、あの演目は通るだろうけど。 2回3回、演るだろうけど。 しかし、 経験者個人個人が清楚かと言えば、 そうでもない気がする…。 「清楚な振る舞いを、習得している」というだけだ(笑) なにしろ、 バレエでは、しょっちゅう、 股をおっぴろげて踊ること

エピソード3 どんどん見ていこう。 心理学者みたいで、楽しくなってきた! …うん。 学者とか先生とか、精神とか、 そういう、知的な響きに憧れるコは、多い。 バレエの経験者に、 頭の良いコは、あまり多くないと思う。 とにかく、 先生に言われた通りに動くことや、 周りのコにあわせて動く習慣が付いてしまうので、 「お好きにどうぞ」と言われると、困ってしまう… ただ、 無意識に独自のステップを踏み出しちゃ

bottom of page