小説「アン ドゥ とりゃー!」Vol.1

小説「アン ドゥ とりゃー!」Vol.1
作者 まお
まえがき
このお話は、バレエをたしなむ女の子の散文的な短編小説です。
対象年齢は特に設けていませんが、
中学生程度の読解力があれば充分に読むことはできるでしょう。
エピソード1
私は、昔、バレエを習っていた。
15歳…中学3年で辞めてしまったから、
彼これ、もう、10年ほどのブランクということになる。
ひえー!私も年を取ったものだ!
「同業者は同業者を嗅ぎ分ける」
などと、よく言う。
…よく言うのか?
私たちはよく、この言葉を使ったものだが…
街を歩いていて、
バレエの経験者を嗅ぎ分けるのは、そんなに難しくない♪
バレエの経験者には、ある程度の共通点が見受けられる。
まず、
おだんごヘアを好むだろう。
しかも、
前髪を左右どちらかに散らして、一緒に束ねてしまうので、
額をすっきり出していて、おかめ納豆みたいだ。
なぜか、可愛い子が多いので、
顔を全部全開にしていても、あまり気にならない。
友人たちは、
「カワイイお嬢様が、バレエというスポーツをたしなむのだ」
と言うのだけれど、私は、逆な気がしてならない。
小さい頃から、
あのようにおだんごヘアにして、
顔を全部、全開にすることで、
肌が突っ張られたりしてして、
子顔の、お人形さんみたいなコになっていくのだ。
バレエの練習をする時には、
いっつもおだんごヘアにするので、
自然と、普段の生活でもおだんごヘアが増えるし、
バレエを引退してからも、おだんごヘアを好むコが、多いと思う。
おだんごヘアで、
足がすらっと長ければ、
まぁ、まず間違いなく、同業者だとわかる。
バレエの柔軟レッスンは、
どうあがいたって、実践者たちの足を長くしてしまう。
バレエかどうかは、カンケイない。
とにかく、
物心付く前から、股割りを徹底していれば、良いだけだ。
そのようなコを街で見つけて、
「バレエやってた?」と尋ね、「いや?」と言われたなら、
まぁ間違いなく、フィギュアスケートの経験者だ。
バレエとフィギュアは、培ってきたものが、とても良く似ている。
フィギュアのコのほうが、寒さに強く、北欧デザインなど好むかな。
エピソード2
内面的な特徴も、出てくると思う。
これらは、街で会ってすぐに気付けるものでは、ないけれど…。
まず、
クラシック音楽が好きだろう。
クラシック曲は、聞いたことがあっても、
その曲名まで知っていることは、そう多くないと思う。
でも、バレエをやっていれば、
10や20の曲名は、すらすら挙がるだろう。
また、
ある種のクラシックが、街角で掛かりだすと、
勝手に、体が踊りだしてしまう(笑)
体が動かないにしても、首くらいは、動かしてしまっている自分に気付く。
次に、
小走りが好きだろう(笑)
バレエの環境では、何かと小走りの機会が出てくる。
舞台に出るも、去るも、小走りだ。
練習中も、
先生が、パンパンと手を叩けば、
反射的に、どこかに小走りしていくことになる。
すると、
大人になって、
バイト先の上司に、何か頼まれごとをされたりすると、
「ハイ!」と背筋を伸ばして、小走りで駆けてしまう(笑)
「あら、素直な子だこと」
と、笑われてしまう(笑)
とにかく、
小股でチョコマカと、あちこちを走り回ってしまう。
お陰で、それなりの機敏さ・運動神経は、キープ出来る。