小説「ひまわりと太陽」Vol1

小説「ひまわりと太陽」
作者 まお
エピソード1
ぼく、いつからココにいるんだっけ?
知ってるような、知らないような…
ずーっと昔のような、最近のような…
誰かに教えてもらいたかったけど、
僕の周りには、誰もいないんだもの。
大きな窓ガラスと柵に挟まれた、細長い空間。
それが、僕の住んでるお家。
大きなゴミ箱が置いてあって、
時々、誰かが、色んなゴミを捨てにくる。
時々、誰かが、柵に布団を干しにくる。
…ゴミ箱?布団?
なんでぼく、そういう言葉、知ってんの??
「それは、
キミたち植物が、集合意識を持っているからだよ♪」
僕の疑問に答えてくれたのは、高い空の上の、太陽だった!
エピソード2
「しゅうごういしき?」
僕は、優しく微笑む太陽に、尋ねた。
「そうだよ?
キミたちひまわりは、ひまわりという種族同士で、
記憶や経験を共有しているのさ。
だから、
ほかの国に咲いているヒマちゃんが見聞きした事柄を、
キミも、知ることが出来るんだよ♪
そのようにして、
ひまわりという種族全体で、巨大な百科事典を作っているのさー!」
それから、太陽は、
ぼくの専属家庭教師になった。
けれども、
ほかのひまわりやダリアや月見草も、
それぞれに、太陽とお話しているらしかった。
太陽は、一度に無数の存在たちと、お話できるんだって♪
キミ、知ってた?
エピソード3
ある日、
ぼくを飼っているご主人が、
ぼくの鉢植えに、緑色のヤクルトみたいのを挿していった。
「栄養があって、虫除けの効果もある」
と、ラベルに書いてあった。
ぼくは、ご主人に対して、
「ありがとう♪」とお礼を言った。
ご主人は、ぼくの声は聞こえていないようだけど…
人間の中には、
ぼくら植物の声が、聞こえるヒトとそうでないヒトが、居るらしいよ。
目に見えない世界のことを大切にしていて、欲深く無いヒトだったら、
ぼくらの声が聞こえる確率も、高いみたい。
「おやおや?
キミ、それ、ありがたいモノでは、ないんだけどなぁ?」
太陽が、まゆをひそめながら、そうぼくに告げた。
「そうなの?
でも、栄養もらえたし、虫も寄り付かなくなるんだよ?」
「考えてもみてごらんよ?
大自然に原生しているひまわりたちは、
そんな薬物を食べて生きているかな?
そんな薬物を食べなくても、立派に大輪の花を咲かせているよ?」
「そうかぁ。
でも、無いよりはあったほうが、マシなんじゃない?」
「そうかなぁ?
キミ、今、お腹や頭がチクチク痛んでいないかい?
植物っていうのは、
人間の作った科学薬品を食べると、かえって病気になっちゃうんだ…
その病気は、表面には見えないから、人間は気づかないけど…」
「そうかぁ。
どうしよう?こんなお薬飲むの、ぼく、いやだなぁ。」
「明日、台風が来るよ。
その強風に、キミのそのお薬も、吹き飛ばしてもらおうね♪
なぁーに、天使たちが上手くサポートしてくれるよ♪
2回か3回か、同じことをやれば、
キミのご主人は、察してくれるだろう。
基本的には、優しいヒトだからね♪」