2 リオオリンピックの時、民泊市場はどうだった?
東京オリンピックで民泊市場がどのような展開を見せるかを予測するのに、ブラジルはリオデジャネイロで開かれた2016年のオリンピックの様子を参考にするのは有意義なはずです。
2-1.オリンピック期間中にリオでAirbnb泊を利用した旅行者は、66,000人超!
Airbnb(エアビーアンドビー)の発表によると、リオデジャネイロ・オリンピック期間中にリオ市内でエアビーアンドビー泊を利用した宿泊客の数は、66,000人超に達したとのこと。これは、前年のリオ市内での民泊利用者の42倍に当たります。
2-2.宿泊施設の総収益は25億円、総経済効果は76億円。
リオオリンピックの人出により、ホテルなどを含めた宿泊施設の総収益は2,500万ドル(約25億円)を超え、宿泊者が周辺で飲食やショッピングなどに費やした金額なども含めた総経済効果は7,600万ドル(約76億円)となりました。
やはりオリンピックは、わずか1カ月足らずの短期間の間にすさまじい経済効果を生み出します。
2-3.観光客には悩ましい・・・リオ期間の宿泊料金は軒並み高騰!
リオオリンピックの期間に起きたことで、取り上げずにおけない事象がこれです。
オリンピック期間中は、リオ市内だけでも50万人の宿泊需要があるあため、ホテルだけでは賄うことができなくなりました。そのため、ラブホテルにまで宿泊者が流れ込む事態で、ラブホテルですら4~6倍にも値上げされたのです。リオオリンピックの観客もそれ以外の宿泊利用者も、混乱と苦難に陥ったことは想像に難くありません。
3 東京オリンピックを迎えて、日本の民泊市場はどうなる?
では、民泊新法による規制緩和内容とリオオリンピックの結果を踏まえて、2020年の東京オリンピック時に日本の民泊市場がどうなっていくか、予測をしてみましょう。
3-1.オリンピックが控えているから訪日外国人が増加するわけではない。
民泊や観光経済関連のニュース記事では、「2020年の東京オリンピックに向けて、訪日外国人観光客は益々増えるだろう」といった記述をよく見かけます。しかし、東京オリンピックが2020年にあるからといって、2017年や2019年に日本に行きたいと感じる外国人はほとんど居ないでしょう。
3-2.オリンピックに向けてインフラ整備が進むから、訪日外国人が増える。
とはいえやはり、2020年に向けて訪日外国人観光客は増えると予測できます。その理由は、「東京オリンピックに向けて英語看板や公衆無料Wi-Fiなどの観光整備がどんどん進むから」です。ビザの条件緩和や関税にまつわる規制緩和もここ数年でどんどん施行されており、こうした政策は実際、東南アジアからの来日客や買い物目的の来日客などをどんどん増やしています。
こうしたインフラは、東京オリンピックが終了してもまだ残るため、旅行のしやすさゆえ海外旅行先に日本を選択する外国人は増えていくでしょう。
3-3.民泊新法の規制緩和だけでは民泊施設は足りない!
こうしたインフラ整備の一環として、宿泊施設の増強も重要視されています。日本政府は、不足するホテルの穴埋めに民泊を活用すべく、民泊新法などの規制緩和を進めているのですが、しかし現状の民泊新法の内容では、民泊施設がホテル不足の救世主になることはできないでしょう。
理由は、「年間180日以内」の営業日数制限に大きく起因します。これにより、実質的に民泊施設は半数に減ったのと同じことになってしまうのです。
いいえ、半減どころではありません!