一般的に、木造住宅は築22年を過ぎると投資商材としての価値がなくなると言われています。
自分の物件が22年を過ぎたなら建て直し検討がセオリー。他オーナーの築22年超物件は買わないほうがいい。
さて、本当にそうでしょうか?
ボロアパートにも一定のニーズがある。
不動産投資の情報ハウツーに耳を傾けるのではなく、社会のリアルな生活に目を向けてみると、「3万円のボロアパートに住んでいる」なんて話が時々あるものです。
世の中には新しさにも性能にもあまりこだわらない人がおり、安く住めるならボロでもいい、そんな人もいます。
むしろ、「ボロくてもいいから安いアパートを探している」という層がいます。
古くなったら古くなったで、建て直しせずに貸し続ける選択肢もある。
手持ちのアパートが築30年も過ぎると、「建て直ししなければ!」「建て直しましょう!」とあちこちから声を掛けられるでしょう。
彼らは良かれと思って言っているかもしれませんが、それを無視するという手もあります。
空室が目立つとしても、「建て直し」ではなく「家賃を下げる」という対処で、入居率は戻ることもあります。
「月5万じゃ少ない」と感じるかもしれませんが、しかし建て直しに5000万円払って月6万得るよりも、収益的には得になります。
ボロアパートになってくると誰も設備の古さなど気にしなくなる。
面白いもので、「築20年のアパートよりは築10年の新しい感じのアパートのほうが良い」という人は多くとも、築40年のアパートと築50年のアパートとでは、「どっちでもいいよ」と感じている人が多いです。
こうして賃貸というのは、築40年頃までは徐々に家賃相場が下がっても、それ以降はどんなに老朽化が進めど同じ家賃で入居があり続けたりします。1950年築の「ボロアパート」は、40年前からずっと家賃3万円で貸しに出されている、という具合に。
そして、80年頃からアパートの性能は上がっているため、築40年が経っても3万円まで下落しないでしょう。近代のアパートは4万円をずっと保ち続ける、という感じになりそうな気配です。
建て直しをしなくても家賃4万円の収益が保ち続けられるなら、大きな追加投資をして建て直しをせず、ボロアパート層をターゲットに4万円で貸し続ける、というアイデアも面白そうです。
給湯器の変更などは必要になるが、建て直しに比べればはした金。
リフォーム、修繕の類が全く不要ということにはならないでしょう。やはり給湯器の変更やエアコンの買い替え、階段の錆びた手すりを挿げ替える、といった修繕は必要かもしれません。数十万、100万が飛ぶことも、あるにはありそうです。
とはいえ、建て直しに掛かる5,000万円と比べればまったく小さな支出です。
入居率が5割でも、それも悪くないのかもしれない。
ボロアパートのままだと、入居率は下がっていくこともあるかもしれません。
しかし、すでに先行投資は回収し終え、そのアパートで大きな利益を上げたでしょう。ですから、入居率50パーセントで月収20万円でも、それはそれで悪くないのかもしれません。
いかがでしたか?
問題に対して常に几帳面に対処し続けなくても、したたかにまったりと運用し続ける、という選択肢もあります。