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小説「シャンバラとアセンション」Vo.11

エピソード23


3時間ほど、眠ったらしい。

太陽の位置も、空の青さも変わらないので、

時間の経過した感覚は、希薄だった。

なるほど!

「時間が存在しなくなる」

というのは、こういうことだったのだ。


エンが、散歩を提案してきたので、

外を歩くことにした。

私は、娘さんの頭を優しく撫でると、すぐに外に出た。



道行く人たちは、

珍しそうに私を眺めたりは、しなかった。

大概みんな、軽く会釈をしてくれた。

会釈のし過ぎで、少し疲れた(笑)


私が連れて来られることは、

地域の住民には、伝わっていたようだ。

一斉メールのようなものが、為されたらしい。



道行く人たちは、

皆、同じような服装をしていた。

中東人の好む、ラフなワンピースのような格好だ。

一枚布を加工して、簡単に作れるのだろう。

彼らは、何にせよ、「シンプル・イズ・ベスト」だった。


色は、様々だった。

大概、自分のソウルカラーに近い色を、まとっているらしい。

すると、他者に、

自分の得意分野が、すぐに解ってもらえるのだ。

とても機能的なようである。


服装の個性は、

襟元などの細かい刺繍で、主張されていた。

大概皆、自分でこしらえ、自分で飾り付けるらしい。

服を作るくらいの洋裁能力は、誰しも持っているそうだ。


また、

全く異なる服装をする人も、稀に、見かけた。

中東服を着なければならないわけではないし、

空気を読んでいるわけでも、無いようだ。

それぞれ、好みの問題である。



家と家との間隔は、

20メートルくらいは、取られていた。

ゆったりと家を建てているので、閉塞感は感じられなかった。


家々には、表札のようなものが掲げられていた。

文字はなく、数字ばかりだ。番地だろう。

どうやら、私たちと同じ数字を使っている。

「‐」(ハイフン)記号も、共通しているようだ。



公園のようなものが、幾つかあった。

子どもの姿は、ほとんど見受けられなかった。

学校に行っているらしい。


公園の遊具は、もっぱら、木製だった。

公園というよりは、小さなアスレチックと呼ぼうか。

ブランコは無いが、ターザンみたいなものは、あった。

遊具の色付けは、されていない。木目色だ。

動物のモチーフなども、見られない。


文明によっては、

カラフルな遊具や、動物のモチーフなども、見られるらしい。

アジア人は、内も外も、質実剛健なようだ。


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