
4 エアビーアンドビーとは儲かるビジネスなのか?
では今度は、経営者側から見たAirbnb(エアビーアンドビー)事情を解説していきましょう。
エアビーアンドビーは、ホストとしての体験も非常に面白く、おすすめしたいものです。しかし、「ビジネスとして儲かるものか」と問うた場合には、答えは「NO」と言えます。
4-1.「楽して儲かる」はウソ!儲かったのは2015年までの話。
2014年頃から日本でも爆発的に増えた、Airbnb(エアビーアンドビー)民泊の経営者。その理由は、「楽して儲かる新ビジネス!」というものだったわけなのですが、実はこれ、あまり正しい触れ込みとは言えないのです。
たしかに、月収200万円も500万円も稼いだ人は、居ないことはないでしょう。しかし、誰もが楽にそれだけの額を稼げるビジネスなのかと言えば、そんなことは全くありません。2015年末くらいまでは、経営すればそれなりに利益の出るものであったとはいえます。しかし、すでに国内30,000件を超えた現在、競争は激化しすぎており、部屋はなかなか埋まらないのです。民泊可能物件の家賃も、かなり値上がりしていますね。
4-2.平均稼働率は50パーセント程度。投機型民泊なら赤字になる数字…。
Airbnb(エアビーアンドビー)社は、常に詳細なデータを発表し続けていますが、2016年現在、日本国内の平均稼働率は50~60パーセント程度まで落ちてきています。1ヵ月30日のうち、半分の15日ほどしかお客が入らないということであり、この程度だと投機型民泊のオーナーたち(民泊代行業者に業務委託しているオーナーたち)は赤字をこうむりはじめるでしょう。
4-3.儲からなくなってきた先駆者たちは、二次的商売に切り替えはじめた。
純粋にAirbnb(エアビーアンドビー)ホストをやっていても儲からなくなったため、先駆者の多くは二次的な商売に切り替えてきています。それが、「民泊セミナー」であり、「民泊代行業者」というものです。民泊セミナーや民泊代行業者がやたら氾濫しているのはこのためなのですね。
4-4.投機型民泊は儲かりません!甘い言葉にだまされないで!
民泊セミナーや民泊代行業者の彼らは、未だに「Airbnb(エアビーアンドビー)は楽に儲かる!」と言っていますが、彼らの甘い言葉にだまされないで!
投機型民泊は、もう儲かるビジネスとは言えません。儲からないうえにトラブルが多く、さらに日本政府が厳しい取り締まりをすると決定しているのですから、儲けを出すのが難しいだけでなく、「非常に危険なビジネス」とさえ言えます!
4-5.ホームステイ型民泊であれば、参入する価値はある!
Airbnb(エアビーアンドビー)において、投機型民泊での参入は「百害あって一利なし」ですが、ホームステイ型民泊であれば、参入する価値はあります!
といっても、ホームステイ型民泊においても、ビジネスとしては利益の高いものとは言えません。月収は30,000~50,000円ほど、運の良い月は70,000円くらいかな、といったところです。しかし、ホームステイ型民泊の場合、家賃も大きな先行投資もかかっていないので、「赤字になる」ということがありません。稼働率が50パーセントを切っても30パーセントを切っても、赤字にはならないので、ビジネスに疎い人でも安心してチャレンジできるビジネスと言えます。
また、「価値」というのは金銭収入だけではないのです。ホームステイ型民泊の場合、各国のゲストとの交流があるため、そこから得られるメリットがたくさんあります!
(1)英会話のレッスンになる。
(2)家にいながらにして海外の文化を知ることができる。
(3)視野が広くなり、価値観が豊かになる。
(4)コミュニケーション能力が身につく。
(5)寂しさがまぎれ、女子会も飲み会も不要になる。
(6)外国人の友達ができ、海外旅行先で助けてもらうことができる。
(7)家の中が綺麗に保たれる。
エアビーアンドビー運営で得られるメリットは、現代日本人にとって足りない(失ってしまいがちな)ものばかりで、非常に有意義ですね。これらのメリットにトキメキを感じられる人は、エアビーアンドビー運営に向いていると言えますよ。
4-6.エアビーアンドビー経営のデメリットを知っておこう。
Airbnb(エアビーアンドビー)経営を検討しているなら、メリットだけでなく、デメリットも知っておくべきですね。なお、投機型民泊については「赤字のまま撤退に追い込まれる可能性が高い」ということだけ警告して割愛し、ホームステイ型民泊での話をします。
4-6-1.予約対応もチェックイン後も、それなりに手間がかかる。
Airbnb(エアビーアンドビー)経営は、それなりに手間がかかります。
まず、予約が確定されるまでに、問い合わせゲストとメールのやりとりが必要になります。なるべく早く返さなければいけないため、一日中メール対応に追われるようなことがありますし、英語でやりとりしなければならないことも多く、それも多くの日本人にとって困難とストレスを生むでしょう。
次にルームメイクですが、ルームメイクそのものは20分程度で終わるものではあれども、洗濯物の量がかなり増えます。また、ゲストによっては部屋の片づけやゴミの分別にとても時間を取られますね。さらに、客間だけでなく、家の中全般を頻繁に掃除・整頓しなければならなくなります。
チェックインの際は、駅などに迎えに行かなければならないことも多く、また、約束の時間に遅れてしまうゲストも多いため、待ちぼうけでの時間ロスも多発するでしょう。
チェックインの説明は10分ほどで終わりますが、「電車の時間を調べてほしい」などと頼まれたり、会話を求められたりして、1日1~2時間はゲストのために費やすことが多いです。
これらにより、専業主婦など常時在宅者がいないと、実質的に経営は困難となります。また、交流やもてなしそのものを楽しいと感じられる人でないと、1泊2,000~3,000円程度では「割に合わない!」と感じてしまうでしょう。(時給に換算してしまうとあまり割の良い仕事とは言えません。時給500円にも満たないかも…。)
4-6-2.人との交流が苦手な人は、ストレスがかかる。
毎日のように赤の他人と同居生活を送るようなかたちになるので、コミュニケーション能力が高くないと、ストレスを強く感じるでしょう。日本語の通じないゲストが多くなるため、なおさらです。慣れれば克服できるものではありますが、慣れるまでに年単位の月日を要することもありますから、注意が必要ですね。
4-6-3.ご近所さんとのあつれきが生じてしまう恐れがある。
ホームステイ型民泊では、家主が常にゲストを監視しているようなかたちになるので、あまりトラブルは起きません。多少騒がしくなることがあってもすぐに注意できますから、近隣からのクレーム事に発展することはまず無いでしょう。
しかし、「Airbnb(エアビーアンドビー)民泊を営んでいる」という事実だけであなたに対してまゆをひそめる近隣住民が、出てきてしまうことがあります。
5 エアビーアンドビー総論。
総論として、エアビーアンドビーとは、人情のある人または人情に憧れている人にとっては、非常に面白く有意義なツールと言えます!泊まる側も泊める側も両方ともに、です。ビジネスとしての側面は二の次(お小遣い程度)と思ったほうが良いですね。