不動産投資の中でも意外と人気があるのが、アパート経営です。1室の大家になるのではなく、4戸、8戸のアパート一棟をまるごと建て、運営するタイプのもの。
ワンルーム一戸ならまだしも、4戸、8戸もの物件を抱えることはとても難しそうに思えますが、なぜアパート経営投資は人気があるのでしょうか?どのようなメリットが、リスクが潜んでいるのでしょうか?
アパート経営投資は、土地を持っている人向き。初心者にとってこれが鉄則。
アパート経営投資に向く人と向かない人は、あらかじめ大きく分かれます。
それはとても簡潔で、土地を持っている人はアパート経営投資に向きますし、土地を持っていない人は向かないのです。
土地を持っているなら、アパートの入手にそんなにお金がかからないからです。
あなたは土地を持っていますか?土地を持っていないなら、まずはワンルームマンション投資などに目を向けることを推奨します。
アパート経営投資のメリットは、「空室リスク分散」にあり。
アパート経営投資特有のメリットは、「空室リスク分散」にあります。
アパートは4戸~8戸の物件を持つため、たとえ空室続きの部屋が1つ出ても、残りの物件で空室リスクをカバーすることができます。
マンションや戸建ての場合、「10万円か0円か」といった極端な二択になりますが、アパートの場合は「24万円か18万円か」といった、振れ幅の緩い動きになります。空室リスクが最大の敵である不動産投資において、この安定収入の特徴はとても心強いものです。
アパート経営投資の最たるメリットは収益性の高さ。
アパートを一棟建てて賃貸に出すなら、その不動産投資手法の最たるメリットは収益性の高さにあります。他の不動産投資に比べて「断トツ」と言えるほどの高い収益性を誇りますが、これをあまり前面に出してもうさん臭い感じがするのであまり騒がないほうが良いでしょう。
また、高い収益性を発揮するには、「土地を持っている」ということが前提となります。ただ「何か投資をやりたい」という人には無理なのです。
アパート一棟投資の具体的な収益性シミュレーションについては、後ほど詳述します。
アパート経営投資は地震・異常気象・天変地異にも強い。
地震の多い国日本、そして昨今の異常気象を見て、投資した不動産が天変地異で倒壊してしまう恐れを心配している投資家は多いことでしょう。空室リスク以上に大きな損失になるのですから、これはたしかに最重要懸念事項です。
そういった面で、アパート経営は他の物件投資よりも強いと言えます。
アパート一棟投資の場合、10年足らずで投資額を回収できる。
なぜかといえば、アパート一棟投資の場合、10年足らずで投資額が回収できるからです。
マンション投資では、投資額回収に20年くらいはかかります。アパートはその半分以下です。向こう20年の間に大規模天変地異に遭う確率と、向こう10年の間に遭う確率と、どちらがどれほどリスキーでしょうか?
アパート一棟経営の場合、たとえ天変地異に遭ったとしても、その頃にはすでに投資額は回収できており、大きな利益をあげられている可能性が高いのです。
収益性が高いので地震保険を掛けても負担が軽い。
2番目に、地震保険の有用性が、アパート経営では高くなります。
地震保険は掛け金がかなり高額で、利回りの低いマンションでは、地震保険を掛けると利益がなくなってしまいます。特にローン中は、毎月完全に赤字になるでしょう。
それに対してアパート一棟経営の場合、収益額が大きいため、地震保険を掛けても負担が軽く済みます。
アパート物件はそもそも、耐震性能が悪くない。
3番目に、アパート物件はそもそも耐震性が悪くないです。
「鉄筋コンクリート造は耐震性が強く、木造建築は弱い」という一般論がありますが、鉄筋コンクリートのマンションは高層建築物なので、強靭な耐震性がないと話にならないのです。一軒家やアパートは2階建て程度の低層住宅ですから、マンションと同じほどの耐震性能は必要ないのです。そして実際、アパートは地震や天変地異でそんなに倒壊に遭っていません。
また、2000年の建築基準法改正以降のアパートは耐震性が強化されていますし、2011年3月の東北大震災以降は、さらに耐震性能強化の工夫が徹底されています。木造アパートでも、以前の軽量鉄骨建築より耐震性能の高いものもあるくらいです。
アパート経営投資のデメリット/リスクは耐久年数の低さ。
アパート経営投資のデメリット/リスクも明確に把握しておくべきです。
ずばり、木造建築ゆえの耐久年数の低さにあります。
一軒家と同じで30年が寿命と言われており、マンションの100年と比べてかなり劣ります。マンションも100年持たせるためには修繕が必須ですが、アパートの場合は修繕をして30年、といったところです。どれだけ律儀に修繕をしても、100年はまず無理です。
「最初の10年でローンを完済し、残りの20年で利益を上げる」といった考え方をする必要があるため、土地を持っていて土地取得にお金が掛からない投資家に向く、というわけですね。
アパート一棟の建築費用は?
アパート一棟を建てると、その費用は幾らくらいかかるのでしょうか?不動産投資サイトでもあまり明記されていない情報ですが、これはセミナーなど参加する前に把握しておくべきことです。
もちろん規模や構造により価格は異なりますが、「木造×8部屋」の一般的なもので大体4,000万円くらいです。寿命の長い軽量鉄骨にするなら5,000万円弱といったところ。これは土地代を含みません。
ファミリー向けマンションを都心で買うと5,000万円。
どちらも同額になります。
アパート経営投資はマンションや戸建てよりも高利回り。
では、アパート経営投資利回りはどうなっているのでしょうか?利回りとは収益性のことですね。パーセントで示されるのが一般的で、この数値は「1年間で購入費用の何パーセントを回収できるか」を表します。
アパート経営投資の収益見込み
8部屋×6万円×12カ月=576万円
なんとアパート経営投資の場合、年間で576万円もの家賃収入が見込めます。新築アパート一棟の購入(建築)費用が4,000万円ですから、利回りは14.4パーセント。利回りは10パーセントを超えると超高利回りと言われているので、アパート経営のそれはまさに超高利回りです。
わずか6年間ほどで建築費用4,000万円を回収できる計算です。
空室は多少出るでしょうが、それでも8年程度で回収可能でしょう。
回収以降は、年間500万円もの家賃収入が入ってくるわけです。これはすさまじい利益です。
ワンルームマンション投資の収益見込み
1部屋×7万円×12カ月=84万円
最も確実に儲かると言われている、都内一等地でワンルーム投資を行うケースをシミュレーションします。
ワンルームマンション投資では、年間の家賃収入は84万円程度です。
ワンルームマンションの購入費用は1,500万円ほど。
すると利回りは5.6パーセントになります。平均的にこの程度と言われています。
購入費用1,500万円を回収するのに、17年ほどかかります。
ローン完済以降は、月収7万円ほどです。
ファミリーマンション投資の収益見込み
1部屋×13万円×12カ月=156万円
ファミリー向けマンション投資では、年間家賃収入見込みは156万円ほど。
空室リスクの小さいエリアでのファミリー向けマンションの購入費用は5,000万円ほどです。
すると利回りは3.1パーセントです。あからさまに低いですね…
また、ファミリーマンションの入居層は賃貸ではなく購入をする傾向が高く、入居率の面でも苦しい戦いが強いられます。それゆえファミリー向けマンションは投資中級者以上向けと言われ、また、賃貸運用ではなく転売投資が多いわけです。
戸建て(一軒家)投資の収益見込み
1部屋×15万円×12カ月=180万円
不動産投資会社から推されることのあまりない、戸建て(一軒家)物件による賃貸運用。
年間家賃収入見込みは180万円ほどです。
戸建て物件の購入費用は5,000万円ほど。すると利回りは3.6パーセントです。これも低いと言わざるを得ないですね。
ファミリーマンションよりはやや利回りが高いですが、耐久年数が20~30年と圧倒的に低く、総合してみると収益性はファミリーマンション以下です。
巷の戸建ての賃貸物件は、投資家によって営まれているものは少なく、マイホームのつもりで購入した人が環境変化に伴い賃貸に出しているケースがもっぱらです。戸建て物件は、投資として有益な手法ではないのです。
4種の物件タイプの収益見込みを比較してわかることは?
4種の物件タイプの収益見込みを比較してわかることを、端的にまとめてみましょう。
アパート経営→収益性が極めて高く、ローン完済までもわずか数年。完済後は年収500万円ほど。
ワンルームマンション投資→購入資金が低く済むため資金の少ない人でも可能。立地を正しく選べば堅実性は高いが収益は低い。
ファミリーマンション投資→購入資金が高くつき、収益性も低い。初心者には非常に難しく、リスク高。家賃運営ではなく転売投資をする中・上級者が多い。
戸建て投資→購入資金が高くつき、収益性も低い。そもそも投資家に運営されることは少ない。
このように、アパート一棟投資は収益性の面でずば抜けています。耐久年数が低いのですが、それを補って余りある収益性を誇り、30年ごとに建て替えていってもまだ、収益性は他の投資手法より高くなります。
ただしこれは、適した土地を持っていれば、という条件付きになるわけです。