SEO対策のノウハウサイトを読むと、「良質な記事を書くことが何より大切です」と書いてあります。
Google社も、検索順位のアルゴリズムについて、「良質な情報を持つサイトを上位にする」と公言しています。
こうした助言から、「良質な記事を書こう」と意気込んでいるアフィリエイターは多いことでしょう。
でも、「良質な記事」とはどのようなものを指すのでしょうか?
Googleと消費大衆では「良質な記事」の定義が違う!
結論から言えば、Googleが求めている「良質な記事」と消費大衆が求めている「良質な記事」は違うんです。
そして、「Googleが求めている良質な記事」をたくさん書いても、残念ながらSEO対策にも売り上げ増にもあまり効果はありません。逆効果とすら言えるかもしれません。
Googleが求めているのはウィキペディアみたいなサイト。
Googleが求めているのは、ウィキペディアみたいなサイトであり、ウィキペディアみたいな記事です。公正で誠実で、事実に基づいた情報の羅列です。それが検索ユーザーにとってもっとも有意義だと考えるからです。
とはいえ、ウィキペディアみたいなぺージをGoogleが評価してランキング上位にするのか?と問えば、答えはNOなんですよね。
いっとき、「何を検索してもNAVERまとめの記事ばかりが検索1位にあってウザい!」といった報道が話題になりました。
NAVERまとめはご存じのとおり、「コピペの羅列」です。コピペを公言しているサイトです。
それは、ネットリテラシーとして最悪なものですが、でもGoogleはNAVERまとめの各記事をランキング上位に持ってきます。
他にも2ちゃんねるが上位に来ていることはざらですし、そうでなくとも今や、ランキング上位にあるのは軒並み、何か商品を売る目的で書かれたアフィリエイトサイトばかりです。
これらは、特定の商品を売ることを目的に書かれているので、公正さには欠くんですよね。
「正しい洗顔方法」の「洗顔は40℃のお湯だと皮脂を落としすぎてしまう!」という言及は確かに真実かもしれませんが、その次に書かれている「この洗顔フォームがオススメ」に公正さはありません。
どのサイトも違う洗顔フォームを勧めていますから、つまりほとんどのサイトは嘘を書いていることになります。
それでも、このようなアフィリエイトサイトを、Googleはランキング1位に持ってくるのです。
客観的に言って、アフィリエイトサイトがランキングの上位に来るのは、ネットリテラシーとして問題があります。広告枠にアフィリエイトサイトがあるのはわかりますがね。
しかし、このような公正じゃない記事のアフィリエイトサイトが、今でもランキング上位を独占しています。
大衆閲覧者はウィキペディアみたいなサイトを求めていない!?
さて、では次は「消費大衆が求めている良質な記事」についてです。
上述のGoogleの意向を汲んで、ウィキペディアみたいな専門的な記事を書くアフィリエイターは増えました。しかも、ウィキペディアよりも平易でわかりやすい文章、読みやすいレイアウトで書いています。
これはなかなか素晴らしいことですが、でも残念なことに、消費大衆は、ウィキペディアみたいなサイトを求めてはいないんです。
そもそも日本人は、ウィキペディアをあまり活用しません。それは、ウィキペディアの文章が堅すぎる・難解すぎるからです。新聞や論文みたいな文章ですし、新書1冊分かってぐらいにマニアックですよね。
多くの検索者は、もっと読みやすくてシンプルな情報を求めているのです。
そもそも、新聞や本は難解でうっとおしから「新聞離れ」「本離れ」が起きてネット全盛の時代が来たのです。この背景を忘れてはなりません。
消費大衆は、「理由の解説」を欲していない。
たとえば、スキンケアコスメのアフィリエイトをする人は、ヒアルロン酸入りの美容液がなぜ有効かを、論理的に力説すべきだと考えます。その方が説得力があるし、そのほうが売り上げも伸びるだろうと感じます。
しかし実際のところ消費大衆は、「なぜ?」の部分を求めていませんし、理屈っぽい文章は嫌いなのです。
だから、@コスメや食べログ、価格.comのようなクチコミサイトが流行ります。これらは、理屈はそこそこに、「効いた、美味しい、買って良かった」という結論の部分が読みやすい文章で書かれているからです。
消費大衆は、「シロウトのクチコミ」程度の情報量・文章力で充分なのです。
消費大衆は、「背中を押してほしい」と思っている。
消費大衆は、ロジカルな比較記事や検証記事をほとんど欲していません。
多くの場合、買いたいなと思っているアイテムについては、他の大きなメディアで見て目星がついています。
ネット検索時は、その購入意欲に背中を押してくれる文章に出会いたがっているだけなのです。
「効くよ」「すごいよ」「リピート率90%以上だよ」といった肯定的な文章が並んでいれば、それで上機嫌になって購入ボタンをポチっと押します。この「背中を押す」役割をしたアフィリエイトサイトが、コンバージョン(成約)をかっさらいます。
または、特定の商品を買いたいわけではないが、「何かを消費(購入)したくウズウズ」してネットサーフィンをします。ショッピング欲求というやつですね。
そんなときに、何かテンションの上がるアイテム紹介記事を見ると、他アイテムや他店との比較などせずに、そこからポチっとやります。
これは、テレビの通販番組が未だにバカ売れするのと同じ原理です。通販好き層も、ネットで価格サーチしたり類似品比較したりしません。
消費大衆は独特の感覚を持っている。それを理解しよう。
ロジカルな思考をする層からすると危なっかしくて心配になりますが、でも流行品や嗜好品をばんばん買う消費大衆というのは、こういう行動傾向を持つのです。
特定のアイテムをうさん臭いくらいに賛美するメディから、それを衝動買いするのです。その商品の素晴らしさがロジカルに証明されている必要はなく、芸能人が「スゴーい!」と言っていたりネット記事の筆者が興奮気味に魅力を語っていると、ワクワクして洗脳されるのです。
ランディングページがアフィリエイト記事の参考になる。
これを端的に示しているのが、ランディングページというやつです。
スキンケアコスメやサプリメント、怪しい情報商材などによくありますが、1ぺージの中に一通りの情報が詰め込まれた、異様に縦長の商品紹介ぺージのことです。
これらは非常に丁寧に作られていますが、その「丁寧」というのはアフィリエイトサイトのそれとは異なります。
文字数が5,000字あるわけでもロジカルな検証が力説されているわけでもなく、商品画像と笑顔の女の子の画像がふんだんに使われ、ピンク色の太文字で「効果バツグン!!」とか書かれています。
商品説明はなされていますが本当に最低限で、ロジカルな説明よりも「驚くほどポロポロ落ちる!!」みたいなシンプルな感嘆文が目立っています。
そして、珍しく長文記事があるかと思えば、それはクチコミ文なんですよね。「モッチモチになります!リピ確定って思っちゃいました!」みたいな、根拠も比較検討もないような無責任な文なのです。
でも消費大衆は、そんなクチコミ文を決め手にして購入を決めます。
消費大衆が求めている「良質な記事」とは、月間ジャイアンツのジャイアンツびいきの記事みたいなものなのです。アイドル雑誌のジャニーズ絶賛記事みたいなものなのです。
昔のうさん臭いアフィリエイトサイト調の記事が未だに売れている。
2010年くらいまで、アフィリエイトサイトにはそのような「ただ誇張するだけ」の記事が氾濫していました。
しかし、Googleが「良質な記事を優先してランク付けする」と発表するようになってから、ロジカルな論文記事みたいなものが増えるようになりました。
しかし、実際にアフィリエイトでコンバージョンを上げているのは、実は昔のアフィリエイトサイトみたいな、ちょっとバカっぽい雰囲気のサイトだったりするのです。
まとめサイトが流行るのも、「結論だけで充分」と多くの人が思っているから。
まとめサイトの隆盛もここから来ています。
NAVERまとめが並みいる検索結果でランキング上位を独占しはじめて社会問題になり、「こんな中身のない記事は迷惑だ!」と批判する声が多数上がりました。でもNAVERまとめの閲覧数は減りはしませんでした。そのような批判があってもなお、大衆はNAVERまとめを訪問するのです。
それはなぜかというと、NAVERまとめは「結論」の部分だけを効率よく並べていて、読者にとってわかりやすいからです。
「良質な記事」とは言えないが・・・。
良質な記事とは何か?の結論です。
いや、「良質な記事」とは言えないのですが、アフィリエイト収入を目的にサイトを作るなら、ランディングページや昔のアフィリエイトサイトのような、ちょっとうさん臭い、バカっぽいテンションのほうが「正解」と言えます。
ポイントは、「とにかく肯定的な文章を並べる」ということです。
商品の欠点はもちろんのこと、ライバル商品の欠点も書かないほうが良いです。「〇〇はよくない」とか「~ない」というネガティブ・否定的な文面を、消費大衆層は嫌うのです。内容がなんであれ、そのような否定的な文を見るだけで不快になったりテンションが下がったりするようです。ぺージを閉じてしまったり購入意欲が薄れてしまったりするのです。
こうしたサイトこそがネットリテラシーを下げるので、推奨したくはないのですが、しかし「売れる記事はどんなものか?」というテーマについて書くなら、これが正解なのです。少なくとも、「今の時代の日本において」は。